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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-6

ジャック「うまく行けば釈放の方向で話を進めれば、彼も飲むんじゃないでしょうか」

 

 叩かれた手をさする。

 

ヴァルト「それは上が決定する事だ」

ジャック「わかってますよ。だから、ヴァルト隊長に頼みに来たんじゃありませんか。お願いします、自分を推薦して下さい」

ヴァルト「しかしな……お前………………………………バカだしな」 真顔。

ジャック「…………………………………………」

    「…………………………………………」

    「……………………弁当よこせや、ゴルァーッ!!!!」 逆ギレして襲いかかる。

ヴァルト「やるか、ボケ」

 

 あっけなく、ヒジテツで返り討ち。

 ガックリ。その場に沈むジャック。


▽つづきはこちら

ヴァルト「いいだろう。一応は上に話を通しておいてやる。捕虜を捕らえたのは……学徒共だが、運んで来たのはお前たちだ。まったく無関係の奴よりは少しくらい話も聞いてくれるかもしれん。追って結果を知らせる。……とりあえず邪魔くさいから帰れ。いるだけで目障りだ」

ジャック「は……はひ……」

 

 顔面にヒジテツをメリ込まされて、鼻血ブー。

 お騒がせクンがドラゴンで飛び去る様を窓から見送るナーダ。

 

ナーダ「なぁにハリキッちゃってんだか」

ヴァルト「さぁな」

ナーダ「推薦してあげるの?」

ヴァルト「……うーむ。悩めるところだ。奴は剣の腕も一流だし、機転も利く。しかし……………」

ナーダ「バカだからねぇ」

ヴァルト「バカだからなぁ」

 

 二人、同時に息をついたところへレヴィアス登場。

 

レヴィアス「また例のが来ましたな」

 

 ジャックの去った空を見上げる。

 

ヴァルト「いや、お恥ずかしい」

レヴィアス「出来の悪いのを部下に持つとさぞや大変でしょうな

ヴァルト「いえ…………はぁ、まぁ」

 

 曖昧にお茶を濁す。

 確かにその通りなのだが、改めてジャックを知らない人間に言われるといささか腹が立つ。

 奴が学徒の時にはすでにレヴィアスも教官だったのだから、全く知らないというワケではなかったが、所詮、黒薔薇と青薔薇だ。

学問以外に接点はなく、またジャックは劣等生な上にあの図々しい性格ときているものだから、レヴィアスに在校時から嫌われており、ジャックもジャックでレヴィアスの授業を取らなかったからなおさらだ。

 どちらにしても、教え子を悪く言われると面白い気持ちはしない。

 

ナーダ「学徒時代から困らせられていたものねぇ?

ヴァルト「…………まぁな

 

 ジャックという人間をよく知る赤、青薔薇の教官たちに言われる分には不思議と何も感じないのだが。

それどころか奴を肴に笑い話にも発展する。

 赤、青の教官たちは口で何だかんだ言っても、教え子たちを軽視したりしないからだろう。

きっと、その差だ。

 

レヴィアス「ところでお二方。ニケ様は?」

ナーダ「ニケ? あ、ああ。ニケ様なら……今日は城の方に行ったらしいから、数日は戻らないんじゃないですか?」

レヴィアス「……そうですか」

ヴァルト「何か?」

レヴィアス「いえ」

 

 それだけ言うと、次の授業があるからと足早に職員室を出て行く。

 

ナーダ「あの人、いつもニケニケなのよね」

ヴァルト「尊敬しているらしいぞ」

ナーダ「私はあの生き物の、どの辺を尊敬しているのかさっぱりわからないわ」

ヴァルト「アゴが長くないところじゃないか」

 

 レヴィアスの身体的特徴である、せり出たアゴのマネをする。

 

ナーダ「……アンタねぇ……」

 

 それで気が済んだのか、ニヤリと笑って腰を浮かせるヴァルト。

 

ヴァルト「さて。俺は時間が空いたからな。詰め所に行ってくる」

ナーダ「何? 早速、ジャックの願い聞いてやるワケ? アンタも大概、甘いわね」

ヴァルト「どうせ却下だろうがな」

 

 ジャックのドラゴン・エリーゼよりもいくぶんたくましい竜に乗って、ヴァルトも養成所から飛び去った。

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