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レイディ・メイディ 33-5
2008.04.22 |Category …レイメイ 33話
フェイト「君は会えばいつもトラブルに巻き込まれているな」
水をかぶっていたこともあったし、試験ではリクと仲良く空中ブランコで、あと少し遅ければ谷に真っ逆さまだった。つい2,3日前は男子学徒に囲まれてどつかれていたなと思い浮かべる。
そのときもちょうどフェイトが助けに入ったのだが……、
メイディア「助けたなどと思わないでちょうだい。ワタクシ、一人でも十分切り抜けられたのですから」
手からノートを奪い返す。
フェイト「……可愛くないな、ホンットに」
彼女はいつもこの調子。
別に感謝して欲しいと思ったワケではないのだが。
▽つづきはこちら
メイディア「結構。貴方に可愛いと思われたいと願った試しはございませんので」
フェイト「ハイハイ、そうですか。こちらこそ願い下げですよっと」
メイディア「それから」
一歩近寄って顔を見上げる。
フェイト「なんだよ」
メイディア「コレはワタクシの物ではありませんから、恋愛小説というのも、嘘です。…………よろしくて?」
フェイト「どっちだって関係ない」
メイディア「そうね。貴方は世の中の全てが“どうでもよくて”“関係ない”のですものね!」
ベーッ!と舌を出して憎らしい態度をとるとスカートをひるがえして走り去ってしまう。
赤いノートを胸に抱いて。
なんて女だ。
フェイトが呆れ返っていると、後ろからクロエとステラが声をかけてきた。
クロエ「またメイディが一悶着?」
フェイト「歩くタイフーンだな、まったく」
クロエ「……自分から孤立してってるように見えるよね、特に最近……大丈夫かなぁ」
ステラ「いいんじゃないの? 自業自得だもん」 興味がないといったように吐き捨てる。
フェイト「…………………………」
確かに、巻き込まれて助け出すときは常に一人だ。
取り巻きはすっかりいなくなって、寂しい限りである。
フェイト「イジけてとんがってるだけだろう」
クロエ「そういう言い方やめてよ」
フェイト「鼻っ柱が高いだけのお嬢様には、いい薬なんじゃないか?」
クロエ「またそういう~……」
軽くにらみつける。
フェイト「ただ……」
クロエ「うん?」
フェイト「やり過ぎだな。周りがとやかく言うことじゃあるまいに」
クロエ「ん? そうだね。悪い方向に風が流れてる……」
何ということもなく、窓の外に視線を投げると小鳥が二羽、互いにもつれるようにして空を横切っていった。
授業開始のチャイムが鳴る。
クロエ「あ。いっけない。急がなきゃ! ヒサメ先生だ」
ステラ「フェイト君もヒサメ先生の授業なの?」
フェイト「まぁ」
クロエ「さては、ヒサメ先生のニンポーの巻物を狙っているのね!?」
フェイト「ハ?」
ステラ「気にしないで。この子、病気だから」
興奮して鼻息を荒くするクロエの頭上に教本の角で軽くごつく。
フェイト「……ニンポー?」
職員室。
ジャック「ヴァルト隊長大好きーッ!!!!」
少し遅い朝食をとっていたヴァルトが今まさに卵焼きを口に入れようとした瞬間、毎度お騒がせ男のジャックが飛び込んで来た。
教官全員の視線が集中。
ヴァルト「キショイ登場をするな。卵焼き目当てか」
ジャック「卵焼きもそうですが、エビフライの方が……」
ヴァルト「やらん」
ジャック「チッ。ケチンボ大王」
ヴァルト「何の用だ。卒業生が年がら年中出入りするなよ」
シッシ! 迷惑顔で手を振る。
ジャック「まぁそう言わずぅ♪ エビフライよこせや、コラ☆」
弁当のオカズを勝手につまむ。
ジャック「例の宗教団体のことですが」
エビのしっぽを口からハミ出させた格好で、前振りもなくいきなり核心の話に触れた。
ヴァルト「うん?」
ジャック「自分に潜入させて下さい」
ヴァルト「オイオイ」
ジャック「捕虜……いましたね? 彼と共に団体の内部をさぐりたいと思うのです」
ヴァルト「ずいぶん唐突じゃないか」
どさくさにまぎれて、もう一つつまもうとした手を叩き落とす。