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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-4

 ……赤い表紙のノートが、落ちていた。

 

メイディア「?」

 

 一人寂しい食事を終え、教材を胸に抱くようにして廊下を静かに歩いていたメイディアがノートに気づいて足を止める。

 落とし物のノートをかがんで拾おうとしたら、自分のと勘違いされたのだろうか。

目の前で踏み付けられてしまった。

 

女学徒「あーら、ごめんあそばせ。メイディア様!」

   「あんまり覇気がなくなっていらしたから、存在に気づきませんでしたのー

   「あはは、端っこ歩きなさいよぅ」

 

 数人の少女たちがせせら笑った。

 取り巻きがいなくなったことで、ずいぶんと格が落ちてしおらしくなったように見えるのか、今までちょかい出さなかった連中も悪ノリするようになってきた。

 それでもなお、本人の態度が相変わらずであることが反って反発心を誘発させている。

 だからといって態度を改めるメイディアでない。

相手が相手なら、さらに意固地になるのが彼女。

 レイオットまでもとうとう見放したことで、勢いづいた一部が悪ノリを始めると便乗する人間が増えて際限なく広がってゆく。

 今や彼女は四面楚歌の状態に陥りつつあった。


▽つづきはこちら

 今や彼女は四面楚歌の状態に陥りつつあった。

 救いがあるとしたらそれは数少ない、彼女が友人と思っているお人よしのレイオットとクロエくらいであったが、二人とも専攻は違うし部屋も別々だ

 それにクロエ一緒に行動することはほとんどなくこちらからは特別な友達でも向こうからはきっと違うであろうことくらい、メイディアにだってわかる。

 姉のように慕うレイオットは、夕べケンカ別れしたままだ。

 後になって冷静に考えてみれば、人が良過ぎる彼女が他人に対して疑いを持ってくれるわけもない性格からしてクロエに言っても同じことだと思い、口にはしなかった。

 ルームメイトについ不満を洩らしたなら、メイディアがシラーの悪口を言っていたと広まってますます立場がおかしくなってしまう。

もはやルームメイトさえも信用ならない。

こうなったら一人で戦うしかないと考えなしのメイディアは決意を固めるのだった

 私はメイディア=エマリィ=シャトー!

 屈服する側の人間ではないということを知らしめてやるのだ。

 

メイディア「謝るくらいなら、その小汚い足をどかしなさい

     「それから。ワタクシが端を歩くことはありません。貴女がたが避けるべき。ワタクシは……」

 声をそろえて、女学徒たち「メイディア=エマリィ=シャトー!

 ……キャハハッ♪」

メイディア「わかっているなら早いわ。さ、そのノートを拾いなさい」

女学徒「お断り! もうアンタの正体なんてわかってるんだから!」

メイディア「何が正体ですか。ワタクシにそのような口を利ける身分とお思い?」

 

 メイディアが細眉を吊り上げると女学徒たちはまた声を上げて笑う。

 

女学徒「どんな身分だっていうのよ。もうお芝居は終わりにしたら?」

メイディア「無礼な! お前の顔、覚えましたからね」

女学徒「キャー、こっわーい♪」

 

 中の一人がサッとノートを拾い上げた。

 

メイディア「あっ、それは……」

     『ワタクシのでは…………!』

女学徒「あーっ! 見てよ、コレ! 恋愛小説じゃない!?」

   「どれどれ、見せて? …………超ダサ! これって自分のこと書いてるんじゃないの!?」

メイディア「いい加減になさい! 他人の物を勝手に開くとは何事ですか! 手癖の悪い! これが将来の薔薇の騎士とはお笑い種ですわね!」

 

 女学徒たちが言い返そうと口を開いたとき、手からノートが消えた。

 はっとして振り返ると上からノートを引っこ抜いた主、フェイトが眉根を寄せて立っていた。

 

フェイト「同感だな、俺も」

女学徒「フェイト君……」

 

 同じ青薔薇の少女が決まり悪く縮みあがった。

 

フェイト「薔薇の騎士はヒトの秘密を嗅ぎまわるのが仕事だったかな?」

 

 ノートの背で軽く自分の肩を叩く。

 

女学徒「い、行こう」

   「うん」

 

 あわてて逃げ出していく。

 

女学徒「なーによ。カッコつけちゃって」

   「いけ好かないよね、自分のことカッコイイとか思っちゃってんじゃないの!?」

 

 聞こえていないつもりなのか、チラチラと後ろを振り返っては小声で非難して距離を取る。

 

メイディア「いたいことがおありなら、大きな声でハッキリとどうぞ

 

 追い打ちをかけられて我先にと駆け出す女学徒たち。

 

メイディア「ふん」

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