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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 33-17

 本人を目の前にすると萎縮してしまって、さっきまで滑らかだった口は貝のように堅く閉ざされ

 

メイディア「さぁ!!」

 

 詰め寄られ、仲間の陰に隠れるアンがさらに後ろに引いた。

 

クラスメイトたち「ちょっと!! 弱い子を独り狙いみたいに言うのは卑怯じゃない!?」

メイディア「では多くの方々に守られて言いたいことを代弁させ、自分は決して表に出て来ないのは卑怯ではないと?」

アン「!!」 カッと顔の温度が上昇した。

メイディア「大勢に囲ませているのだから心配ないでしょう。出て来なさい、アン。貴女の口からならワタクシは話を聞きますが、代弁者と論じるつもりは一切ないのでそのつもりで」

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レイディ・メイディ 33-16

 騒ぎのあった翌日。

 

アン「レイ様もメイディとケンカしたでしょ。レイ様もこっち側なんだよね」

 

 メイディアがアンの大切なノートを盗んで人に見せびらかし、目の前で破り捨てた悲劇の一幕は瞬く間にクラスの女子の間を駆け巡った。

 “大親友のシラー”と“メイディアをとうとう見捨てたレイオット”と“皆”という後ろ盾をつけたアン自身が「ここだけの話あちこち触れて回ったためだ。

 小説の内容について触れる者は誰もおらず、思ったよりも広まっていないと安心した彼女だったが、何のことはない。

メイディアをからかおうとした別のクラスの女の子3人以外は誰も見ていないのだから広まりようもないだけだ

その別のクラスの3人というのも、アンの物とは知らず、1ページを拾い読みして囃し立てただけの話。

詳しい内容まで興味もない。

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レイディ・メイディ 33-15

シラー「あー、サボりサイコー」

 

 伸びをしてからストンとベンチに腰を落とした。

 

アン「……………………」

 

 アンも同じく隣に腰を落ち着けて、ひざの上に真っ二つにされたノートを乗せる。

 

シラー「メイディとケンカしたんだってぇ?」

 

 話し出すのを待っていたら、いつまでも黙っていられそうなので、いきなり本題を切り出す。

 

アン「ケンカじゃない…………イジメよ」

シラー「ふんふん」

 

 涙は止まったものの、まだしゃくりあげているアンはぽつりぽつりと話始めた。

 途中途中、シラーは大袈裟に驚きと怒りを表現して同調させながら、相槌を打つ。

 

シラー「まったくひどいわよね、あのバカ女」

アン「メイディは私を初めから気に入らなかったのよ。言うことを聞かなかったから」

シラー「エッ!!? ……あ、うん。そうね」

   『ハァ? 何言ってんの、コイツ? 本気ィ?』

 

 お嬢様の言うことを過剰なまでに聞くアンは、自ら召し使いに成り下がる取り巻きの一人だったではないか。

心の中でだけは反発していたものが、頭の中で実際の態度とすげ替えられたに違いない。

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レイディ・メイディ 33-14

 呆れてものが言えない

あんぐり開いた口がふさがらない。

…………とはまさにこのこと。

 残されたアンはノートにすがり、大きな声で泣きだしてしまう

 

レク「あああああっ!! どーしよ、どーしよっ!?」

フェイト「お前がパニックするな」

 

 スパンと後頭部を叩く。

 

レク「だってだって……あああっ、そうだ、俺がしっかりしないとこの場合、フェイトは物の役に立たないんだった!!」

フェイト「何だよ、ソレ」

 

 カチンときて何か言い返そうとしたが、次の言葉によってぐうの音も抑えられる。

 

レク「人間関係悪化させるの得意技じゃないか、フェイトは」

フェイト「…………………………」

 

 一言多いわそっけないわで確かに人間関係豊かにできる性格ではない。

波風を立てるのは得意だが、収めるのは大の苦手ときている。

 他人と上手くやっていく、こればかりはレクに一生かなわないだろう。

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レイディ・メイディ 33-13

フェイト「……まーた、あのお嬢様がからんでるのか。いい加減、うんざりだな」

レク「最近、毎日、誰かといさかい起こしてるからなぁ」

 

 女の子同士のケンカが中で始まっているのか。

 入りずらい。

二人はドアの前で立ちすくんだ。

 

アン「4時間目までちゃんとあったのよ!! 落とすハズがないわ、コレだけは忘れたり落としたりしないようにいつも気をつけてるんだから!!」

メイディア「でも現にッ……」

 

 落ちていたではないか。

 

アン「どうせ中身を見て笑っていたんでしょ!! ヒドイっ!!」

 

 怒りと羞恥で浮いた涙を袖で拭う。

 

メイディア「中なんて見ておりませんわ」

アン「でもリク君たちに見せようとしてた!! 私、知ってるんだから!!」

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レイディ・メイディ 33-12

 翌日の早朝マラソン終了後、氷鎖女は申し訳なく見つからなかったことをアンに告げた。

 

アン「ちゃんと探してくれたの、先生!?」

氷鎖女「探したとも。隅の隅までずずいっと」

アン「そのカルイところが信用ならないぃ~!」

氷鎖女「んなこと言われてもなかったんだもの……」 口を尖らせる。

 

 これでも夜中の3時までは術まで使って捜索したのだ。

 大切なノートの行方が未だ不明の彼女八つ当たりをして「もう頼まないからいい」と言葉を叩きつけて、困り果てた氷鎖女を残し大股で学舎に戻った。

 

アン『もうっ、もうっ! 先生のバカ! 役立たず! 本当にちゃんと探してくれたのかしら!?』

 

 昨日はパニックに陥っていたうえに疲れも手伝って、簡単に先生を信用して任せてしまったけれど、日付が変わり、冷静になってよくよく考えてみれば先生にとって生徒のノートなんてどうでもいい物ではないか。

そんなに必死になって探してくれるハズもないと思った

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レイディ・メイディ 33-11

氷鎖女「どのような帳面でござるか?」

 

 また七面倒なことを……。

心の中で毒づいたが、仕方がない。

 

アン「表紙が赤いノートなの。でも見つけても絶対中は見ないで!」

氷鎖女「承知」

 

 アンの移動した場所をもう一度調べ直そうと初めに戻ることにした。

 廊下から教室から、隅の隅まで探し回ったが、結局、ノートは見つからずじまい。

 

氷鎖女「誰かにもう拾われたのでは?」

 

 どう考えてもそれが妥当だ。

だがその結果は一番アンが避けたい事実で悲痛な声を上げる。

 

アン「だったらどうしよう、私、生きていけない!」

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