HOME ≫ Entry no.357 「レイディ・メイディ 29-9」 ≫ [364] [361] [360] [359] [358] [357] [356] [355] [354] [353] [352]
レイディ・メイディ 29-9
2008.03.30 |Category …レイメイ 29話
リク「目標を変えたのか」
思ったとおり、2つの魔法が同時にこちらに向かってきた。
リク「やはり」
『これは…………、まともに受けたらシールドが破壊される』
手早く魔法の盾を張り、リクはレクとレイオットを信じて、その表面にわざと魔力ムラを作って攻撃魔法を四方八方に飛び散らせた。
戦術的に狙ったのではなく、滑らせて力を殺がないことには受けられそうもなかったのである。
それほど相手からの魔法攻撃は強力だった。
敵のマジシャンは当然のようにこれを防ぎ、剣士の方も片方は白魔術を操る剣士だ。
結界は十八番とばかりに防いでしまう。
味方の剣士2人は上手いこと、敵の白魔術師が張る結界の後ろに逃れてくれた。
▽つづきはこちら
試験官室でこの戦いを見ている教官たち。
半日交代で務めているため、早朝に徹夜勤務の教官グループと代わったばかりだ。
赤薔薇教官「アイツラは何をやりあっているんだ?」
青教官「どちらか札をなくしたのでは?」
赤教官「ああ、それで奪い合いを」
赤薔薇教官がうなづいた。
1位で戻ってきても、ちゃんと頂上のモンスターを倒してきたという証明になる札を持っていなければ試験は無効になる。
しかもその札はイジワルなことに、全チーム分の枚数用意されていないのだ。
いくつかのチームは他のチームから実力行使かはたまた知略によって奪わなければならないのだった。
白教官「しかしよりによって、あの二人が激突することになろうとはね」
黒教官・レヴィアス「ええ。良いものを見られましたよ」
レヴィアスは尖った顎をなでながらほくそ笑んだ。
画面に映し出されているのは、彼が密かに自分の手元に引き抜きたいと目をつけている二人の天才、リク=フリーデルスとクレス=ローレンシアのいる組であった。
赤、青薔薇教官2人はフェイト=ウィスタリアとレイオット=ジーエルン。
そして最近、急速に実力をつけだしたレク=フレグリットに注目しているようだったが。
それらが二手に分かれて、何故か対峙している。
赤教官「そういえば人数も足りてないようだが。どうしたんだ?」
夜勤の教官が残していった成績チェック表に目を通す。
どうやら、途中ではぐれてしまったらしい。
しかもそれぞれまったくの勝手に歩き回ってしまったのだとか。
他の組もどれもこれも同じようにはぐれ者が続出している。
G班、S班と同じように同士討ちが始まっているチームも珍しくない。
赤教官「霧の発生のせいか。それにしてもだらしない」
太い腕を組んで熊のようなモジャモジャの髭をしごいた。
青教官「霧のときは動くものじゃないのだがね」
同意してうなづく。
赤教官「まったくだ」
レヴィアス「ですが、動こうとしたのは中の一部です。血気盛んな者を止められなかったのでしょうな」
さりげなく、先に行こうと言い出した赤薔薇、青薔薇の学徒を非難する。
現場では尚も激しい競り合いが続く。
クレス「クソッ! 同時攻撃も跳ね返された」
メイディア「しかもこれは攻防一体型結界ッ!」
敵に魔法をはじき返された二人は爆風から腕で顔をかばった。
氷鎖女『ふぅん。この魔法、この気配……。これは―……今戦っているのは……』