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レイディ・メイディ 29-12
2008.04.01 |Category …レイメイ 29話
レイオット「でも良かった。このままじゃ相打ちになっていたかもね」
メイディア「ワタクシが投げたおかげで、リクとナツメが顔を合わせたから、わかったことです。感謝なさい」
図々しく胸を張る。
クロエ「スゴイ、メイディ!」
簡単にだまされて拍手するクロエ。
クレス「んなワケあるかっ!」
二人に忙しくツッコミを入れてから、クレスはナツメを気遣う言葉をかけた。
クレス「ちょっと! 平気なワケ?」
▽つづきはこちら
心配しているなら、それらしくすればいいものをワザと不機嫌を装う彼はへそ曲がり君だ。
氷鎖女「……………………」
クレス「ナツメ」
氷鎖女「? …………私?」
クレスに身を案じてもらえていると思っていなかったのだろう。
ぼんやりしていたナツメが少し驚いたように目をしばたかせる。
クレス「他に誰がいるのさ」
リク「俺♪」
自分を指差してニッコリ。
クレス「お前なんか知らないよ」
リク「わー、またそういう冷たいこと言う」
お手上げのポーズでおどけた。
レク「これからどうしようか? 俺たちチームが半分にはぐれちゃったんだ」
クロエ「ウチもダレスがいなくなっちゃって…………見なかった?」
レイオット「いいえ。会ったのは貴方たちだけ」
クロエ「そっか。私たちもなんだよね。ダレスは近くにいたはずなのにどうして戻ってこなかったんだろ。もう声も聞こえないわ」
肩をすくめる。
メイディア「はぐれたときはとりあえずゴールを目指すことになっているから、きっとゴール近くで会えますわよ。行きましょう。時間ロスしちゃった」
1位にどうしてもなりたいメイディアは、戦いの疲れを休めるのもそこそこに浮き足立つ気配を見せた。
早朝から濃厚な霧で覆われていたが、アンやステラの所属するこの班は順調に進み過ぎていたため、欲が出てきて晴れるまで待たず、そのまま進もうということになっていた。
ステラが危険だからと反対したが、血気盛んな剣士連中に強い態度で押し切られ、仕方なく白い闇の中を歩いていた。
いつもなら気の小さいアンもステラに賛同するところだが、今回に限っては上の空で班の決定した方針さえ耳に届いていない。
再試験が決まってから、彼女はついていないとずっと考えていた。
本当だったら、自分は今頃、意中の人と一緒にこの一週間なり10日間、一緒にいられたのに。
ナツメとかいう余計なのが入ったせいで、元の班は一人ずつズレこんだチーム編成となっていた。
アンがいるハズだったS班には、よりによってシラーが配属されている。
決してシラーが嫌いな訳ではなかった。
むしろ意地悪で高飛車なメイディアの対抗馬として応援している彼女だったが、自分の見ていない範囲でリク=フリーデルスと一緒だとなれば話は別だ。
シラーはレイオットのように誰が見ても均整の取れた完璧なる美しさは持ってはいない。
けれどレイオットにはない、女臭さがある。良きにつけ悪きにつけ、とにかく女臭い。
その女臭さは同性からは嫌われる傾向にあるが、異性からはどうであろう。
個人の好みの差はあれど、一般的には魅力的に映るのではないか。
触れれば柔らかいと思わせる肢体は16とは思えないほど成熟しているし、やや厚めのぽってりとした唇は魅惑的。
強い眼差しは情熱が込められて燦然と輝いていたし、また男の征服欲をかき立てるように挑戦的でもある。
それでいて性格はどうかというと、派手な外見と裏腹に控えめでおとなしい。
見た目も地味なアンがおとなしくても何の変哲もない、つまらない女の子というだけだ。
派手なメイディアが気の強い、ワガママな性格というのも誰の予想も裏切っていない。
けれどシラーはどうだろう。
軽薄そうな外見に相反して情け深い女の子らしさを兼ねそろえていたら。
意外性に男はまいってしまうのではないか?
そこまで考えて、本日何度目かのため息をついた。
彼女はアンがリクを好きなことは知っていて、協力するとまで言ってくれているから、おそらく心配はないとは思うのだが……