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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 29-13

 それからもう一つ。

気になることがある。

 ナツメとかいう赤薔薇専攻らしい女の子だ。

 なぜあんなにもリクは初対面の子に興味を持ったのか?

 ひっかかれて嫌いになっていればいいのだけれど。

 アンは朝から晩まで、リクのことを考えていた。

 彼に恋する沢山の中から特別と思ってもらうにはどうしたらいいのだろう。

 彼は優しいけれど、それは自分だけに向けられるものではなくて、どんな人間にも同じように優しいのだ。

 あの根性曲がりの冷酷な貴族娘に対してだって、残酷極まりない悪魔の申し子のようなクレス=ローレンシアに対してだって向けられる柔らかな好意は変わりなく。

 それどころかメイディアにクレス……それからナツメのような変わり者にリクの方から依っていっているような気さえする。

 ここでいう「変わり者」とはアン定義で、リクに好意を寄せない者ということだ。


▽つづきはこちら

 魔法の成績、学問、教養、ダンス。

どれをとっても秀でいてる。

本物の天才というのはああいう人のことを言うのだ。

 見目に麗しい彼を好きにならない女性はこの世にいない。

いるわけがない。

 どうしてあんなに美しい人がこの世の中にいるのだろう。

彼こそ神の芸術品だ。

 そんなリクに出会った女の子は不幸に違いない

きっと他の男の子なんか好きになれなくなってしまうだろうから。

 

アン「ううん。気のないフリして、メイディもナツメとかいう子も本当はリク君が好きなのかも」

ステラ「? どうしたの、アン?」

 

 首を振って何もないことを示すとステラは首をかしげた。

 

アン『気を引こうったってそうはいかないんだから』

 

 自分にはもう反メイディア派の仲間がついており、彼女に媚びなくても後ろ盾にはシラーがいる。

 強気に出られると弱いアンだから、部屋では今まで通りおとなしくしているが、一歩外へ出ればメイディアなど敵ではないと思っていた。

 それからナツメだが、顔はよく見えなかったが、そこは問題ではない。

あれだけ気の小さな子なら自らアピールできるとも思えないし、リッ君ファンクラブの子たちによって、仲間外れが関の山だ。

 考え事をしていたら、足が滑って手をついてしまった。

 大丈夫かとチームメイトが手を差し伸べた、その隙間に刃物が振り下ろされる。

 

アン「ヒッ!?」

チームメイトたち「!!」

 

 続いて、2撃、3撃と振り下ろされ、剣士の3人が敵の攻撃を剣で受け止めた。

 だが、相手は学徒の力量をはるかに上回っており、殺気立てて襲ってくる。

 ……試験のために用意された敵とは思えなかった。

 誰というでもなく逃走するチームメイトたち

ステラ「待って……キャッ!」

 

 後ろで誰かが転んだ気配がしたが、アンは振り返れなかった。

 

アン『大丈夫。だって、これはただの試験なんだからっ!!』

 

 走って走って、薮を抜けて…………………………突如、あるべきはずの地面が消失した。

 

アン「きゃああぁーっ!!!」

 

 アンが消えた後にはただ白い霧。

 カラコロと乾いた音を立てて小石が落ちて行った。

 

 

 互いに敵と思い込んで戦った2チームが安堵して、わずかな休息の間に談笑していた時、彼らの会話にかぶせて突然、このメンバーではない悲鳴が山の中に反射した。

 もっと上の方だ。

 戦いで傷つくという程度ではなく、まるで断末魔の叫びのような切迫した声に、全員が緊張を走らせる。

 

レイオット「今の……誰!?」

レク「何かあったのかもしれない、行こう!」

 

 疲れて木の根に腰掛けていたレクがすばやく立ち上がる。

 

フェイト「方角はこっちの方だったな」

 

 弾かれてそれぞれが駆け出した

 

メイディア「ちょっと! お待ちになって!! 試験は? どうしてお戻りになるの!?」

レク「今の悲鳴は普通じゃない! きっと、マズイことになってるんだ」

メイディア「でもチーム制ですわ! チームの誰かがちゃんと……」

レイオット「レクの言うとおりよ、今の、普通じゃない。助けが必要かもしれないわ」

メイディア「ワタクシ、1位でないと困るのっ」

フェイト「じゃあ一人で先に行ってろ! はぐれたときは、ゴール前で、だろ?

メイディア「……ぐっ……」

     「チームはそろってゴールじゃないと認められませんのにっ!」

クロエ「どっちにしてもダレスがいないと無理よ、メイディ」

 

 言い合う間にも剣士3人は坂を駆け上がって行く。

 そのすぐ後をクロエが追いかけた。

 

氷鎖女「…………どうする? 追う? 止める?」

 

 ギ、ギ、ギ。首をかしげて、残りの3人の判断を問う。

 

 にっこり笑顔を張り付かせた、リク「そうだね。追わないとまたバラバラになってしまうし」

 憮然とした表情で、クレス「アイツラ、言っても聞きそうにないし」

 声をそろえて、リク・クレス「仕方がない」

 

 二人、同時に走りだす。

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