HOME ≫ Entry no.352 「レイディ・メイディ 29-6」 ≫ [357] [356] [355] [354] [353] [352] [351] [350] [349] [348] [347]
レイディ・メイディ 29-6
2008.03.28 |Category …レイメイ 29話
メイディア「それについては先程、謝罪致しましたでしょ! 貴方こそ、男のクセに小さいことをいつまでも」
フェイト「俺を巻き込んだかどうかじゃない。視界が悪いのをナメてコケたんだろって言ってるんだ」
メイディア「ふーんっだ」
すねるメイディアを無視して、フェイト「ダレス! そこで待ってろ、勝手に進むな。皆と合流だ」
指示を飛ばすフェイトの袖をナツメが引いた。
フェイト「?」
ナツメ「ダレスは……放っておこ」
フェイト「は?」
▽つづきはこちら
ナツメ「この霧、おかしい」
フェイト「……どうおかしいか知らないが、ダレスを放っておくわけにはいかないだろう。でも……おかしいというのなら、念のため、クレスとメイディアに見てもらうか」
赤薔薇専攻のナツメの意見で魔術的にはシロウトのハズだが、こういった非日常にある状況下ではどんな些細な気づきでも無視しない方がよいとフェイトは判断した。
その些細なことこそが命運を分けるカギとなる可能性も否定できない。
フェイト「クレス、メイディア、この霧……魔術的にはどうなんだ?」
クレス「……待って」
女の姿を象った杖を手に呪文を唱えようとした、そのとき、敵が出現した。
フェイト「チッ!」
すぐさま剣を抜き放ち、陣形を組もうとして気が付いた。そうだった。ダレスがいないのだ。
フェイト「ダレス! 早く戻れ! 敵だ」
クレス「待っているヒマはない、先手必勝!」
クレスは呪文を攻撃に切り替え、氷の魔法を放った。
しかし相手は今までの木偶とは違うようで、魔法を軽く跳ね返してきた。
フェイト「ちっ!」
先頭にいたフェイトに氷の吹雪が襲いかかり、
クロエ「……えいっ!」
直前でクロエが結界を張る。
クロエ「……くっ、クレスの呪文が強すぎるわ」
魔力と魔力がせめぎ合い、今にも結界が破られそうなところで跳ね返ってきた氷の魔法の勢いが消滅してくれた。
間一髪だ。
フェイト「手ごわいぞ!」
クレス「わかってる!」
クロエ「敵の位置もわかりずらいわ、足場も悪い、気をつけて!」
フェイト「いくぞ、ナツメ! フォローを頼む」
ナツメ「……………………」 黙ってうなづく。
クレス「今度の相手は魔法を跳ね返す防御を持っているみたいだ。下手に仕掛けられないな」
メイディア「さらに強力な呪文で粉砕してやればいいのだわ」
霧の中にまぎれている影に向かって、まずはフェイトが斬り込んだ。
剣と剣がぶつかって金属特有の音を鳴らす。
こちらはダレス不在でナツメはてんで話にならない、魔法は跳ね返される。
攻撃の要がフェイトだけでは手が回らないかもしれないと、クロエも腰の剣を抜いた。
クロエ「魔法の攻撃はクレスが防いで! メイディア、補助をお願い」
クレス「わかってる」
メイディア「ええ」
クロエの剣にメイディアの魔法が伝染し、攻撃力を増加させる。
クロエ「行ってくる!」
フェイトは相手の剣と組み合ったが、向こうは力の押し合いには応じず、スルリとかかる圧力をそらして、スピードを緩めず切っ先を喉に突き付けてきた。
首をよじってそれをかわし、利き足を強く踏み込んで相手の懐に入り込んだ。
フェイト「もらった……っ!」
だが、割って入ったもう一人の敵に体当たりを食らわされ、木の幹に激突。
フェイト「くそっ!」
間髪入れず、突き出された剣を辛くも避けて間合いを取る。
襲ってきた剣は木に突き刺さったが、もたつくことなく引き抜かれ、次の一撃を放ってくる。
押して押されて、激しい攻防戦。
先程、倒され損なった敵も参戦してきて、フェイトはあっと言う間に窮地に立たされた。
氷鎖女『さて、どうするか見物だな』