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レイディ・メイディ 29-18
2008.04.03 |Category …レイメイ 29話
フェイト「おいぃ~……」
レク「もしかして何かあったかな?」
耳をすませば、剣撃が聞こえるではないか。
戦闘が始まっていたのだ。
レク「戦闘が起こってる! 急ごう!」
フェイト「ああ。だが、立てるか、……えと……?」
レク「ステラだったよね、クロエの友達の。肩を貸すから……立てる?」
ステラ「うん、なんとか。ありがと」
▽つづきはこちら
ステラのわきの下に自分の腕を通して引っ張り上げ、
レク「フェイトも反対側を」
フェイト「……待て。向こうは戦闘中だ。連れて行く気か?」
レク「そ、そっか。そうだな……敵を無視してこっちに来るようにレイオットたちを呼ぼう。うん、それがいい」
自分で問答して勝手に納得するとレクは声を張り上げた。
レク「ケガ人を保護! ケガ人を保護! 敵は捨て置いて、こっちに集合!!」
ステラ「皆ともはぐれたけど、大丈夫かしら……」
レク「心配ないよ。ともかく、クロエが来たら白魔法で治療してもらおう」
フェイト「まったく。霧の中を動き回るからこんなことに……」
レク「ケガ人を責めるなよ」
フェイト「ウチのダレスのことも言ってるんだ。お前のところのチームもな。そっちは大かた、ロドル辺りが言い出したんだろうが」
レク「……う」 図星。
フェイト「だからこんなことになる」
「………………優勝、しなきゃいけなかったんだがな」 肩で息をつく。
ステラ「優勝? 1位になっても賞なんかつかないでしょ?」
フェイト「俺たちにはな」
言って、メイディアの言葉を思い浮かべた。
フェイト「いたんだ。一人。優勝しないと困る奴が」
だから、急いでいたのに。
フェイト『ま、どうせ賞は口説く権利だけで、その後は知らないけど』
赤毛の王子様とやらが彼女を受け入れるのかどうかは、試験とは関係ないにしても、少なくともメイディアはその気でいる。
他人の希望をわざわざ潰す必要もない。
態度も素っ気なければ、言葉にもしないフェイトだから、メイディアの望みを叶えてやろうという
心づもりが彼にあったことは誰も知らない。
応援する義理はなかったし、しているつもりもないが、邪魔立てする気もまたなかった。
彼はそういう人間だ。
レク・ステラ「優勝しないと困る人?」
フェイト「いい。気にするな。こっちの話だ」
会話を区切って、しばらく待ったが相手からの反応が返ってこない。
レク「……おかしいな。聞こえないのか。ちょっと行って来る」
フェイト「今度こそ、ロープを」
レク「OK」
そんなに遠くまで移動したワケではない。
霧の中でも方角さえ間違えていなければ、たどりつく。
レクは周囲に気を配りながら手探りで進んでいった。