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レイディ・メイディ 第30話

第30話:勇気、ヒトカケ。

 メンバーがステラの声を聞いたとき、一行少し間を置いてついてきていたリクとメイディアは、別の声を聞いていた。

 皆が見つけたと先を急ぎ出すと、ついていこうと少しあせったメイディアがまたも転倒してしまい、さらに距離広がる。

 

リク「あわてると転んで余計体力を使うし、体力を消耗すれば注意力も鈍ってまた転ぶ。急ぐなら、あせらない方がいいね、メイディ。皆に任せよう」

 

 手を差し伸べて、助け起こす。


▽つづきはこちら

メイディア「わかってます!」

 

 何度も転び、すっかり全身泥だらけになっているので、土を払ったところできれいにはならなかったが、それでもメイディアはスカートを叩いている。

 

メイディア「声の方向に向かえば道も間違いないでしょう。貴方は先に行ったらいいわ」

 

 早速、ステラとは別の方向を指さした。

 

リク「待った。違うよ、皆はこっちに行ったんだって」

メイディア「でも声を頼りに進んだのですのよ?」

 

 ほんの、ほんの少しの差だった。

 獣道が斜めにずれていただけ。

 

メイディア「でも……こっちから聞こえるもの」 口を尖らせる。

リク「……んー……確かに。呼んでみようか。皆ー、どこ…………」

声「リク……助け……」

二人「!!」

メイディア「やっぱりこっちです」

リク「だね」

 

 ステラの声より弱々しく聞こえていたのは、アンの声だった。

 顔を見合わせて走りだした二人。

 2mも進まないうちにリクが突然、目の前から消滅してしまった。

 

メイディア「??」

 

 目をしばたかせる。

 

リク「来るなッ! 崖だっ!!」

 

 姿の見えないリクが鋭く叫び、つんのめって止まるメイディア。

 

メイディア「……崖……嘘……」

 

 その場にペタリとしゃがみこんで、手探りで足元を確認する。

 確かに、その先には地面がなくなっていた。

 崖の下から吹き上げる風が濃かった霧を部分的に晴らし、リクを見つけだすのに一役買ってくれた。

 彼は幸い、下まで真っ逆さまではなく、少し下の出っ張りに手をかけてぶら下がっていた。

 

メイディア「……………………」

 

 生唾を飲み込む。

 

メイディア「リクッ! だっ……誰かっ! 誰か来てっ!! レク、レイオット!」

 

チームメイトではなく、日頃から頼りにしている二人の名を呼ぶが返答はない。

 リクの更に下にはアンがちょっとした窪みに体を預けていた。

 彼女の方は足場もあって、幸い、すぐに落ちることはなさそうだ。

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