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レイディ・メイディ 第30話
2008.04.03 |Category …レイメイ 30話
第30話:勇気、ヒトカケ。
メンバーがステラの声を聞いたとき、一行と少し間を置いてついてきていたリクとメイディアは、別の声を聞いていた。
皆が見つけたと先を急ぎ出すと、ついていこうと少しあせったメイディアがまたも転倒してしまい、さらに距離は広がる。
リク「あわてると転んで余計体力を使うし、体力を消耗すれば注意力も鈍ってまた転ぶ。急ぐなら、あせらない方がいいね、メイディ。皆に任せよう」
手を差し伸べて、助け起こす。
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メイディア「わかってます!」
何度も転び、すっかり全身泥だらけになっているので、土を払ったところできれいにはならなかったが、それでもメイディアはスカートを叩いている。
メイディア「声の方向に向かえば道も間違いないでしょう。貴方は先に行ったらいいわ」
早速、ステラとは別の方向を指さした。
リク「待った。違うよ、皆はこっちに行ったんだって」
メイディア「でも声を頼りに進んだのですのよ?」
ほんの、ほんの少しの差だった。
獣道が斜めにずれていただけ。
メイディア「でも……こっちから聞こえるもの」 口を尖らせる。
リク「……んー……確かに。呼んでみようか。皆ー、どこ…………」
声「リク……助け……」
二人「!!」
メイディア「やっぱりこっちです」
リク「だね」
ステラの声より弱々しく聞こえていたのは、アンの声だった。
顔を見合わせて走りだした二人。
2mも進まないうちにリクが突然、目の前から消滅してしまった。
メイディア「??」
目をしばたかせる。
リク「来るなッ! 崖だっ!!」
姿の見えないリクが鋭く叫び、つんのめって止まるメイディア。
メイディア「……崖……嘘……」
その場にペタリとしゃがみこんで、手探りで足元を確認する。
確かに、その先には地面がなくなっていた。
崖の下から吹き上げる風が濃かった霧を部分的に晴らし、リクを見つけだすのに一役買ってくれた。
彼は幸い、下まで真っ逆さまではなく、少し下の出っ張りに手をかけてぶら下がっていた。
メイディア「……………………」
生唾を飲み込む。
メイディア「リクッ! だっ……誰かっ! 誰か来てっ!! レク、レイオット!」
チームメイトではなく、日頃から頼りにしている二人の名を呼ぶが返答はない。
リクの更に下にはアンがちょっとした窪みに体を預けていた。
彼女の方は足場もあって、幸い、すぐに落ちることはなさそうだ。