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レイディ・メイディ 28-20
2008.03.24 |Category …レイメイ 28話
所々に設置された幻や土くれでできた敵を倒しつつ、山道を進む試験も山場を越えていた。
頂上で宝を守るガーディアンを想定した魔物が、番号札を取らせまいと待ち構えている。
これがこの試験のボスということになるのだが、実力者のそろったGの班の敵ではない。
短期決戦でこれを打破し、監視室で様子を伺っていた試験官たちを大いにうならせた。
クレス「ガーゴイルなんて目じゃなかったね」
メイディア「さ、急ぎましょう、早く早く」
折り返し地点で今度は坂道を下ってゆく一行。
氷鎖女『……アレ?』
隣を歩くクレスに違和感を覚えてナツメは足を止めた。
氷鎖女『よ…よもや、そんなハズは……!』
どき……
嫌な予感が胸の奥で小さな渦を作り出す。
▽つづきはこちら
クロエ「どうしたの、ナツメ?」
何でもないと首を横に振り、再び歩き始めるナツメにクロエもさして気に留めなかった。
しかし彼女?の目は、冷たくクレスを捕えている。
氷鎖女『まさかと思ったが、おのれ、あの野郎……!』
速度を上げてクレスに追いつくと、足を振り上げて、
氷鎖女「ごるぁアッ!!」
カカト落とし炸裂。
クレス「ゴッハァッ!??」 鼻血ブー!!
後ろを歩いていたフェイトとダレスが驚いて身体を固くする。
クレス「な…っ!?」
頭を押え、怒りに任せて振り向くクレス。
クレス「あにすん……っ!?」
氷鎖女「……ごめんなさい、私、ドジっ子で……」 しょぼーん……
フェイト・ダレス『ドジは嘘だっ! 今、ゴルァって言ったーッ!!!』
クレス「……………………」
『…………ドジっ娘……!!』
ドジっ娘→おとなしい→癒し系→可愛い。
クレスの中で謎の方程式が一瞬にして組み立てられた。
これで眼鏡でもかけていれば完璧だったが、全てを求めてはいけない。
クレス「……い」
「いいんだ! ドジっ娘なら、仕方ないよ、ドジっ子娘なら!!」
フェイト・ダレス『バカなっ!?』
氷鎖女「アリガトウ、クレスクンッテヤサシーノネ」
クレス「べ、別にそんなんじゃ……へへっ」 鼻の下をこする。
フェイト・ダレス『あからさまにだまされてる ッッッ!!!』
感情のこもらない礼の言葉に満足するクレスに周りは開いた口がふさがらない心境だ。
ドジっ子の蓑を着て、いきなり襲い掛かったナツメはといえば、口の中で「チッ」とか舌打ちなんかしちゃってる。
氷鎖女『おのれ、育ち盛りっ!! お前だけは友達だと思っていたのに、裏切り者―っ!!』
背も低ければ、心もスモールサイズのナツメならぬ氷鎖女は、勝手に身長が近いクレスを心の友にしてやっていた?のに、隣を歩いてだいぶ差をつけられていたことに気がついたのである。
氷鎖女『あーあ、アイツが頭をぶつけて縮んでしまいますようにー。……今のカカト落とし利いたかな? 小さくなーれ、小さくなーれ』
「フフ……フフフフ……」
ダレス「ナツメが怖いぞ、フェイト」 ひそっ。
フェイト「………気…気にするな」
氷鎖女「あ」
フェイト「今度は何だよ、俺にはドジするなよ、もう」 ジロリと睨む。
氷鎖女「……立ちショ……いや、厠」
フェイト「かわ……何だって?」
氷鎖女「厠」
フェイト「……確かトイレだっけ、その単語…。…普通にトイレって言ってくれよ……ハァ」
疲れたため息。
クロエ「カワヤー? 私も一緒に行くー」
氷鎖女「エッ!?」
ダレス「カワヤって流行ってんのか?」
メイディア「ではワタクシも」
氷鎖女「いや……それは……こ、困……」
クロエ「何が起こるかわからないんだから、単独行動は危険よ」
氷鎖女「いやしかし……!」
クロエ「何でそんなに嫌がるの、いつも?」
女子と一緒に小便できるか、アホーッ!!……などと、言えるわけもない。
氷鎖女「や……やっぱりしたくなくなった……か、な。ハ、ハハッ」
クロエ「ダメよ、我慢しちゃ! さぁ、いきましょ、大自然カワヤへレッツゴー!!」
氷鎖女「………………」
これまでのように途中で“行方不明”になってから戻ってくるしかないなとナツメはあきらめた。
女でいるのも大変である。
用を足すにも遙か彼方までいかなくてはならないだなんて。