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レイディ・メイディ 28-19
2008.03.24 |Category …レイメイ 28話
クロエ「よーし、将来何になりたいかについて語り合おう! おーっ♪」
一人で盛り上がり、拳を元気良く振り上げる。
フェイト「……うるさい」
クロエ「……ハイ」 首をすくめる。
クロエ「よし、将来何になりたいかについて語り合おう! おーっ♪」
小声で言い直す。
ダレス「将来何にったって、薔薇騎士目指してるんじゃないのか、俺たち」
もっともである。
▽つづきはこちら
クロエ「やーね、ダレスったら。夢がないんだから」
ダレス「あるよ、だから、俺は薔薇の騎士になるんだって」
クロエ「そっか。そうだよね。でも私は他にもあるの。夢はいくつあったっていいでしょ♪ で、私はねー」
聞かれてもいないのに話し出す。
クロエ「ニンジャになってお兄ちゃんのお嫁さんになるのっ♪ キャッ、言っちゃった」
普段から公言してはばからないクセに「言っちゃった」も何もないもんだ。
メイディア「それならワタクシは薔薇騎士レンジャーになって、レイオットと世界の平和のために戦うわ! それでミハイル先生のお嫁さんになるっ♪」
クロエ「やっぱりお嫁さんだよねーっ」
メイディア「ええ。当然ですわ」
クレス「そんなにいいものかな、オヨメサン……」
ダレス「さぁ。女ってのはわかんないな」
シラケて肩をすくめる。
クレス「女の子、皆みんなそうとは思えないけど」
クロエ「ナツメちゃんはわかるよね? やっぱりお嫁さんだよ」
氷鎖女「…………………………」
首をかしげる。
クロエ「じゃあナツメは何になりたいの?」
氷鎖女「……………………………ザリガニ」
クロエ「……え?」
ナツメは持参した毛布を荷物から引きずり出すと、謎の回答を置いて、その辺に丸くなってしまった。
全員「……………………………………………………」
『…………………………ザリガニ……』
しばらくの沈黙のあと、ダレスが言った。
ダレス「……アイツ……よくわからないよな……」
同時に残りの三人がうなづく。
出発して6日目が過ぎる。
ここまでは滞りなく。
第2集団、第3集団の学徒たちもスタートをきっていた。
実技試験会場となっている山の麓には青薔薇のウイングソード小隊が警戒態勢を張っている。
本来ならもうとっくに終わっているハズの試験は、思わぬ事件が起こり、改めて行われることになったのだった。
事件というのは、山賊とおぼしき男たちが女学徒を襲うというもので、調査は続けているが、未だ犯人の目処は立たず。
山賊くらいなら、2年目になる学徒で対処してもらいたいところだが、裏に何があるかわからない。
本当にただの通りかがりの賊ならいいが、目的があるとしたら大変なことだ。
何もなければそれで善し。また潜伏していたなら捕らえてその目的を吐かせなければならない。
ジャック「クロエ君は頑張ってるかな」
ガーネット「頑張り過ぎて一人で空回りしてるんじゃないのか」
ジャック「君みたいに?」
ガーネット「アンタだ、アンタ」
ジャック「おお、エリーゼ。怖いお兄さんが私をイジメるよ」
愛ドラゴン・エリーゼにほお擦り。
ガーネット「キショイ」
ジャック「あ、そうだ。ガーネット。子供が生まれたんだ、祝福してくれたまえ」
ガーネット「え、あっ、それはおめでとう」
この人、結婚してたっけ?と考えてすぐに気が付いた。
そうか、エリーゼだ。
可愛がっているエリーゼの卵が産まれたに違いない。
ジャック「ありがとう。……そういうワケで子育て休暇が欲しいのだよ」
ガーネット「エリーゼにはいいかもしれないけど、アンタはダメだろ」
ジャック「うーん、やっぱりそうか。じゃ、エリーゼには帰ってもらった方がいいかな。子供達が待っていることだし」
ガーネット「飼育係が面倒みているでしょうよ」
ドラゴンは親に育てさせると人間に懐かなくなるため、子供のうちに引き離して専門の飼育係に預けられるのだった。
ジャック「可哀想にねぇ、エリーゼ」
ガーネット「バカ言ってないで、仕事しろって」
部下A「こちら、異状なし」
B「異常なし」
C「不審な人物、なし」
部下が代わる代わる報告を持ってくる。
それに逐一答えながら、
ジャック「しかし今日はいやに霧が濃いいなぁ」
ガーネット「こういうときは見逃しやすいから、細心の注意が必要だな」
ジャック「そうね。でもアレだね」
ガーネット「?」
ジャック「もし何からの目的があったのだとしたら、試験が始まる前にすでに潜伏していてもおかしくないワケだよねー。外から見回ってもなぁ」
ジャック「それは事前に赤薔薇の小隊が山に分け入って確かめてあるとヴァルト中隊長が言ってたじゃないか。ナーダ中隊長がやらせていたって」
ジャック「そうだけど……私もクロエ君の班にまぎれこみたかったなぁという話だよ」
ガーネット「アンタが行ったらメチャクチャになる。クロエはすぐ悪ノリすんだから」