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レイディ・メイディ 28-18
2008.03.22 |Category …レイメイ 28話
そこへ意外なことにメイディアも手伝うと申し出る。
驚いて目をしばたかせるフェイトを尻目にメイディアは先立って歩き始めてしまう。
フェイト「あ、おい」
クロエ「私もお手伝いする」
フェイト「いや、いい。そんなに量がいるワケでないし。クレスたちと一緒にこの辺りの近くの物で先に火を起こしておいてくれ」
クロエ「りょーかい☆ あ、でも魔法でチョチョイのチョイだよねぇ?」
どうやら出番はなさそうだ。
ダレス「若木をとってくるなよ、お坊っちゃん!」
フェイト「わ、わかってる!」
完璧に見えて実はそうでもないフェイトは、貴族出身。
レタスが木になっていると養成所にくるまで信じていた彼は、蒔きを集めるといって若木を折ってくるというポカもやらかしていた。
▽つづきはこちら
前回で学んで成長しているのは何もメイディアだけではない。
……他の誰もが知っている常識なので、これを成長と手放しで喜んで良いのかは微妙な所だが。
フェイト「一体、どうした風の吹き回しだ」
先に歩きだしたメイディアに追いついて、隣に肩を並べる。
メイディア「あら、いけなかったかしら?」
フェイト「そうじゃない」
顔色をうかがって、メイディア「反省したと思ったら大間違いよ」
フェイト「はぁ?」
メイディア「目的を早く達成するためにはどうしたら良いかと考えただけです」
フェイト「それはいい。だがそれなら動き回るより体力温存に努めた方が得策だったんじゃないのか」
メイディア「貴方に巨大な顔をされたくないだけです」
フェイト「それはそれは」
理由はともあれ、まともに動いてくれるのは助かる。
しかし後でそれがたたって、やっぱり疲れたなどと言い出さないかという懸念は残っているが。
黙々と蒔きを拾い集め、食事の間だけ火を灯す。
この間、ずっとナツメはクレスの側にいたが、とうとう一言も口を利かなかった。
クレスが顔を見ようとすれば背ける。
他を向けば横からこちらを向く。
こちらを向くからまた視線を合わせようとすればさらに顔を背ける……。
クレス『何? ふざけてるの?』
試しにそっぽを向くふりをしてフェイントをかけ、すぐにナツメの方に顔を向ける。
すると見事にひっかかって、間近で鉢合わせた形になる。
氷鎖女「ぎっ……!」
ぱちくりと大きく瞬きを数度繰り返したあと、ナツメが悲鳴をあげかけた。
氷鎖女「は、あっ、んぐっ!?」
声が漏れないように両手で抑え、必死に悲鳴を飲み込む。
相当、驚いたらしい。
大きな目をせわしなく左右に動かしている。
クレス「あっはは。面白いな」
あんまり簡単に引っ掛かったので、つい笑ってしまった。
相手は怒ってしまったのか、クレスに背中を向けてまた黙り込んだ。
実際には飛び出そうになった心臓を押さえて背中を丸めているだけなのだが。
クロエ「楽しそうね。何してるの?」
クレス「別に。ちょっとからかってやっただけ」
クロエ「あんまり可哀想なことしちゃダメだよ?」
クレス「してないよ。信用ないなぁ」
クロエ「そんなコトないよ。あ、ねぇ、皆でちょっとお話ししない? ずっと気が張ってたら疲れちゃう」
フェイト「いいけど、明かりは消すからな」
クロエの提案にフェイトが釘を刺す。
クロエ「エーッ?」
フェイト「仕方ないだろ、敵に居場所を教える訳にはいかない」
クロエ「狼対策には点けてた方がいいもん」
フェイト「…………わかったよ。俺は休むから。見張りの変わりのときは起こしてくれ」
クロエ「フェイトもお話しようよ」
フェイト「人の話聞いてない奴だな。俺は休むの。皆で起きてたら見張り交替困るだろ」
クロエ「そっか。じゃあ明日ね」
フェイト「ハイハイ」
適当に相槌打って横たわる。