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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 28-20

 所々に設置された幻や土くれでできた敵を倒しつつ、山道を進む試験も山場を越えていた。

 頂上で宝を守るガーディアンを想定した魔物が、番号札を取らせまいと待ち構えている。

これがこの試験のボスということになるのだが、実力者のそろったの班の敵ではない。

短期決戦でこれを打破し、監視室で様子を伺っていた試験官たちを大いにうならせた。

 

クレス「ガーゴイルなんて目じゃなかったね」

メイディア「さ、急ぎましょう、早く早く」

 

 折り返し地点で今度は坂道を下ってゆく一行。

 

氷鎖女『……アレ?』

 

 隣を歩くクレスに違和感を覚えてナツメは足を止めた。

 

氷鎖女『よ…よもや、そんなハズは……!』

 

 どき……

 嫌な予感が胸の奥で小さな渦を作り出す。

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レイディ・メイディ 28-19

クロエ「よーし、将来何になりたいかについて語り合おう! おーっ♪」

 

 一人で盛り上がり、拳を元気良く振り上げる。

 

フェイト「……うるさい」

クロエ「……ハイ」 首をすくめる。

 

クロエ「よし、将来何になりたいかについて語り合おう! おーっ♪」

 

 小声で言い直す。

 

ダレス「将来何にったって、薔薇騎士目指してるんじゃないのか、俺たち」

 

 もっともである。

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レイディ・メイディ 28-18

 そこへ意外なことにメイディアも手伝うと申し出る。

 驚いて目をしばたかせるフェイトを尻目にメイディアは先立って歩き始めてしまう。

 

フェイト「あ、おい」

クロエ「私もお手伝いする」

フェイト「いや、いい。そんなに量がいるワケでないし。クレスたちと一緒にこの辺りの近くの物で先に火を起こしておいてくれ」

クロエ「りょーかい☆ あ、でも魔法でチョチョイのチョイだよねぇ?」

 

 どうやら出番はなさそうだ。

 

ダレス「若木をとってくるなよ、お坊っちゃん!」

フェイト「わ、わかってる!」

 

 完璧に見えて実はそうでもないフェイトは、貴族出身。

 レタスが木になっていると養成所にくるまで信じていた彼は、蒔きを集めるといって若木を折ってくるというポカもやらかしていた。

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レイディ・メイディ 28-17

 地上に大きくはい出して、腰掛けて休むのに丁度良い木の根っこを叩いて、座ればいいと無言の合図を送る。

 そうしておいて、自分はもう関係ないものとしてあさっての方向に体を向けてしまう。

 一見、つっけんどんな態度だが精一杯の親切心。

 ナツメは少し驚いたようにギギギ、とぎこちなく首をかしげた。

 

氷鎖女『ふぅん? ナルボド』

 

 なるほど、クレスは案外気の利く優しい性格だ。

 クラスではあくまで教師と生徒。そして必要以上に関わることを拒否する氷鎖女は教え子一人一人の内側の性格までは熟知していない。

 彼が注意して観察しているのは、魔法を操る上での適性。

それから戦いの場においての一面性の性格だけだ。

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レイディ・メイディ 28-16

 ハンカチで冷や汗を吹き吹き、ダンラック「何ですかな、今の騒がしいのは」

ヴァルト「……申し訳ございません。私めの管轄下の小隊長・ジャック=カイル=グレイング=ジョセフ=アラン=スティーヴン=コンスタンティヌ=ウイングソードでございます」

ダンラック「ウイングソード? ……知らんなぁ」

付き人「閣下が御存じないのは当然でございましょう、一介の小隊長ごときでは」

ダンラック「それもそうですね。フォーフォーフォー」

 

 巨体を揺らして笑うと、「さて」と話を転換させる。

 重さで歪みかけていた椅子から億劫そうに腰を浮かせた。

 

ダンラック「私はしばらく滞在することにしますよ」

付き人「は?」

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レイディ・メイディ 28-15

ダンラック「ふーむ。……ん、おやおや。今映ったのは誰です? 随分と麗しい学徒がいるようですな」

 

 今度は別の方向に映し出されている、レイオットとリクを見つけたらしい。

 画面をレクが占領してしまうと、あっちに行けとダンラックは手で追いやる仕草をする。

 レイオットを女性と知らないアイビーは「どちらも男じゃないか」と軽蔑の眼差しを太ったハゲ頭に向けた。

 アイビーはレイオットと逆で女性的な男性だ。

これでも所帯持ちなのだが、ダンラックには妙に気に入られていて困っている。

 今回、案内を頼まれたのもわざわざ向こうからの申し出である。

 丁度、アイビーもここに足を運ぶつもりだったからついでということになったのだが、行くことを黙っておけば良かったと心底後悔している。

 ダンラック公爵の趣味は幅広いようで困ったものだ。

 と、唐突に背後のドアがノックもなしに乱暴に開いた。

 全員が振り返って注目する。

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レイディ・メイディ 28-14

 薔薇の騎士団に継ぐ国内2番目の軍事力を持ち、魔物が攻めてくるのに絶好の山間に公国を構えている勇猛な女王の臣下だ。

 

ダンラック「私も薔薇の騎士団の卵たちを見てみたくなりましてな」

 

 数人の懐刀を従えて教官室の椅子に腰を落ち着けた。

 木製の粗末な椅子が重量に耐えて苦痛な悲鳴を上げる。

 

ニケ「養成所は外からの干渉は………………」

ダンラック「ホホホ。それはご心配なくぅ~。陛下から許可をいただいておりますのでねぇ~」

 

 暑くもないのに額の汗を拭っている様子にナーダは密かに眉をひそめた。

 脂肪ダルマは趣味じゃない。

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