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レイディ・メイディ 28-15
2008.03.20 |Category …レイメイ 28話
ダンラック「ふーむ。……ん、おやおや。今映ったのは誰です? 随分と麗しい学徒がいるようですな」
今度は別の方向に映し出されている、レイオットとリクを見つけたらしい。
画面をレクが占領してしまうと、あっちに行けとダンラックは手で追いやる仕草をする。
レイオットを女性と知らないアイビーは「どちらも男じゃないか」と軽蔑の眼差しを太ったハゲ頭に向けた。
アイビーはレイオットと逆で女性的な男性だ。
これでも所帯持ちなのだが、ダンラックには妙に気に入られていて困っている。
今回、案内を頼まれたのもわざわざ向こうからの申し出である。
丁度、アイビーもここに足を運ぶつもりだったからついでということになったのだが、行くことを黙っておけば良かったと心底後悔している。
ダンラック公爵の趣味は幅広いようで困ったものだ。
と、唐突に背後のドアがノックもなしに乱暴に開いた。
全員が振り返って注目する。
▽つづきはこちら
ジャック「ジャック、ただ今、到ッ着☆」
無意味に庭から手折ってきた薔薇の花をかかげて、カッコよさげなポージング。
ヴァルト「遅かったな」
ニケ「何、手配しておいたの?」
ヴァルト「……念のため、な」
ダンラック「? 何の話です?」
ナーダ「こちらの話です」
取り付く島もなくキッパリと詮索を打ち切る。
ジャック「アイビー中隊長。どうも」
アイビー「相変わらず騒がしいね、君も」
ジャック「おかげさまで」
ヴァルト「コラ、ジャック。アイビーより先にこちらの方にご挨拶-……」
ヴァルトが言い終わるより前に、見慣れない人物を見つけたジャックは……
ジャック「何です、このハゲは?」
ピシャピシャピシャ。
はげ上がった公爵の頭を軽く叩く。
凍りつく一瞬。
ジャック「やい、ここは試験官室ですよ。どこのハゲです、出て行きなさい」
アゴの肉をつまみ、引っ張って伸ばす。
ダンラック「…………………………………………」
ピシャピシャびよょ~ん。パシン。
叩いて引っ張って放して、やりたい放題。
これにはさすがのヴァルトも真っ青。
ヴァルト「バッ……! 馬鹿者っ!! この方をどなたと心得るかっ!? よっ、よしなさいっ!!」
天下の無礼者を引きはがして、
ヴァルト「申し訳ございません、閣下。……コラ、ジャック、謝らんかっ! この方はワイズマン公爵だっ」
ワイズマンと聞いてジャックの顔色がにわかに変わった。
ワイズマンといえば、父に汚名を着せて処刑した公爵ではないか。
けれど態度は変えずに、頭を下げる。
ジャック「はぁはぁ、ナルホド、うんうん。これは失礼致しました」
ヴァルト「アゴ肉引っ張りながら謝るな! とりあえず、手を放せ」
ニケ「ヴァルトもでっかい声でアゴ肉とか言ったらダメだよ~」 苦笑い。
ヴァルト「おっと、失礼。アゴのお肉を……」
“アゴ肉”→“アゴのお肉”……。
教官たち「“お”をつけてもダメーッ!!!」
全員で一斉にツッコミ。
ジャック「申し訳ございません、公爵。でもお心の広い公爵のこと。アゴつまんだり引っ張ったりしてもそんな些細な事で怒ったりしませんよ……ネーッ?」
ようやく放して、ニッコリ☆
ダンラック「………………う、うむ……」
勢い負けしてうなづいてしまう。
丁度よいタイミングで、警備に行って来ますと上官に叱られる前にドアの外で待機していたガーネットがジャックをつれ去って行った。
……嵐は去った……
教官たちは安堵のため息をつく。