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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 28-6

リク「すごく……何だろう。身近な感じがするんだけど」 不思議そうに首をかしげる。

氷鎖女「……………………」 顔を横に振る。

リク「……………………」

氷鎖女「……………………」 一筋の汗が額を流れる。

リク「……………………」

氷鎖女「……………………」

リク「……………………」

氷鎖女「……………………」

   『なーぜー見ーるぅぅーっ!? コーワーイィィィー!!! うわぁぁんっ!!』

 

 沈黙に耐えられなくなってきて、冷や汗ダラダラ。

外から見ても哀れなくらいに青ざめて足が震えている。

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レイディ・メイディ 28-5

クロエ「私、クロエ。初めてだよね、よろしく」

氷鎖女「…………」

 黙って何度もうなづく。

 ああ、怖い。先生の女装というだけでバレたらシャレにならない。

 恨みがましく例の同僚たちを見やったが、彼らは面白そうに意地の悪い笑みを浮かべているだけだ。

 

氷鎖女『おのれ、今に見てろよ』

 

 外からの視線を感じて振り向けば、リク。

 

氷鎖女『ぎゃあああっ!? 出たァァッ!』 後じさる。

   『お前班が違うだろ、何で見てんだよ。バレた? バレた? バレてんのか!?』 ドキドキ。

リク「ねぇ、君……どこかで会ったこと、あったっけ?」

 

 自分の班を離れて側に来る。

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レイディ・メイディ 28-4

ミハイル「ここは避難場所じゃないんだ、とっとと出てけ!」

ナーダ「氷鎖女のせいで怒られたじゃないよ」 ぶぅ。

ヴァルト「邪魔しましたな」

氷鎖女「……そもそもそちらがこのようなことを思いつかなければ……」

 

 うなだれて同僚二人に連れられていく。

 教官たちを追い出して、クシャグシャになったベッドの上をきっちりと直すミハイル。

 

ミハイル「………………ったく……」

 

 それにしてもあまりに想像と違う姿で驚いてしまった。

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レイディ・メイディ 28-3

ミハイル「はぁーん。ナルホド」

 

 またナーダと布団ダルマの戦いに視線を移す。

 しばらくすったもんだが続いたが、引っ張り合いと脅しの末、とうとう氷鎖女の牙城が崩れた。

 

氷鎖女「ふぅ……情けなや。だが、未だ忍であったなら任務でこんなこともあったであろうな。ハァ、仕方ない、ゆくかァ」

 

 重ねてため息。

 観念したのか布団からモゾモゾと姿を現し、乱れた衣服と髪を簡単に直した。

 どこかケガをしているのか、頭に巻かれていた包帯が布団の中で暴れたせいで落ち掛かっている。

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レイディ・メイディ 28-2

ナーダ「ちょっと!」

 

 もう一人、教官が入って来た。

 

ナーダ「ヴァルト、何をほだされているのよっ! 始まるでしょ、そこの生き物連れて来て!」

ヴァルト「ほだされたワケではないが、しかし大変だぞ、俺が女の格好をしたら!」

ナーダ「誰もアンタにやれって言ってないでしょ。私だって見たかないわよ」

氷鎖女「ミチ……ミハイル先生、ヴァルト教官が月の物で苦しむおなごを引っ張って行こうとしま

す。いわゆる“せくしゃるはらすめんと”なので、毒殺してやって下さいでござる」

 

 ヴァルトの手から再び布団を引ったくって雪見大福のように丸まると、手だけを出して、教官二人を示す。

 ミハイルの脳内で「ゴザル」キーワードがひっかかった。

 カチカチカチカチ……チーンッ☆

 頭の中で滞っていた情報処理がようやく解消されたようだ。

 

ミハイル「お前、氷鎖女かよっ!?」

 

 今さらのように叫ぶ。

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レイディ・メイディ 第28話

第28話:何だか氷鎖女先生が大変です

 再試験当日の早朝、保健室。

 

ミハイル「試験開始日だろうに、お前もついてないな。まぁ、番号が後ろの方だというから、今日すぐに出発ではないようだし……式には出なくても問題ないだろう」

 

 女性特有の腹痛で医務室に転がり込んできた学徒に話しかける。

 月に一度は来る不調。

女は大変である。

 だからといって、試験を受けない訳にはいかない。

この女学徒の試験日が一番辛い時期に当たらなかったのがせめてもの救いか。

 軍隊で女を歓迎しないワケだと改めて思う。

 女にとっても辛かろうに、何故わざわざ養成所などへやって来るのだろうか。

 人にはそれぞれ夢や野望があるにしても。

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