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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 21-10

氷鎖女「……先程の質問に答えよう」

メイディア「シ……何? 誰?」

氷鎖女「広範囲にわたる攻撃魔法をぶっ放せばそれで済むのは、城や砦、または多くの味方軍隊に守られている時でござる」

メイディア「シ……何て言いました? ねぇ」

氷鎖女「そうでない、小人数での戦いの時。強力な魔法はそれだけ詠唱の時間も長くなり、体力、気力ともに浪費する。さすれば相手に隙を与えることになる。それよりは自分を守る楯にもなる攻撃専門の剣士を戦いやすくするための補佐呪文で能力を高め、攻守ともに  ……」

メイディア「……………」

 

 答える気がないとわかって口を閉じる。

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レイディ・メイディ 21-9

クレス「クロエは?」

メイディア「元気でした。……気になる?」

クレス「……別に」

メイディア「ふぅん」

 

 それで会話は途切れてしまった。

 

氷鎖女「今回の試験は途中で中止されたが、実際にこなした者は自分たちのどこがいけなかったのかじっくり考えるとよいと思う……」

   「教官衆みなで評価するから拙者の一個人が決めるワケではないが、……まぁ……拙者の感想だけ言わせていただければ……百点あったとしたら、全体は……そうだな。六糞くらいか」

ジェーン「ハーイ。6グソってどういう単位なんですかー?」

氷鎖女「ダメダメうんこってコトでござる」

ステラ「ナニソレ~ッ!!?」

 

 教室中に笑いが起こる。

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レイディ・メイディ 21-8

メイィア「降ろさないとヒドイんだからっ!!」

リク「もうヒドイから」

女子「ヒイィッ!!? リッ君のキレイなお顔がっ!!!!」

  「鼻の穴がっ!!?」

  「イヤー、やめてーっ!! 夢を壊さないでーっ!!」

フェイト「何が夢だ」

 

 馬鹿らしくなってその場を離れた。

 「人さらい、ヘンタイ」などと罵声を浴びせられつつ、リクはメイディア嬢を教室まで運んで行く。 道すがら、女の子たちの卒倒しそうな悲鳴を起こさせながら。

 

リク「はい、到着~♪」

 

 ゴスッ☆

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レイディ・メイディ 21-7

セルゲイ「おい、やり過ぎじゃないか?」

ダレス「いいんだよ。俺はこうゆう鼻っ柱の高い女、大嫌いなんだ。……俺はっていうか、好きな奴なんか誰もいないだろうけどな」

 

 やりとりを見ていた連中が小さく笑っている。

 良くも悪くも目立つシャトー家のお嬢様の噂は、たった2日間程度で病原菌のように広まっていたのだ。

 腫れた足を抱えてうずくまるメイディアを尻目に立ち去ろうとしたダレスと通りかかったフェイトがすれ違う。

 

ダレス「お、フェイトじゃん」

フェイト「ああ。アンタか」

    『この騒ぎは何だ?』

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レイディ・メイディ 21-6

 いつのまに眠っていたのだろう。

 廊下に出てみると次の教室に移動中の学徒たち。

 おしゃべりをしながら楽しそうに歩いている。

 その中につい最近まで朝から晩までともに過ごした内の2名の話し声も聞こえてきた。

 

ダレス「今日もクロエ見てないよなー。大丈夫だったんかな」

セルゲイ「専攻違うから様子もよくわからないね。誰か白薔薇組の人に聞いて…………あ」

 

 2人はメイディアに気が付いて歩みを止める。

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レイディ・メイディ 21-5

クロエ「メイディア……」

 

 知らず、緊張して口の中が乾いた。

 

メイディア「…………………」 立っている。

     「…………………」 瞬くこともなく。

     「…………………」 そして。

     「……あら、どうか致しまして? お顔の色がよろしくありませんことよ」

クロエ「………………メイディア……?」

 

 突如、何もなかったように彼女は普段と同じような態度に戻る。

 今し方、涙を流したことすら一瞬の幻だったように。

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レイディ・メイディ 21-4

メイディア「い……生きてて……良かった……」

クロエ「……うん」

メイディア「生きてて良かった……」

クロエ「ありがと」

 

 メイディアはそのまましゃくり上げ続けている。

 

クロエ『レイオットの教えてくれた通りだったな……』

 

 初めて見る弱々しいメイディアを目に映しながらクロエはレイオットのアドバイスを思い出していた。

 彼女は謝りたがっていると思うから。

 でもなかなかそれができない子だから。

 自分が悪いとかそういうこともわかっているけど、不器用でどうしたらいいのかわからないだけ。

 怖がりなだけ。

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