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レイディ・メイディ 21-7
2008.01.28 |Category …レイメイ 21-23話
セルゲイ「おい、やり過ぎじゃないか?」
ダレス「いいんだよ。俺はこうゆう鼻っ柱の高い女、大嫌いなんだ。……俺はっていうか、好きな奴なんか誰もいないだろうけどな」
やりとりを見ていた連中が小さく笑っている。
良くも悪くも目立つシャトー家のお嬢様の噂は、たった2日間程度で病原菌のように広まっていたのだ。
腫れた足を抱えてうずくまるメイディアを尻目に立ち去ろうとしたダレスと通りかかったフェイトがすれ違う。
ダレス「お、フェイトじゃん」
フェイト「ああ。アンタか」
『この騒ぎは何だ?』
▽つづきはこちら
ダレス「見てみろよ、お嬢様、立てなくなってるぜ」
フェイト「……ん?」
ダレス「すっ転ばしてやった。ざまーみろってんだ。ハハハハ」
フェイト「……………………」
周りを見回して、ナルホドね、と思った。
噂のことは知っていた。クラスの女子が喜んで話していたからだ。
相変わらずお人よしのレクは自分のことのように怒って噂話に花を咲かせている連中を叱咤していたが、人々の口は止まらなかった。
フェイト「ホラ」
立つに立てなくなっているメイディアに近づき、ぶっきらぼうに手を差し伸べた。
だが予想通りといおうか、顔を見るなり突っぱねられる。
メイディア「……結構ですわ。お気遣いなく。ワタクシ、一人でもちゃんと立てます。貴方なんかの手を借り……なく……ても? あ、え?」
背後からわきの下に手を通され、持ち上げられる。
フェイト「……………」
メイディアの後ろに現れた人物を見る。
メイディア「!? だっ、誰!? 離しなさい、このっ……無礼者っ!!」
ジタバタ。
首をねじ曲げて振り返ると不思議な色をたたえた赤い双眸と目が合った。
リク「やあ」
メイディア「……降ろして」
リク「はい」
ストン。
上手に立たせて松葉杖も拾い上げる。
メイディア「ワタクシッ、一人でもちゃーんと立てましたのにっ!!」
フェイト「……………」
リク「うん。ところで次の授業、黒魔術だから一緒だよね」
メイディア「だいたいね、いきなり触れてくる方がどこにいますか、無礼な!!」
松葉杖を引ったくる。
フェイト「……………」
メイディア「お礼なんか言いませんからね!! だって頼んでもいないのですものっ」
リク「じゃあ、一緒に行こう。それがいい。そうしよう」 ポンと両手を合わせる。
メイディア「ヒトの話をお聞きなさいなっ!!」
フェイト「……………」
リク「よっこいせっと」
金切り声を挙げているメイディアを背負って歩きだす。
同時に周りで見ていた女の子たちから叫声が巻き起こる。
女子「キャーッ!? リッ君がっ!! リッ君が……っ!!!」
「ウッソ!?」
メイディア「あっ!? コラッ!! 降ろしなさいっ!! コラーッ!! コラーッ!!!」
リク「あたたたた。ぶたない、ぶたない。ひっかかない」
メイディア「降ろしなさい、歩けます!!」
リク「髪、抜けるよ。引っ張らない、暴れない ……は、はにゃに指をつっこまにゃい……」
メイディア「んにぎぎぎぃ~!!」
女子の憧れの的。
人気を麗人・レイオットと二分するリクを容赦なく襲うデビルフィンガー。
上唇と鼻の穴に指を突っ込んで引っ張っているメイディアはある意味スゴイ。
しかも頭にかじりついたりして、もはや捕らわれた山猫状態だ。
これでは珍獣扱いも仕方がない。