HOME ≫ Entry no.233 「レイディ・メイディ 21-10」 ≫ [238] [237] [236] [235] [234] [233] [232] [231] [230] [229] [228]
レイディ・メイディ 21-10
2008.01.31 |Category …レイメイ 21-23話
氷鎖女「……先程の質問に答えよう」
メイディア「シ……何? 誰?」
氷鎖女「広範囲にわたる攻撃魔法をぶっ放せばそれで済むのは、城や砦、または多くの味方軍隊に守られている時でござる」
メイディア「シ……何て言いました? ねぇ」
氷鎖女「そうでない、小人数での戦いの時。強力な魔法はそれだけ詠唱の時間も長くなり、体力、気力ともに浪費する。さすれば相手に隙を与えることになる。それよりは自分を守る楯にもなる攻撃専門の剣士を戦いやすくするための補佐呪文で能力を高め、攻守ともに ……」
メイディア「……………」
答える気がないとわかって口を閉じる。
▽つづきはこちら
となりでリク「シズカ。アレが名前の方かな」
メイディア「ヒサメが名前じゃないの?」
リク「どっちかが名字なんじゃない」
メイディア「フフン。変な名前。ヒサメも充分おかしいですけどっ」
リク「東国の名だよ、きっとね」
メイディア「?」
後ろの方の席ではアンが何を話しているのだろうと気にしている。
アン『養成所でも恋に効くおまじないとか教えてくれればいいのにな』
シラー「……………仲、良いのね。あの二人」
髪の毛の先をもてあそびながらシラーブーケが言った。
氷鎖女「……足元の基盤を整えたところで、攻撃魔法の出番でござる。ま、真打ち登場といったところか。それらの前準備をしておけば、大きな魔法に時間をかける余裕が生まれるワケでござるよ」
アン「え?」
シラー「メイディアはクロエのお兄さんが好きなんだっけ? ……あ、枝毛発見」
アン「うん、そうだよ。いきなり結婚して下さいとか言ったんだから」
シラー「それはそれは。でもリク君の方はどうなんだろ」
氷鎖女「先手必勝の手立ても悪くはないが、それはその場その場によりけりでござろうな。それから、地盤が緩いところでの爆破系の魔法は当然ながら危険でござる。……が、これも地形を利用するという意味では助っ人にもできる。何も相手にだけ魔法を放たなくても良い。後ろの壁にでもぶち込んでやれば、崩れた土砂が勝手に倒してくれよう。戦い方に基本はあっても決まりはないとテキトーに覚えておけばよいかな」
学徒「テキトーってそんなテキトーなぁ~」
二人がコソコソと会話している間も当然、授業は進行している。
アン「珍獣って言ってたよ」
シラー「そうなんだ?」
意外だといったように髪の毛から手を放してアンの方を向く。
珍獣とハッキリいったワケではなかったが、アンの中ではそういうことになっている。
皆の会話の流れからイメージづいてしまったのだろう。
シラー「お気の毒」
アン「それに性格悪いって目の前で言ってたんだから♪」
何故かちょっと得意げ。
アン『リク君は私の味方……』
シラー「あれぇ~? 意っ外~。性格悪いだなんて本人に向かって言う方なんだ~?」
アン「あの……それで……シラー……は?」
シラー「私? フフッ。そうね~……どうだろ? リク君、とってもいいんだけどぉ♪」
イタズラっぽく瞳が輝いた。
シラー「ねぇ、そういえばリク君って彼女いるのかな?」
アン「………………ジェーン情報だと……いない……。何でそんなことを気にするの?」
シラー「別にィ。ただ、カッコイイのにどうしてだろねと思って。やっぱり皆、自分に見合わないからって、告白までできないからかな。それともリク君の理想が高過ぎ?」
アン「……さ……さぁ……」
氷鎖女「戦況はその場その場で変化する生き物のようなものであるからして、“コレならば善し”というものではござらん。ただ、状況判断して利用できるものは全て利用できるようになれば小さな力でも充分に渡り合える」
シラー「誰もまだ挑戦してないなら、私、一番手きってみよっかな~♪」
アン「エエッ、ウソ!!?」
思わず叫んで立ち上がってしまった。
静まり返る教室。
氷鎖女「…………いや…………嘘……と言われても……あの……」