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レイディ・メイディ 19-17
2008.01.21 |Category …レイメイ 19、20話
ダレスとの口論を一方的に打ち切ったフェイトが薬を飲ませないと……と割り込んできた。
クレス「もう飲ませたってさ。それよりメイディア、どーするんだよ」
ダレス「放っておけば戻ってくんだろ。どーせ遠くまで行けっこないんだ。その辺で泣いてるんじゃねーの」
セルゲイ「い、一応、止めたんだ。本当だって」
フェイト「チッ。……探してくる」
苛立ちを隠そうともせずに小走りに駆け出した。
クレス「……ちぇ。面倒くさいなぁ」
仕方なく腰を浮かせる。
▽つづきはこちら
クレス「皆、結局勝手なんだよな。僕だけだったら、もうとっくにゴールしてるよ」
それに誰も答えない。
半分独り言のようなものだったのでクレスも気に止めず、走りだした。
今日は本当に厄日だ。
チーム本体しか映し出さない使い魔の視界から、バラバラになった三人が消える。
同時刻。
少し遅れた形になって、教官たちが異変に気づき救護部隊を派遣していた。
水を求めて班を離れたメイディアはというと、反省どころか筋違いにもクロエを恨みだしていた。
クロエにすまない気持ちでいっぱいであることもまた真実なのだが、水を探してさまよっているうちに濡れた草に足をとられ、転んで坂道を転げ、木にぶつかって止まると泥と血にまみれた自分が情けなくなってきて誰かを恨みたくなってしまうのだった。
クロエばっかり大事にされている。
自分が矢に当たれば、自分が大事にしてもらえたかもしれないのに。
そもそも白魔術を希望したのに黒魔術なんかに配置されてしまったから、今日のような事件が起きたのだ。
自分が白魔術を習えていれば、サッとクロエを治してあげられた。
そしたら皆も自分に感謝したハズだ。
……などとありとあらゆる現実を全て原因に連ね、不満で胸を満たしている。
「もしも~だったら」という幼稚な妄想にとりつかれながら、それでも水を求めて山を歩く。
メイディア「確か……途中に小川みたいのが流れていたハズだし、休憩所にも水を汲める所があった…………っ!!? キャッ!!?」
石を踏んでまたもや転倒。
メイディア「もうっ!! イヤッ!!!!」
投げ出した足はひねったせいでズキズキと痛んだ。
すりむいたキズは両手に両足に。そして頬や額にも。
まったくもって惨めである。
メイディア「……………………」
しばらくわめいて暴れていたけれど、ここでは本当に一人きり。
誰もどうしたの? 大丈夫? と手を差し伸べてはくれない。
ふてくされていても仕方がないと思い直し、もう一度立ち上がった。
メイディア「そうそう。落ち着きなさい、メイディ。貴女は何をしに来たの? クロエを助けに?
……いいえ。責任を果たしに来たんだわ。彼女が無事に養成所まで戻れなければ、ワタクシは責任を放棄したことになるんですもの。それは嫌よね、メイディ」
自分に言い聞かせて気持ちの切り替えをはかる。
面倒なプライドを持ち合わせている彼女には、いちいち動くだけの理由が必要なのだ。
決して、クロエのためであってはならない。
何故なら、クロエは自分のせいでケガをしたのであって、それを“助けてやる”とは片腹痛い話だ。
彼女を理由に動くなら、責任の名において行動しなければならない。
彼女とはまだ友達にもなっていない。
だから、友達だからという理由も使えないのだ。
メイディア「川……湧き水……?」