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レイディ・メイディ 19-15
2008.01.20 |Category …レイメイ 19、20話
ジャック「口に放り込んで、水で流せばいいだろう。ホラ、君。そのもっちゃりしたキモイやつを飲ませるんだ」
クレス「う、うるさいな、わかってるよっ。詳しく形状説明すんな」
もっちゃりした……薬草を恐る恐るクロエの口元にもっていく……が、やはりできない。
ジャック「ええい、グズグスしないっ。クロエ君の魂が天に召されるじゃないか。さぁ、早く!!」
強引にクレスの腕をつかんで手のひらの物をクロエの口の中に入れてしまう。
続けて飲み込む力も残っていない彼女の口内に水が乱暴に注がれた。
ジャック「これで入って…… ノゥッ!!?」 びくっ!!?
クロエ「えれえれえれ~……ぎょばぶぅごへぇ~……」
薬草と水が混ざって緑色になった液体を吐き戻す。
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ジャック「汚っ!! クロエ君、エンガチョッ!!!!」
クロエ「うう~……お兄ちゃん……ぐるしい……」
緑の液にまみれて見苦しくなったクロエは青ざめてうなされている。
クレス「あぁ、薬草が……」
ダレス「何やってんだよ~」
ジャック「ザ☆失ッ敗ッ!!」
自らのおでこをピシャリと叩く。
クレス「黙れ、アンタはおとなしくしてろっ!!!!」 キィッ!!
ジャック「怒るな青少年。笑顔でいこう」
クレス「う・る・さ・い」
顔を寄せて口元を怒りに震わせる。
ダレス「どーすんだよー」
クレス「もっかいやるよ!!」
残された薬草を手に取る。
セルゲイ「こういうときは口移しで確実に飲ませないとダメなんじゃないか? 完全に飲み込ませないとまた吐くぞ」
クレス「くっ……!!? 口ィッ……?!!」
素っ頓狂な声を上げる。
セルゲイ「だってしょうがないじゃないか」
クレス「でっでも……」
実は初めからそうすべきだとわかってはいたものの……
チラリと横たわる少女を盗み見る
クレス「……………」
今は緊急事態であって、男女を意識している時ではないのだが、口移しの行為をしろと言われて冷静でいられるほど、彼の精神は成熟していなかった。
動揺して何度も少女と薬草を見比べる。
フェイト「そうだな、それがいい」
クレス「でも……」
フェイト「ためらっている場合じゃないだろ」
クレス「わ、わかってるけどっ」
フェイト「ならいいじゃないか。異論を唱えるなよ。事は一刻を争う」
クレス「………………」 どぎまぎ。
口移しといったら、キスに数えられないかもしれないけれど、やっぱり唇を合わせるということだ。
自慢ではないが、今までに唇は愚か、女の子と手を繋いだこともないクレスは大いに緊張した。
体中の血が逆流して顔に集まっているような錯覚を覚える。
今、自分はみっともなく真っ赤な顔をしているに違いない。
一瞬のうちにこれは下心があるとかないとかそういうことでなく……などと頭の中で思いつく限りの言い訳を並べ立てていた。
フェイト「さ、出番だ。やってくれ ……メイディア」
クレス「へ? メ……メイ……?」
思考が一時停止。
目を丸くする。