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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第17話

第17話:対立

 「聞いてよ!! メイディアったら」

 

……これがアンの口癖になって3カ月目。

 季節は早くも初夏を迎えていた。

 雨季に入り、気温の高さと湿気で蒸した室内は余計に人々の神経を苛立たせる。

 外に出られない日々が続き、ほとんど室内での講義と学問にあてられた時間。

 精神的にひどく幼いお嬢様と四六時中一緒のアンは限界に達しようとしていた。

 以前はレイオットやクロエが間に入って味方をしてくれたり、ジェーンやモーリーがはぐらかしてくれていたから良かったようなものだが、今の部屋はそういった類の人材に欠けていた。

 それどころか新しいルームメイトたちの方が、元々部屋が同じだったアンに頼ってきてしまう。

 当然と言えば当然の成り行きだったが、性質のおとなしいアンは押しの強い相手に弱く、結局、渋々従ってしまうだけである。

 

アン「もー、あの子、イヤ。嫌い。面倒見きれないよぉ」


▽つづきはこちら

ジェーン「また泣き言を言ってぇ~。私だったらラッキーだと思うケドな」

アン「どうしてっ!!?」

 

 クラスは元のメンバーである黒薔薇専攻のジェーンが一緒なので、聞き手に回ってくれていた。

 今も休み時間に廊下で話し込んでいる。

ジェーン「2年続けてルームメイトなら、特別な仲になるチャンスだもん。養成所卒業したり、もし薔薇の騎士になれなかったとしても、家元に戻ったお嬢がステキなお友達よ~……なーんて紹介してくれるかもしれないじゃない? 家に招待してくれちゃったりとかサ♪ きっとお城みたいな家なんだろ~なぁ~」

 

 夢見がちな瞳を潤ませる。

 

アン「そりゃあジェーンやモーリーはいいよっ。要領いいから、それとなくあのお嬢の向く矛先変えられるもんっ!! でも私はそんなに器用じゃないの。もうノイローゼになりそうっ!! 特別な仲になんてなれっこないよ。だって向こうはこっちを奴隷みたいに扱ってくるんだよ!!?」

リク「そんなに嫌なら断ればいいのに」

 

 音もなく、いきなりリクが背後から近づいて勝手に会話に参加。

 

アン「ッ!!?」

 

 声にならないくらいに驚いて硬直。

 

ジェーン「あら、リッ君」

リク「やぁ」

  「何かあった?」

アン「あっ……と」

 

 たちまち頬が染まってゆく。

 

ジェーン「それがねぇ、ホラ、部屋変わったじゃない? で、私ら違うんだけどぉ、またこの子だけオジョーと一緒になっちゃったのよ」

リク「それはそれは。楽しそうだねぇ。毎日、飽きないでしょ? からかいがいあるし」

アン「そ……それどころじゃないよ……」

リク「何かやらかした?」

ジェーン「ワガママで手に余るってェ」

 

 肩をすくめる。

 

リク「……今に始まったことじゃないと思うけど」 苦笑い。

アン「メイディアったら、私たちをまるで小間使いか何かのように使ってくるの」

リク「拒否したらどうかな」

 

 当たり前のことを当たり前に言う。しかしそれが難しいのが世の中というものだ。

 

アン「そんなことできないよぅ」

 

 案の定、弱気な発言のアン。

 

リク「どして?」

 

 アゴに一本指を置いて、首をかしげる。

 

アン「だって……シャトー家の令嬢だし……」 ごにょごにょ。

リク「ん~? ああ、彼女は平気だよ。そんなことくらいで家の力をふるったりしないから」

アン「でもっ、何かというと……」

リク「彼女、口先ばっかりだよ。本当はわかってるんじゃないの、君も」

ジェーン「んー、まぁねー。確かに本当にしでかすっていうんじゃなさそーよね。付き合ってみるとそんな気がする。実際のところはわかんないけど。

リク「ただ威張れるステータスがそれしかないだけと思い込んでいるんだよ」

アン「……っ、そんなのわかってるけどっ……」

リク「じゃあ断りなよ」

アン「……………………」 だまりこくる。

 

 そんな三人を見かけて、当の本人が近寄ってきた。

 

メイディア「そんなところで何の相談かしら?」

アン「メ、メイディアッ」

リク「やあ、今ね、君のワガママで…………っんぐ?」

 

 あわてたジェーンがリクの口を押さえる。

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