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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 12-3

リク「それは?」

氷鎖女「動かぬよう、術がかけてござる」

クレス「他のは動かないんでしょ。なんで全部目隠しなのさ。キモイな」

氷鎖女「……人形といえど、こんなに沢山あったらじっと見られているようで気味が悪い」

クレス「だったら、こんなに作らなけりゃいいだろっ! じゃなかったら他に置けよっ」

氷鎖女「それはあの……自分の部屋もいっぱいで置き場に困って教官室にもこう……モジャモジャと……」

クレス「そのお陰でヒドイ目にあった」

氷鎖女「人の物を勝手にいじるものではないでござる。特に拙者の持ち物は危険でいっぱいだからして」

クレス「どんだけだよ、アンタッ!?」

氷鎖女「あ~……怒ってばかりでござるな、さっきから」

クレス「こっ……」

   『この野郎ッ!』 ムキャ~ッ!

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レイディ・メイディ 12-2

クレス「アンタの作ったゴーレムだよっ! いきなり襲ってきたんだ」

氷鎖女「……ゴーレム? ああ、人形のことでござるか。ゴーレムと似てはいるが少々は違う物でござるよ」

クレス「なんでもいいっ! どうにかしろよっ!!

 

 ゴーレムとは仮初めの命を魔法によって吹き込まれて動く人形のことだ。

 体を形成する材料は土くれや石であったり、木であったり様々である。

 知能はなく、主人の命令のみを忠実にこなす。体のどこかに書かれた「命」を示すルーン文字(魔法文字)を消されない限り壊れることはない。

 寿命を知らない動く人形は、昔から財宝の番人として設置されることで広く知られる。

 だが、これを作り上げるには高等な技術を要するため、そうそうお目にかかれる代物ではなかった。

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レイディ・メイディ 第12話

第12話:おもちゃのマーチ

 どのくらい眠っていたのだろう? そんなに大した時間ではなかったハズだ。

 彼は重大なミスを犯していた。

 それは人形の目隠しを取ってしまったことだ。

 元に戻すこともせず、目隠し布は下に落ちたまま。

 布には奇妙な文字が並んでいたのに、どうして警戒しなかったのか。

 

 ちりん……

 

 鈴の音が鳴った。

 一度、二度。

 窓の閉まった空間に鈴をゆらす風など存在しないというのに。

 三度目はすぐ耳元で音を揺らし、クレスはまぶたを持ち上げた。

 ひゅっと風を切る音。

 突然、左耳と頬に熱が走り、痛みとすぐに気付いて頭を廻らせる。

 

クレス「!?」

 

 鈴の音はあの人形のものだった。

 表情のない人形が、机の上に乗って短刀を抱えている。

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レイディ・メイディ 11-8

 スッ、スッ……ススス……

 

氷鎖女「あっ……わ……わ……??」

 

 スススススススッ

 リクはその長い腕を左右に広げ、氷鎖女の周囲を回りだす。

しかも反復横飛びで。

 

氷鎖女「何? 何だ……ちょっと……エ?」

リク「円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き、円の動き……」

氷鎖女「なんっ……何なんだっ!? よせ……っ! よせったらっ」

 

 逃げようにも、どの方向に行こうとしても円の動きなどと言いながら奇妙なステップでさえぎられてしまう。

 それだけならまだしも、だんだん輪が縮まってくるではないか。

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レイディ・メイディ 11-7

リク「待った待った。ちょっと話がしたいだけなんだ。危害加えないからそんなに脅えなくても」

氷鎖女「ウソ! そのいつもニヤけたよーなツラは何か企んでおる顔だっ」

リク「ニヤけてるなんてヒドイなぁ。別に何も企んでないって」

氷鎖女「嘘を申すな。そうじゃなきゃこんなに追いかけてこないっ

リク「先生が無意味に逃げるから」

氷鎖女「逃げなかったら何もしない?」

 

 立ち止まって後ろを向く。

 

リク「しないしない。さぁさぁさぁさぁ!」

 

 光り輝くような笑顔で両腕を広げてみた。

 

氷鎖女「むしろ余計に怪しい!」

 

 じりりと後じさり。

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レイディ・メイディ 11-6

 パニックに陥った結果、仕切り壁をよじ登り、隣の個室に移動する結果に達した。

 

氷鎖女「よっと」

フェイト「!?」

 

 上を見て、氷鎖女「フゥ~。ビックリした。これでしばらく安全だ」

フェイト「……………」

 

 着地した予期せぬ侵入者をフェイトは目で追った

 

氷鎖女「あの野郎、何を企んでいる!? 俺に何するつもりだ!? しかけてくるなら返り討ちにしてやる。まだクチバシの黄色いヒヨッコに負ける俺じゃない。よ、よよよよよ世の中がそんなに甘くないって教えてやるからっ! 来るなら来いっ……………………と、小さい声で言ってみる」

 

 隙間から外の様子を覗いている……黒魔術の先生の背中。

 フェイトは学問の方で世話になっている。

 この見慣れた衣装のチビは……

 

フェイト「…………俺に……何か用……なん……ですか?」

 

 便器に座ったままのフェイト。

当たり前だが、個室に侵入者があろうとは予想だにしなかった。

冷や汗、タラタラ。

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レイディ・メイディ 11-5

クレス「どうせ教えるの下手なんだからさ」

 

 授業中、窓の外に見える風景を写し取ったもの、動物、植物をモチーフにしたもの、人形の設計図、町の見取り図から建築物のことまで描いてある。

 それだけではなく、ちょっとしたメモや教え子たちの修行中での癖や特徴、注意点なども書き込まれていた。

 この部屋同様、中身は統一性がなくてゴチャゴチャ。

何でもノートといったところか。

 下に目を向ければ、床にはこれまた作りかけの人形の部品が散乱している。

 それはバラバラにされた死体にも見えて気味が悪い。

 

クレス「人形趣味かよ……気持ち悪いな」

 

 整理整頓は下手とみえる。

机の上もガラクタだらけだ。

 それらを腕で脇にどけるとクレスは椅子に腰掛け、空けた机のスペースに顔をふせて眠ってしまう。

 帰ってきたら起こしてくれるだろうと他力本願。

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