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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:39

 やがて、いくつかの提灯(ちょうちん)が遠くから見えてくる。

 

椿「社様~!!」

万次「社様ーっ!!」

使用人「若様ーっ!!」

椿「ホントにこっち?」

万次「さっき俺が小便しに起きたら、社様が血相変えて出て行くのを見たけどな」

使用人「あ、あれっ!!」

 

 急に叫んで指さす。

 その先には座り込んでいる社。

 向こうもこちらに気づいたのか、尻をたたいて立ち上がった。

 

椿「社様~!!」

 

 ブンブン無邪気に手を振る。

 

社「……椿……」

 

 後ろめたくてうつむく。

 側まで来ると、いち早く万次は社の涙の跡に気づき、わざと椿を遠ざけるよう計らう。


▽つづきはこちら

 

社「…………………………万次、すまない」

 

 真っ赤に泣き腫らした目をこする。

 

万次「いやいや。男子はそうめったに泣き顔見られるもんじゃありませんからな。特に、女子(おなご)の前じゃな。……なっ、社様?」

社「…………………」

 

 こくん、とうなづく。

 

『……夜で良かった……』

 

 情けない顔を見られなくて済む。

 

万次「………………………」 ニッと笑って、背中を叩く。

社「……………うん……」

 

 今の社は、ごく頼りない、ただの16歳の少年に見えた。

 万次丸たちの一番後ろをノロノロとついて行きながら、ふと都の館の方を振り返る。

 

社『………猛……………やっぱりいたんだ……』

 『だが……』

 『いつ現れた? どこから?』

 

 とっさに持ってきてしまった黒百合を眺めて懐にしまう。

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