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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 67-10

 それを見たリクが安堵のため息と共に笑顔を取り戻す。
 齢相応の無邪気な笑みを向けてくるので、鎮も少しほっとした。
 これで丸く収まる。
 本音もちゃんと隠さず言った。頑張って言った。言うのが嫌だったけれど、でも頑張った。
 どうしてムキになって食いついたりしたのか。それは好かれたかったからだと。
 あとはもうない。
 欲を出したらきりがないからこれまでだ。
 
鎮「シズは……」
 
 口元を隠していた手を下ろす。
 何だか、落ち着きなく左右にぐらぐら揺れる。
 どうして行動がいつもおかしいのかちょっぴり謎だ。
 

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レイディ・メイディ 67-9

リク「あの……俺……先日は、色々とご迷惑……」
鎮「ああ、気にするでない」
 
 予想通り、まずは寛大な言葉が返ってきた。絶対にこう言うと思ったのだこの人は。
 けれど叱られるよりそっちの方が怖い。
 
リク「はは……そう言ってくれると思いましたけど……なかったことにされるのが一番キツイっていうか……その……」
 
 手すりにつかまって、せわしなく木目を指でなぞる。
 
鎮「別になかったことにしておらぬよ。だって現実に減俸1カ月だもん。お前様に何を課してやろうかねちっこく考えておるところよ」
 
 踵を返して向き直る。
 

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レイディ・メイディ 67-8

 ジェーンは何か言いたげに口を開いたが、言葉にならずにまた閉じた。
 
アン「……ごめんなさい……。ジェーンが私のことを想ってくれているのはわかるの……」
 
 言い過ぎたと気がついて自らを落ち着けるために胸をなでおろす。
 
ジェーン「………………」
アン「だけど私、貴女に何かしてもらえばもらうほど、惨めになっていくのを感じるの。ジェーンは私なんかいなくても友達いっぱい作れるし、明るくて大らかで積極的で何も気にしないたちだし、立ち回りが上手いから心配事もない……」
ジェーン「………………」
アン「……引き換え私は、友達作るの下手で……いつも“友達の友達”で……。物事をすぐウジウジ考えちゃうし……」
ジェーン「………それって私がちゃっかり屋さんで、何も考えてないってこと?」
 
 ようやっと引きつった笑いを浮かべたジェーンが問い返す。

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レイディ・メイディ 67-7

シラー「これじゃ悲劇のヒロインもいいところね、アン」
アン「そ、そんなこと……」
シラー「ダメよ、ちゃんと捕まえておかないと。彼、クロエとも逢引してたんだから」
アン「……なにそれ?」
 
 アンの表情が固まった。
 
シラー「リク君、謹慎解けた午前中、休んだわよね? あのとき、図書館にいたのよ。……クロエと」
アン「……どう……して?」
ジェーン「たまたまでしょ」
シラー「さぁ。知らないわ。でも、手を握り合ってたわよ。それは確か。この目で見たんだから」
アン「……ウソ……」
 

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レイディ・メイディ 67-6

 やがてクラスメイトとしては待ちに待った興味の瞬間、リクにとっては気の重い時が訪れた。
 処分が解かれた鎮の登場である。
 教室中がどよめく。
まず先陣を切ったのはやっぱりカイルだ。
 
カイル「センセー! リクとデキてるってマジ!? 俺、ショック!」
鎮「? ……デキてる?」
 
続いて生徒たちが次々と質問を浴びせる。
 
生徒たち「センセー! 年上美女ってホント!?」
鎮『……どこからどうやってそんなことに……?』
生徒たち「アンとリクと三角関係ってマジ!?」
「リク君を誘惑したんですか!?」
 
 もはや聞き取るのも困難なくらいに矢継ぎ早の質問攻めである。
 中にはあきらかに違うだろうというものまで混ざっており、思わず鎮は閉口した。

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レイディ・メイディ 67-5

 問題の日から開けて1週間。
 恋人たちの間には見えない壁が障害となって立ちはだかっていた。
 透明の壁には「やあ俺の名は、二股不誠実☆変態王。アンはブスだからそろそろ別れよう」と書いてある。
 ……かどうかは定かではなかったが、アンは別れを切り出されるのが怖くてずっとリクを避けていた。
 かといって、あれだけ過激な言葉を投げつけておきながら、元の鞘に収まるわけにもいかず、ジェーンとも疎遠だ。
 ジェーンの方からはこちらの顔色を伺いつつ声をかけてきてくれるが、騒ぎを起こした手前、簡単に折れてはみっともない。
頑なな態度を崩さないでいたら、モーリーがやってきて、「ならいいんじゃないの」とあっさりジェーンを連れ去ってしまったのだ。
 こうなってはますます怒っているふりを続けなければならないではないか。

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レイディ・メイディ 67-4

 そうでなくとも迂闊にも兄を味方であると信じて痛いしっぺ返しを食らったばかりである。
 慎重になっても無理もなかった。
 現在、彼は立ち上がるのに窮している最中である。
 これまでなら人に裏切られ傷ついても「故郷の家族に本当は愛されているのだ」、「実は家族は鎮がいなくなって寂しがってくれているんだ」、「帰ってくればいいのにと思ってくれているに違いない」と都合のよい、そして悲しい思い込みに没頭することで自らを慰めてこれたけれど、その拠り所も失くした今、どうやって自分を立ち直らせるか途方にくれているところなのだ。
 リクが不名誉な補導を受けた翌日だって、思わず暖炉の灰をかき集めてしまった。
 リクの手前、捨ててしまった千羽鶴が恋しくなったのだ。
 自分で殺したくせに都合のよいときだけ、兄の思い出にすがろうとする。
そんな自分にすぐに気がついて、その灰も始末した。
今、一心不乱に絵を描いているのも、ケジメをつけようとあがく一つの方法だった。
絵は想いを込める。
父を描き、母を描き、兄を描き、故郷を描き……これまでの想いを詰め込んで、捨てるのだ。
そしてこれを最後にもう二度と浸るのはよそう。
思い出すのはやめようと言い聞かせるのだ。

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