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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-18

クロエ「なんだか暗くて初めの位置がわかんなくなってきたわ」
リク「馬車で来たんだ、道なりに行けば着くよ」
 
 粗末な荷馬車に乗せられて、屋根となる丈夫な布が全体に覆いかぶさっていたため、外の様子は確認できなかった。
 けれど、道なりに来るときは崖が片方にずっと続いていたのではないかと気がついた。
 沢の音がずっとしていたのである。
 
リク「右だ。進行方向に対して右手はずっと崖だったんだよ、クロエ」
クロエ「右に気をつけていればいいのね」
リク「崖……そうか」
 
 やがて追ってきた人形の気配を感じ取り、振り返った。
 
リク「崖に落とすしかない!」
 

▽つづきはこちら

 リクは呪文を唱え始めた。
 とっさに避けられてしまわないよう、直前にまで引き寄せてから必殺の一撃を放つしかない。
 これで失敗したら、あの愛らしい人形に今度こそ首を掻き切られてしまうだろう。
 避けられないのはお互い様だ。
大きな危険を伴うが手立てはこれしか残っていなかった。
 
リク「クロエは先に逃げて! 俺はコンパスが長いからすぐに追いつく」
クロエ「でも……っ」
リク「先生を助けたいんだ、それには君の力が要る! 剣を取ってくれ、クロエ!!」
クロエ「……わかった! すぐに追ってきて、約束よ!!」
 
 白薔薇に剣を。
 これほどクロエに剣を求められた瞬間はなかった。
 リクは一か八かの勝負に全てをかけ、クロエはその彼を信じてひた走った。
 
リク「さぁ、来い!」
クロエ『リクは負けない、私も負けない!』
 
 
 場面は悟六と鎮の戦いに戻る。
 すでに周囲の木々は派手に傷ついて切り倒されていた。
 悟六の鎖鎌の切れ味である。
 小さな茂みは半分から切り取られ、大木は鎖の跡と分胴がめり込んだ跡でひしゃげている。
 ひゅんと鎖を回して悟六はいよいよ燃え盛る炎の中で気配を探った。
 これだけ戦闘音があってこれだけ炎が盛んに燃え始めているのに誰も駆けつけてこない。
 どうしたことか。
 悟六は鎖で捕らえてすぐに始末したのだが、他の連中は例の人形に手こずっているのかもしれない。
 
悟六「なんにせよ、わしがおシズをやれば済むことだ」
 
 とはいえ、その鎮が捕まらない。
 どんな身体能力をしているのか、無理な体勢からでも避けてしまうのである。
 認識が甘かったと悟六は今更ながらに思った。
 冴牙と違い、相手を驚異的に感じていなかった彼は、妖力さえ封じてしまえば、赤子の手をひねるより容易いと考えていたのだ。
 見た目にいかにも頼りなげでまんまとだまされたというわけだ。
 臆病な分、冴牙の方が本質を見抜く力に優れていたのかもしれない。
 
悟六「妖力を封じたつもりであったが、人形を繰っているところをみると完全ではなかったようだな……」
 
 だが、全てを飲み込むような大きな術は使ってこない。
 それは救いだった。
 
悟六「どこじゃ、おシズ! 観念せぃ!! お前が生きていてなんになる? お前の行く先に未来などなかろう! 無駄なあがきはよして出て来い!」
 
 そうでなくとも蒸す夏の夜に周りは炎に囲まれて、やたらと熱い。
 額に浮かぶ汗はそのせいだ。
 目の中に流れ込んでくる前にと袖で乱暴に拭った。
 
鎮「確かに……」
 
 しばらく待つと意外にも返事が返ってきた。
 身を隠した相手の場所を突き止めるための布石だったが、どうやら当たったようだ。
 
鎮「確かにこのシズが死のうと生きようと、真に喜んでくれる者も悲しんでくれる者もおりはしないでしょう」
 
 生徒たちは残念に思ってくれるかもしれない。
 けれどそれだけだ。
 代わりはいくらでもいて、無二の存在ではないのだから。
 別の教官がそこに当てはめられて、しばらくすればなんら変わらない毎日が続くだけだ。
 誰に対しても特別な存在ではない。
 
鎮「けれども悟六殿。だからといって、シズがどうして里のために命をくれてやらねばならぬ道理がありましょうや?」
悟六「それはわかるぞ。炎座の言うように里で煮え湯を飲まされ続けたお前が、里のために惜しげもなく命を差し出すいわれはないであろうからな」
 
 鎖鎌に遠心力をつける。
 
鎮「……わかっていただけるか」
悟六「里の者たちの言い分が理にかなっておらぬは承知よ。だがよ、おシズ」
 
 移動した。
 悟六は耳と目で気配を追った。
 
悟六「もしお前がただ死ぬのが嫌なだけで、かといって生きていることに意味がないのならよ? 里の子供たちのために死んでくれやしまいか」
鎮「…………」
 
 ……止まった。
 狙い定めて分胴を放つ。
 
鎮「……がっ!?」
 
 分胴は鎮の額を掠めて飛んだ。
 掠めただけだが、重さと勢いがついて何倍もの威力になっている。
 薄い皮膚を割って血が飛び散り、衝撃で派手にひっくり返った。
 とうとう捕まえたと歩み寄る。

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●Thanks Comments

わわわわわっ。

けしてレクのことではありません(笑)
クロエ、リクどうなる?しかし、シズカ人形可愛いのに恐るべし☆
冴牙やっぱり怖い。でも、臆病者?
悟六さすが年上のお方、言葉が安心するからヒサメ先生も悟六の発言に応えてしまったのかな?
ヒサメ先生ピンチだ☆でも、強いらしいので大丈夫かな?
あ、でも悟六も強そうだよ?
初と偲は?
わーいっ。またまた続きが楽しみ☆

From 【あっぴ】2008.09.11 23:16編集

むおー。

冴牙はあれでいて気が小さいビビリ君です(笑)
この先はまだ考えていないので、困ってます(爆)
ホントにどうなることやら……;
行き当たりバッタリでスマンこってす(笑)

From 【ゼロ】2008.09.11 23:21編集

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