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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-13

 巨大な鎧武者は二人を連れて山をぐんぐん下っていく。
 
クロエ「ま、魔物なの!?」
リク「いや、中ががらん胴だ。これは人形だよ」
クロエ「人形!?」
リク「遠隔操作か? すごい……」
 
 鎧武者の両脇に抱えられたクロエとリクは互いの顔を見合わせる。
 
クロエ「先生は魔法が使えないはずじゃ……?」
リク「無理をしているんだ……。だから、ホラ……」
 
 ある程度まできて、人形の速度が突然落ちた。
 

▽つづきはこちら

リク「だから草むらに潜ませて機会を狙っていたんだと思う。あの人が何の用意もなく敵の前に姿を見せるとは思えなかったんだ。よかった……勝算はあったんだよ」
クロエ「でも気を引くためにもうボロボロだったわ。……どうする?」
リク「……決まってる!」
クロエ「……そうよね!」
リク「クロエ、白魔法を」
クロエ「ええ!」
 
 縄に込められていた初の封魔の術は、断ち切られた。
 クロエは強くうなずくとまずは自分に回復魔法をかけた。
 回復は治癒力を高めるが、抜かれた血が急に元に戻るわけではない。それでも一時的に身体をだませるだけの効果を持っている。
 先に自らを回復させ、漲ってきたその力でリクを強く回復。そしてもう一度、自分にもかけた。
 
リク「クロエ、彼らは薔薇の騎士団を潰して回ってた。……相当の手だれだ」
クロエ「わかってる」
リク「俺たちは向こうから見たら、まだほんのヒヨッコで、勝ち目はないかもしれない」
クロエ「わかってる」
リク「先生は俺たちを逃すため、屈辱に耐えに耐えた。彼らに隙が見当たらなかったから。……そして、俺たちに……逃げ切れる力がなかったからだ。残念だけど」
クロエ「うん……」
 
 力強く2度うなずき、3度目は無念をにじませて首を振った。
 
リク「俺は男だからいい。だけど君は女の子だ」
クロエ「……それは……どういう?」
リク「俺は先生を助けに行く。君は、山をこのまま下って、助けを呼んできてくれ」
クロエ「私も行くわ!」
 
 驚いたように目を大きく開く。
 
リク「ダメだ。あのサエガという男……見たろ。クロエは危険だ」
クロエ「危険なんか承知の上よ」
リク「勇気だけじゃダメなんだ」
クロエ「なら言わせてもらうけど、私はリクよりも接近戦に強いのよ」
リク「だけど君の得意の剣はない」
 
 考えていたが、やがて、
 
クロエ「……わかった」
リク「そ、そう? よかった、わかってくれて。じゃあここで別れよう」
クロエ「ええ。リクが私を連れて行かないっていうんなら、私は一人で行くから」
リク「えっ!? そっち!?」
 
 魔力が届かなくなったのか、武者人形が倒れて二人を放り出した。
 
リク「うわっ」
クロエ「きゃっ!」
 
 草むらに上半身を突っ込む。
 武者人形はそのまま動きを止めてしまった。
 今、氷鎖女一族は鎮を追っている。
 下に降れば逃げ切れるであろう。しかし二人はそうしなかった。
 却って足手まといになってしまうかもしれない、そう思いながらも“先生”を捨てていくことはできなかったのである。
 決意をした二人の前に思わぬ追っ手が現れた。
 ……人形だった。
 
リク「ド、」
クロエ「ドール!?」
 
 偲がいつも抱いていた人形。
 だが、偲の姿が見当たらない。
 
クロエ「どこかにお兄さんが潜んでいるわ! 気をつけて!!」
 
 叫んだと同時に人形は短刀を抜いて襲い掛かってきた。
 
クロエ「キャッ!」
リク「動くのか!?」
クロエ「先生は人形作るだけの人形師じゃなくて、人形も繰る人形師だった……! お兄さんも……ただの腹話術師じゃなかったんだわ!!」
リク「クロエは後ろに下がって! 魔法で吹き飛ば……うわっ!?」
 
 人形が素早く切りかかってきた。。
 身をよじって避けたつもりが二の腕に痛みが走った。遅れて血の染みが衣服に広がっていく。
 
リク「くそっ」
人形「リッくんとクロエやっけてー♪ 偲にホメホメしてもらうの、シズはー♪」
 
 刃物を持った人形が可愛らしく飛び跳ねる姿は逆に恐怖を煽る。
 
リク「このっ! これならどうだっ! 避けられた!?」
人形「この程度でシズカを倒そうなんて片腹痛いでござるよ、リッくん! キャハハハハ!」
 
 正確さに定評のあるリクの魔法だが、的が小さい上にチョコマカと素早い動きで翻弄され、捕まえられない。
 光の刃を同時にいくつも放ったが、ひょいひょいと全て避けられてしまう。
 ……屈辱である。
 
リク「くっ……! 術士のシノブさんが必ず近くにいるはずだ! 探しだして仕掛けるしかない!!」
クロエ「わかってる! でもこの人形が邪魔で……っ」
 
 リクの上着を借りて、遅い来る人形をはじく。
 
クロエ「武器さえ手に入れば……!」
   「リク、正確さはもういいから、大きな魔法で吹き飛ばしちゃって! 大胆に! そうすれば、いくらなんでもかわせないハズよ、小さいんだから!」
リク「よし、わかった、やってみる!!」
 
 リクが大きめの魔法の詠唱に入ろうとするのを人形が邪魔をする。
 その人形の邪魔をすべく、クロエは上着を振り回した。
 
リク「よし、よく引き付けてくれた。あとは任せて!!」
 
 光の魔法が破裂した。
 
クロエ「やったわ!」
 
 眩しさに目を細めて、クロエは勝利を確信した歓声を上げた。
 
リク「よし、先を急ごう!!」

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●Thanks Comments

やった☆

ヒサメ先生凄い☆しかし、どうやって馬に乗り、人形の巨大な鎧武者をひきつれてきたのだろう(笑) でも、リクもクロエも逃げれて良かった(^-^)でも、偲が持っていた人形が勝手に喋って、勝手に動くとは....あれは腹話術ではなかったんだね...ビックリでした。

From 【あっぴ】2008.09.10 00:16編集

鎧武者はね、

後で本文にも書きますが、鎮が養成所の部屋を出てくるときに巻物を持っていってるんです。
あれに封じているのが、鎧武者なんですよー(^-^)
だから持ち運びはコンパクト。呼び出すと巨大ビックというワケです。
リクやクロエたちが捕まっている近くにその巻物を設置しておいたんですよー。

From 【ゼロ】2008.09.10 00:20編集

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