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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-12

リク「……っの!!」
 
 怒れるリクに煽り立てるような一瞥くれると冴牙はまた鎮に向き直った。
 卑猥で下劣な笑みをいっぱいに広げながら。
 
冴牙「教え子の前って言うのがいいじゃねぇか。なぁ? ホラ、見てみろや。手も足も出ねーで、負け犬の遠吠えだ。あの可愛い教え子たちにゃどんな風に映っているのかねぇ、今の“先生サマ”は」
 
 応えない相手に少し苛立ちを感じながら、その細い顎をつかんで顔を向けさせる。
 
冴牙「さぞや情けなく映っておるのであろうなぁ。土下座してよぉ、犬みてぇに這いずってよぉ。ヒヒッ。どうする? 泣くか? よォ? 聞いてんのか、コラ」
リク「先生! 戦って、先生!」
クロエ「そうよ! 私たちのことはいいの! 剣をとって! 言いなりになんてならないで!!」
リク「先生がその気になればオマエラなんか……っ」
 

▽つづきはこちら

 笑う場面ではないのに、誰かが噴出した。
 炎座だ。
 
炎座「私たちのことはいい、刀をとれとな! ぐははっ! こいつぁいい、茶番だな!! 刀を取っても同じことじゃ! 妖力を封じられたシズに勝ち目などないわ!! 冴牙、シズを早ぅ殺して西の者たちの期待を根こそぎ奪ってやれ」
冴牙「まだよ、炎座ァ。ありとあらゆる恥辱にまみれさせたのちに、然るべき方法で処刑してやんよ。それが掟破りの罪人に最も相応しい死に様ってモンだ」
炎座「相変わらず、怖い男よな、冴牙」
冴牙「おシズの大好きな“あにさま”も、西の都の観客もおるでな。楽しいしょおたいむと洒落込まないとシラケるべ」
偲「…………」
 
 硬い地面に相手を押し付けて馬乗りになる。
 
鎮「…………」
偲「…………」
リク「やめろ! 何をする気だ、下種が……。その人に触るな、この…………ワカメ野郎!」
 
 ワカメと呼ばれた冴牙がそれと称されたまとまりの悪い髪をざわつかせた。
 
冴牙「誰がワカメだ、テメェ」
リク「気に入らないなら、言い換えてやろうか、この…………インモー野郎」
 
 ワカメから陰毛扱い。
 とてもあのリクの口から出た言葉とも思えず、クロエが目を丸くする。
 
クロエ『言っちゃった……!!』
冴牙「へっ。怒らせて先生サマから目を逸らさせようってんだな? んな安い挑発に乗ってやるほどお人好しじゃねェよ、俺ァ。後でお前さんも覚悟しておくんだな。悪いが俺は惨いぜェ? 隣の女もおんなじだァ。ヒヒッ」
リク「……くっ」
偲「…………惨めだな、リク君。大口は、強者でなくば様にならぬ」
リク「! 貴方はっ……!」
 
 リクに一言置いて、偲は歩き出した。抜き身の刀を手にしたまま。
 
冴牙「おおおっ! スッゲェ、今にも破裂しちまいそうだぜェ。いーい声で鳴いて、俺を愉しませてくれや。さぁ、どこから壊してやろうか?」
 
 着物の胸元を大きく開いたとき、冴牙の耳に冷たい感触が触れた。
 
偲「…………」
 
 冴牙の耳の付け根が少し切れて血が滴り落ちる。
 
冴牙「…………………………………………なんの、つもりだ?」
鎮「………あにさま………」
偲「お前の小汚いナマモノなぞ、見たくない」
冴牙「とーうとう、尻尾を出しやがったな。お前は裏切り者じゃねぇかとずっと思っていたんだよ。シズを痛めつけりゃ、必ず尻尾を出すってな」
 
 鎮にまたがって帯を解いていたが、再び衣服を整える。
 
偲「…………」
リク「……シノブさん……?」
クロエ「お兄さん……!」
冴牙「ここで白黒ハッキリさせようじゃねぇか」
初『偲……! 冴牙……!』
偲「……カンチガイするな。汚らわしい犬などどうでもいい」
 
 弟にちらりと視線を向けてから、冴牙に戻す。
 
偲「シズは俺が殺る。無駄な時間を浪費するのも億劫だ」
 
 冷たく言い放たれて、冴牙は全身が濡れるほどの大量の汗を噴出した。
 
偲「……耳をそぐか?」
冴牙「じょ……冗談だって……ヒ……ヒヒッ」
 
 ゆっくりと立ち上がって離れる。
 胸元を正し、上半身を起こして、
 
鎮「あにさま。お待ちしておりました」
偲「カンチガイするなと言ったろう、誰が卑屈で薄汚いお前などに手を差し伸べるものか」
鎮「……いいえ。だってシズは、このときを待っておったのですから」
偲「……ナニ?」
 
 訝しんだ瞬間に、人質のいる背後から何者かが現れた。
 
偲「!!」
リク・クロエ「!?」
初「きょ……巨人!?」
 
 姿を現したのは、3mはあろうかという鎧武者であった。
 巨人は腕をふるうと一人残った初を吹き飛ばし、リクとクロエの縄を切り、両脇に抱えて走り出した。
 
悟六「しまった! 偲が持ち場を離れる隙を伺っておったのか!!」
 
 そちらに注意が向いた途端、鎮は自分が放った刀に素早く飛びついて逃げ出した。
 
炎座「逃げた!!」
冴牙「チクショウ!!」
炎座「どちらを追う!?」
悟六「……もちろん……おシズだ!!」
 
 氷鎖女五人衆は迷わず罪人を追った。
 
人形・鎮「偲!」
偲「…………」
人形・鎮「シズは、あっちを追うよ」
偲「……任せた……………………シズカ」
 
 幼い子供の姿をした人形は、偲の腕から抜けた。
 ……ひとりでに。

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