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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 61-9(改)

 “おシズ”または“シズカ”と現在名づけられて呼ばれるその人形は、別に自分をモデルにしたつもりはなかった。
 むしろ兄を想いながら10歳の自分が作った、たどたどしい技術のあにさま人形である。
 本当は家族の人形を全部作って、「なかよし」にして飾っておきたかった。
 しかし一体を作ったところで、死なねばならなくなり、結果、作った初めの人形だけが兄の手元に遺品として残ったというわけだ。
 見ての通り、自殺に失敗して今ものうのうと生きているのであるが。
 
鎮「シズの兄は変人だと思われたらいかがいたす!?」
偲「…………」
人形「変人じゃないモン。ぷいっ」
 

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レイディ・メイディ 61-8(改)

リク「わーあ……」
アン「わぁ……」
  『でもよかった。先生が気を使ってくれて』
 
 そんな様子を曲がり角から観察する4つの顔があった。
 リクとアンの友人たちだ。
 
ジェーン「あー、もー。リッくんたらどーゆーつもりぃ?」
カイル「空気読めないやっちゃなー、相変わらず」
クレス「空気の読めない度で言えば、お前も大したもんだぞ、勇者」
モーリー「リクくんが先生にラブラブし過ぎるんだよねぇ」
クレス「お父さんと同じ民族だからだよ」
   『きっと……懐かしくてしょうがないんだ』
 

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レイディ・メイディ 61-7

 けれどお兄さんだって負けてはいなかった。
 
鎮「……と、ここまではよいだろうか」
 
 説明にひと段落ついた鎮の背後に気配があった。
 いつのまにか髪型が2つおさげになっている。
 
鎮「………………」
 
 視界の端にまたしても踊る影。
 縛ってあった縄が何故か足元に落ちている。
いつのまにコツをつかんだか。とんでもない兄だ。
 

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レイディ・メイディ 61-6

リク「……アンはいい子だし……彼女となら、上手くやって行けるんじゃないかと思ったんだ」
カイル「そりゃあ、性格は良さそうだけど。おとなしそうだし。ま、あのメイディア嬢に比べれば、世の中の人間、全員いい子ちゃんか」
リク「どうして……そこでメイディアが出てくるかな」
クレス「死んだ人間のこと、悪く言うなよ」
カイル「……だって。なんかさー。いいのかなー……みたいな」
クレス「なんだよ」
リク「…………」
 
 思いに沈んだ顔付きになって黙っていたリクにアンを連れたジェーンが走り寄って来た。
 
ジェーン「同じ授業なんだから、一緒に行けばいいじゃない」
リク「あ、そうだったね」
ジェーン「ホラ、アン」
アン「あ、うん…」
ジェーン「も~、しょうがないなぁ」
 
 リクの後ろをついて歩くアンの背中を見つめて息をつく。
 

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レイディ・メイディ 61-5

カイル「だってさ。ホントにあんなの、好きになんのかなって思ってよ。俺ならもっといい女選ぶもん」
リク「アンが嫌い?」
カイル「別に好きでも嫌いでもないけどさ。しゃべったことないし。俺がどーのでなくて、お前みたいな顔に生まれついてたらさ。もっと選り取り見取りじゃねってコト」
リク「それほど、俺はモテてないよ」
 
 肩をすくめる。
 
カイル「バカ言ってんな、イヤミかテメー! どうでもいいけど、ホントにあのおさげが好きで選んだんだろうな?」
リク「い、いや……でも、好きになるよ。アンはいい子だから」
カイル「いい子だから好きになるとは俺は違うと思うぞ…………まぁいいや。関係ね」
クレス「そうそう。関係ない。放っておけよ」
カイル「ラジャーっス」

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レイディ・メイディ 61-4

 一方、リクは校舎を出たところでアンに追いつく。
 
アン「……!!」
リク「えっと……何て言うか……その……」
アン「ごっ! ごめんなさいっ!! モーリーが勝手なこと!! モーリーったら、悪ふざけが好きですぐああやって……だからっ!! 本気にしないでっ!! 違うの、違うの!!」
 
 ハッキリと断わられたくない一心で相手の言葉にかぶせ、結果をうやむやにしようとする。
 この恋が叶うわけがない。
 結果はわかりきっているのだ。
 どこかの国の王子様のような彼が、変身しないシンデレラなんかに目を留めてくれるわけがない。
 それならば結果など出さないで、ずっとずっと夢を見ていたい。
 追いかける権利を奪わないで欲しい。
 
アン『モーリーのばかばか!』
 

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レイディ・メイディ 61-3

リク「…………えと……」
モーリー「好きなの。愛しているの」
アン『いや…………! モーリーのばか……』
リク「………………」
モーリー「ずーっと好きだったの。入所以来」
アン『それは私よ! ズルイ、ヒドイ!!』
リク「その……それは……」
アン『やめて、モーリー!! 私が好きだって知ってるのにどうしてそんな……』
モーリー「付き合って欲しいの。恋人として」
アン『断わってリク君!!』
ジェーン『ウソ、マジで?』
リク「………………」
モーリー「………………アンと」 にっこ。

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