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レイディ・メイディ 61-5
2008.08.20 |Category …レイメイ 61話
カイル「だってさ。ホントにあんなの、好きになんのかなって思ってよ。俺ならもっといい女選ぶもん」
リク「アンが嫌い?」
カイル「別に好きでも嫌いでもないけどさ。しゃべったことないし。俺がどーのでなくて、お前みたいな顔に生まれついてたらさ。もっと選り取り見取りじゃねってコト」
リク「それほど、俺はモテてないよ」
肩をすくめる。
カイル「バカ言ってんな、イヤミかテメー! どうでもいいけど、ホントにあのおさげが好きで選んだんだろうな?」
リク「い、いや……でも、好きになるよ。アンはいい子だから」
カイル「いい子だから好きになるとは俺は違うと思うぞ…………まぁいいや。関係ね」
クレス「そうそう。関係ない。放っておけよ」
カイル「ラジャーっス」
▽つづきはこちら
会話を終了させた直後、誰もが憧れるリクの彼女の座を射止めた、カイルいわく、おさげの地味少女が友人たちとともに食堂へ姿を現した。
視線が合うとたちまち目を伏せて真っ赤になってしまうアンを両隣のジェーンとモーリーが押す。
モーリー「ホラ、近く行って食べようよぅ」
アン「でも……図々しいって思われないかな?」
ジェーン「何言ってるの。アンタはもう彼女なんだから」
モーリー「そうそう♪ 誰もがうらやむシンデレラガールなんだからぁ、鼻高々でGO☆」
二人に連れられる形で同じテーブルにやってくる。
アン「あ…あの…」
リク「や。おはよう」
アン「お、はよ…」
聞こえるか聞こえないかくらいの声でやっと返す。
まだ昨日の出来事が信じられない。
カイル『うわぁ~……地味だぁ~』
ジェーン「……クレス君、記憶喪失になってるかな、モーリー?」
アンが頬を染めてうつむいている後ろで、長身のジェーンは背中を丸めてモーリーの耳に囁いている。
モーリー「確かめてみればいいのよーう。ねぇ、クレス君、記憶喪失になったぁー?」
クレス『ぎくっ!』
「な…………なった……」
どぎまぎ。
青ざめて引きつった顔のクレスを指差して、
モーリー「……なったって」
ジェーン「ふぅ。ならいいんだ♪ よかったぁ」
爽やかな笑顔でポンと両手を合わせるジェーン。
……だまされてる!!
そんなワケないのに!
ジェーン「あんな告白なんてナシだもん。ちゃんと自分でセッティングしてぇー♪ ここぞっという瞬間にクレス君に……………………ぎゃああああああ!!!!!!」
自らまたしてもポロリこぼして、悲鳴を挙げる。
同時に左右からクレスの耳をものすごいイキオイで押える。
押えるというよりは、バチンとぶっ叩いている。
クレス「ごあっ!?」
ジェーン「きききききき聞こえなかったかなァッ!? ねぇ、モーリー!??」
あわあわ。
モーリー「…………聞いてみたら?」
クレス「きっ……聞こえなかった……」
涙、じょぼじょぼ……。イタイ。耳が。
ジェーン「ふぅ。良かったぁ~♪」
すぐに答えている時点で聞こえているとわかりそうなものだが、混乱したジェーンには通用しな
い。満足して席に着いてしまう。
そちらの方が平和でクレスには助かるのだが。
リク、クレス、カイルの3人と同じテーブルに着席して、食事を始めるもしゃべっているのはジ
ェーンとモーリーばかり。
二人の友人は一生懸命にアンに話題を振るけれど、肝心の当人が終始うつむいていてお話にならない。
結局、せっかくのセッティングも空しく、ほとんど会話にならないままに食事は終了してしまった。
ジェーン「んもう! アンのバカ」
アン「だってぇ」
「まだ実感が沸かないっていうか……やっぱりやめようとか言われないかとか……」
モーリー「ヘーキヘーキ。もっと自信もちなよぉ。リッくんがアンでいいって思ったんだよ? 選ばれたんだよ?」
アン「………」
モーリー「メイディでもなく、クロエじゃなく。世にいる名だたる美女でもなく、アン=ブラウンなんだから」
アン「うん、うん……わかってる」
モーリー「そいでも、もしやっぱりやめようとか言われたら、こっちこそ願い下げって言ってやんなー」
アン「そっ…そんなこと、リク君は言わないもん!」
モーリー「じゃあ、いいじゃなーい」
アン「う、うん」
ジェーン「大丈夫よ。すぐ慣れるって」
一方、リク側の方では、新しい彼女についてやっぱり納得がいかない様子のカイルが異論を申し立てていた。
食事が終わってこれから同じ授業なのに、何故か一緒に行かないというのがいかにも恋人の実感がない二人らしい。
それぞれ仲の良い同性友達と行動を共にしちゃっている。
カイル「なんだってよりによって、あのおさげ?」
リク「どうして?」
クレス「まだ言うか」
カイル「だってアンタなら他によりどりみどりじゃん?」
クレス「お前と違ってな」
カイル「お互い様」
クレス「…うっ」
カイルとクレス、軽口の応酬。
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