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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 60-7

リク「先生、あの……」
氷鎖女「……誰?」
 
 注意深く教卓に教本を置く。
 
偲「……………」
リク「先生のお兄さんって人が……」
氷鎖女(以後、鎮)「……………」
 
 “先生のお兄さん”という人物が椅子から立ち上がって前に2、3歩、歩み寄った。
 鎮は一歩下がって、帯に差した刀に手をかける。
 その場にいた生徒達は抱き合って泣いて喜ぶ感動の再会シーンを思い描いていたのに、予想外にもヒサメ先生の態度は硬かった。
 ぴんと緊張の糸が張り詰められる。
 
鎮「あにさま、で、ございますか」
 

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レイディ・メイディ 60-6

 同日、まだ早い時間。
氷鎖女 鎮宅。
 
メイディア「リクはおいしいおいしい言っておりました? ワタクシのお手製クッキー」
 
 わくわく♪
 
氷鎖女「言うか、ボケ。口から血を流しておったわ」
メイディア「ムキョ!」
     「リクはもう18ですか。先生を追い抜くまであとわずかですわよ?」
氷鎖女「年は追い抜けないわ、ボケ」
メイディア「おおっーと! そうでしたわ。ワタクシとしたことが。背の高さの間違いでした」
氷鎖女「……こっ……」
メイディア「あーらあらあら。背は元からでしたわよねぇ~? ドュフフフ」
 
 目上の頭をナデナデ。
 

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レイディ・メイディ 60-5

リク「異国の人だし、ヒサメ先生のことわかっているくらいだから……」
フェイト「わかってるってどのくらいだよ」
リク「子供のころ……10年前に別れたとか」
フェイト「バッカ! それって他人でも言えるぞ」
リク「そ、そうだけど……」
フェイト「他の連中はともかく、まさかお前があっさり連れてくるとは思わなかった」
リク「雰囲気……かな。そういえば、疑い、あんまり持たなかった」
クレス「いや、すんごいアホちっくだったから、絶対、ヒサメ兄だって。心配ないよ」
 
 アホい。
 その一点で皆が信用してしまったのだ。
 
フェイト「……ありえねぇ」
 
 がっくり。
 

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レイディ・メイディ 60-4

初「おシズがどのような力を持っているか知れませぬ。もっと下調べが必要だったのでは?」
悟六「それはワシも思ったが、偲が行くと言うでな。任せることにした」
初「…………」
炎座「そう案ずるな、お初。シズは忍の法を心得ておるまい。ワシらの勝ちに決まっておる」
初「しかし、この西の大陸には“まぢっく”なる怪しげな妖術が……」
炎座「大したことはなかったではないか。あの公爵も操っておったが、あの程度では我ら一族の敵ではない」
 
 体を揺すって巨漢が豪快に笑った。
 
悟六「油断は禁物ぞ、炎座。あの大名、まだ何か底知れぬものを感じるでな。隙は見せてはならん」
炎座「相変わらず、慎重よな。慎重も過ぎると臆病となり申そう」
悟六「なんだと」
 
 臆病と聞いて、悟六が鋭い視線を突き立てた。
 

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レイディ・メイディ 60-3

人形「シズの部屋は?」
リク「そこまで案内はちょっと……食堂に入れたのも本来ならマズくて……」
人形「偲、出て行けって」
リク「あっ、出て行けっていうか」 アセアセ。
人形「シクシクシク……せっかく遥々、会いに来たのに。ここから歩いて戻ったら何日かかるか……それなのに。ああ、それなのに。およよ」
偲「………………」
 
 泣きまねの人形をなでて、チラッチラッとリクを見る。
 催促満々の視線ビームを放って。
 
リク「…………わ……わかりました………俺たちの部屋で良ければ……」 滝汗。
 
 ……負けた。
 変な人に負けてしまった。
 

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レイディ・メイディ 60-2

リク「あのすみませんけど……家は誰も知らないんです。明日には戻りますので、御足労ですけど、また出直してもらえませんか?」
氷鎖女・兄「……………」
 
 紅い瞳と黒い瞳が一瞬、かち合った。
 
リク『これが………先生の……素顔?』
 
 無表情で感情の読み取れない、温かみの感じられない顔立ち。
 背から声からこれだけ違うのだから、素顔もきっと違うだろう。
 しかし似てはいるはずだ。何せ双子なのだから。
 鎮の額あての下にこの顔を当てはめて、想像してみた。
 
リク『……もっと可愛いかと思っていたけど……』
 
 リクの中で、オコジョな鎮の顔にバッテンがつけられる。
 

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レイディ・メイディ 第60話

第60話:兄弟再会
 6月。
薔薇の騎士団養成所・宿舎3階。
 
カイル「リクリク、クレス! リクレス!!」
 
 カイルがノックして叫ぶ。
 
クレス「うるさいな。混ぜて呼ぶなよ。何がリクレスだ」
カイル「超巨大ビックニュース!」
クレス「ニュース?」
カイル「ヒサメ先生のお兄さんが……キータァー!!」
クレス「なんだそんなこと……………………………………って……」
   「エエェエェエェエ!??」
リク「!!」
クレス「ど、どういうことだよ、それ!?」
 
 ドアを開け放ってカイルを引き入れる。
 

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