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レイディ・メイディ 59-2
2008.08.04 |Category …レイメイ 58・59話
氷鎖女「ほんに良い奴」
レク「わっ、笑い事じゃなくてっ」
からかわれたと思ってさっと赤くなるレク。
彼の自然体の優しさは、良い家庭環境の中でたっぷりの愛情を受けて育てられた特有のものだ。
経済的に裕福だから幸せとは限らない。
幸せとは、心が裕福であることを指し示す。
彼はまさに心が豊かな優しい少年。
飢えていないからこそ、周りに惜しみ無く与えることのできる本物の、愛だ。
氷鎖女「ゴールデンのときもそうだったが……」
レク「え?」
メイディアを想い、フェイトに殴りかかったレクを思い浮かべたが、もちろんレクにわかるわけはない。
▽つづきはこちら
氷鎖女「お前様のような者こそをが最後に笑えばいいと、思う」
レク「エ? エ??」
氷鎖女「少々、損な性格をしていようが………それに余りある魅力がある」
レク「いや……あの……そんな……俺はあの……」
氷鎖女「……では、御免」
レク「いや、俺なんてそんな………って、アレ!? ちょっと! 話が終わってないんですけど!!」
照れていたが、すぐにハッと気づいて、小柄な教官の襟首を捕まえた。
氷鎖女「ぐえっ」
レク「バースディパーティーには出席して下さいますね?」
後ろから押えられて閉まった首元を正して、
氷鎖女「んー……拙者はな、あまり関わりとうないのでござる。リクだけでなく、誰とも、個人的には」
レク「……そんな……リクは……」
氷鎖女「懐かれておるは知っているでござるよ。でも、拙者は近々、遠くに行かなければならず。だから、頼るのは拙者ではない他の誰かを見つけてもらわねば」
レク「リクが……嫌いなワケではないんですよね?」
氷鎖女「違うよ?」
否定を聞いて、レクはほっと息をついた。
レク「この養成所をお辞めになると?」
氷鎖女「まだ上に話は通していないが、そうせざるを得なくなろうな」
レク「遠くってどのくらい遠くなんですか? それは連絡が取れなくなってしまうくらい?」
氷鎖女「うん。遠い。ずっとずぅーと」
レク「だから……独り立ちを促したんですね?」
氷鎖女「うん」
レク「でも、今すぐではないんでしょ? いいじゃないですか。別れる間際まででも優しくしてやってはくれませんか?」
氷鎖女「……それは……」
レク「はい」
氷鎖女「そちらが頼むこと?」
額当てをいじって、下から覗き込む。
レク「…え…」
氷鎖女「それで……拙者が頼まれること?」
レク「……それは……」
二人の間に、妙な沈黙が落ちた。
レクが苦し紛れに口を開こうとした先に、氷鎖女が首を振った。
氷鎖女「……………………………いいよ」
レク「!」
氷鎖女「誕生日祝いには、顔を出そ」
レク「あ、ありがとうこざいます」
氷鎖女「贈り物は、何が良いかな?」
首をかしげる。
レク「来て下さるだけで、喜びますから」
氷鎖女「…じゃあ……花火……花火にしよ」
レク「花火! うわぁ、いいです、それ、いいと思います!! 絶対、盛り上がりますよ♪」
氷鎖女「……あれ。自分のことのようにはしゃいで。お人よし。あきれる」
肩をすくめる。
レク「だって俺、嬉しいです」
氷鎖女「では、お人よしついでに一つ」
レク「はい!」
氷鎖女「できたら、リクだけでなくクレスもいつか同じように………あれにも……いないから」
レク「はい、もちろんです」
氷鎖女「…………………………………………り…がと…」
レクには通じない程度だが、彼は微かに笑った。
レク「やった、やった♪ ヒサメ先生ゲット☆」
氷鎖女と別れて、レクは仲間の元に飛び込んだ。
土曜日で今週の授業が全て終わった黒薔薇ヒサメクラスの教室である。
レイオット「首尾は?」
レク「任せて♪」
クロエ「じゃあ来てくれるのね、先生! やったぁ☆」
フェイト「お、おいっ! 俺の作った力作、踏むなよ、クロエ!」
クロエ「なぁに?」
フェイト「花!」
クロエの足の下に無残な姿をさらした紙製の花を指さす。
クロエ「あっ、ごめん。失敗作かと思って……」
申し訳なさそうに足を上げる。
フェイト「…なっ!? しっ……しっぱ…!?」
クレス「何が力作だよ、ゴミじゃん、フェイトの作ったの飾るなよ、皆!」
ジト目のクレスが皆に言うと、冷やかす笑い声と共に了解の返事があちこちから挙がった。
フェイト「ゴ、ゴミッ!?」 がーん!?
レイオット「フェイトは手先が不器用だもんね。それに比べてこの私の華麗な………」
限りなくブッサイクな花を手のひらに乗せて、かかげたレイオットだったが、
レク「あ、コレも捨てるやつ?」
ひょいとレクが取って、ゴミ箱へ。
レイオット「………私の……華麗な……」
レク「さ、時間がない。作業、急ごう、皆!」
全員「おーっ!」
レイオット「…………………」
フェイト「それに比べてこの私の華麗な何かな、レイオットさん?」
花を掲げたポーズのまま止まるレイオットにフェイトがトドメをぐさり。
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