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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第59話

第59話:18歳の誕生日
 ハッピバースディー トゥー ユー♪
 ハッピバースディー トゥー ユー♪
 ハッピバースディー ディア 李紅♪
 ハッピバースディー トゥー ユー♪
 
 ルームメイトたちが寝静まった夜中の部屋で、リクは一人で自分の誕生日を祝い、味のしないケーキを口にした。
 自分の誕生日で家族の命日。
 妹の人形を探しに家を出たばかりに自分だけが置いてけぼり。
 
リク「ごめんね、皆……カタキを取ってやりたかったけど……ダメだったよ」
 
 まぶたを閉じて、カタキを望んでいないであろう家族に謝罪する。
 家族はきっとリクがこんなことに縛られずに幸せになることを望んでくれているはずだったが、彼は無念で無念でたまらなかった。

▽つづきはこちら

 苦しくて、担任の教官の側に行きたいと無性に思った。
 けれど先日、独り立ちしろと厳しく言われてしまったばかりだ。
 頼られても困るということだろうか。
 彼の側にいられれば、少なくとも父の影を追うことはできたのに。
 ぼんやりしていたら、味がまったく伝わってこないケーキを1ホール食べ切ってしまった。
 自動的に口に運んでいた結末だったが、ちょっとケーキ1ホールはマズかったかなとおなかをなでた。
 
リク「皆にとっとくべきだったかな」
 
 食べてしまった後で言っても遅い。
 彼はケーキの紙を片付けて眠りについた。
 
レク『………………』
フェイト『…………』
クレス『……一人で食べたよ、コイツ……』
 
 ルームメイトは知らない顔をして、眠ったふりをしていた。
 
 
 翌朝、彼らはやはり知らん顔をしていたが、当人がいなくなると額を寄せ合った。
 
レク「誕生日パーティーだ。誕生日パーティーをしよう」
フェイト「まったく、夜中にもそもそと気持ちの悪いヤツだな」
クレス「僕らに一欠けらもよこさなかったぞ、アイツ」
レク「誰を呼ぶ? どこでやる?」
フェイト「そりゃあ仲がいい連中だろ。例えば……レイオットとかクロエとか」
クレス「場所はウチの黒薔薇教室でいいんじゃないのー? 知らないけどさ
レク「そっちのクラスメイトも巻き込んでハデに行こうか」
 
 リクの知らない所でビックリドッキリ誕生日大作戦は発動した。
 
クロエ「飾り作りは女子に任せて! 男子寮でやってたらバレるでしょ?」
レイオット「わぁ、楽しみね!」
 
 二人、手を取り合ってキャッキャッと跳びはねる。
 
レク「買い物なんかは俺らが担当するよ」
フェイト「荷物係か。ま、男子はそんなモンだろうな」
クロエ「リクの驚く顔が目に浮かぶわ」
レイオット「プレゼントは何がいいかしら?」
 
 リクに伝わらないように、伝言ゲーム開始。
 女の子たちは彼のために紙の花と輪っかをつなげた飾りを作り、男子は垂れ幕作り。
 日曜になったら、早朝から出掛けてプレゼントやごちそうを買ってこなければ。
 全員で少しずつ出し合ったお金で、さぁ、何を買おう?
 
レク「教官にも参加してもらわなきゃだよね」
 
 レクは専攻違いでほとんど言葉を交わしたことのない氷鎖女の下を訪ねた。
 
氷鎖女「誕生日祝い?」
レク「ぜひ先生にも参加して欲しいんです」
氷鎖女「……………」
レク「お忙しいですか? 来週日曜日なんですけど」
氷鎖女「みなで騒いどき」
 
 考えてから、彼は事務的に言った。
 
レク「……ダメなんですか?」
氷鎖女「良い友人に囲まれておる。……それでよかろ」
レク「待って下さい。先生が来たら、リクはきっと喜びます」
氷鎖女「……ハァ」
レク「リクは前に先生に言われたこと、気にしてます。あれは、どういう意味なんですか?」
氷鎖女「アレ?」
レク「長くは付き合えないとか
氷鎖女「………………。どうもこうも……養成所を出たら、それきりでござろうが。まさか仲良く文通でもしようというのではなかろうし」
レク「リクは身寄りがないんです」
氷鎖女「知ってる」
レク「先生が頼りなんです」
氷鎖女「……頼らずともやってゆける。多くの良き仲間にも恵まれておるし、自身も才に容姿にまれておれば、行く先に恐ろしいものなどあるまいよ」
レク「それだけじゃないじゃないですか。人って。リクは貴方がいいんです」
氷鎖女「……違うなぁ、それは」
 首をかしげて肩をすぼめる。
レク「リクは……数日前、独りで夜中に自分の誕生祝いしてました。あんな悲しいパーティー、俺は嫌だ。皆に……笑っていて欲しいんです。リクを好きな連中が集まって、皆で彼が生まれて来たことを祝いたい。リクのことは3年付き合ってそんなに知っているわけじゃないけど、親とかいないのは知ってるし。月初めの郵便を受け取ったこともない。だから、きっと寂しいハズなんだ。でも、俺らがいるって少しでもわかってくれれば……支えになれれば……そう、思うんです。それで、好きな先生が来てくれたら、もっと彼は確信できると思うんです。大げさかもしれないけど
氷鎖女「お前様……」
レク「は、はい」
氷鎖女「……良い奴でござるな」
レク「え……い、いや、俺は……あの、っていうか……皆も、そう思ってます!」
氷鎖女「くすっ」
 
 袖を口元に当てて小さく笑った。
 笑わないことで評判のヒサメ先生が笑ったものだから、レクは驚いて目を丸くした。
 顔の半分が大きな額当てで隠れているために、表情が読み取れず、首をかしげる仕草がカラクリ人形のように見える。
 その先生が親しくないレクの前で笑ったので、どう反応していいのかわからなかった。

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