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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 31-14

クロエ「だから私にもニンポー、ニンポーッ!!」

 

 足を踏み鳴らしていると、また扉が回転してメイディアが滑り込んで来た。

 

リク「メイディ」

メイディア「お人形貸して。これからレイオットたちとお人形さんゴッコするの」

 

 勝手に並んでいる人形を何体か抱える。

 

氷鎖女「別に構わぬが、札のついているのには触るでない………………って、ここでするのかっ!?」

 

 「お邪魔します」とおずおず続いてレイオットとレクまで入ってきてしまう。

 

氷鎖女「ぅおいっ!?」 ガビンッ!?

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レイディ・メイディ 31-13

リク「笑ったよ、絶対」

氷鎖女「笑ってないと言ったら笑ってないっ」

 

 何が気恥ずかしいのか、頬に朱がさっと走った

 

リク「何もムキにならなくても……」

氷鎖女「うるさい」

 

 杖を取り上げ、先でリクの頭を軽くごつく。

 

リク「イタッ」

氷鎖女「ともかく、これで全員分ができたわ。次の時間にでも配布しよう」

 

 水晶を外して、リクに返す。

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レイディ・メイディ 31-12

 だが、決定的に違うのは体力は自分の体以外に入れ物はないが、魔力は自分以外の器に移しておけるという点である。

 魔法道具と呼ばれる物たちがそうだ。

 昔の偉大な魔法使いたちが、呪文や魔法陣を書き込み、魔法を振りかけ、半永久的に効果を持続させる宝を各地に残している。

 例えば、宝を盗みにきた不逞の輩を退治するゴーレムなどもその一種。

他にも魔法を跳ね返す楯、魔法の力を込めた武器、呪いのかかったアクセサリー……

 それらは魔法を唱えた主がこの世から消滅してもなおこの世に残って次の持ち主を待ち受ける。

 特別に魔法を施したものでなくとも、魔術師が長く愛用していた杖などはその後も重宝される。持ち主の魔力が染み付いているからだ。

 同じように氷鎖女は教え子たちの魔力を他に移し保存させようと考えた。

 移し先というのがあの水晶だ。

 魔力を高める授業として他のクラスでは、実際に魔法を使わせて念じる訓練を積む。

 それは視覚的に学徒たちが効果を体験できるし、やる気も起こる。実践練習も兼ねているのだから一石二鳥で良い訓練法だ。

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レイディ・メイディ 31-11

 現在は養成所でおとなしく生徒達のオモチャになっているけれど、本当のところ、人殺しで盗っ人で軽薄だ。

 他者の命に重みを感じられず、奪うことにためらいがない。

試験中に捕虜を殺そうとして、クロエに半ば絶望的なで見つめられてしまうような人間なのだ。

 他人様から慕われるような人間では決してない。

 だから戸惑う。

変に懐いてくるリクやクロエに。

 自分は慕われるような人間ではないのに…………

 けれど氷鎖女とてリクの気持ちはわからなくはなかった

 自分だって同郷の匂いを感じれば懐かしくて寄っていきたくなる。

好きで故郷を離れたわけではなかったから尚更。

チェスではない将棋だって、今目の前に相手がいてくれて嬉しいのだから。

 そういう心理もあって、リクが自分に父の影を重ねたいのなら、しばらくはそのまま放っておいてもいと思っていた。

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レイディ・メイディ 31-10

 案外と素直に氷鎖女もうなづいた。

 初めからそう言えばいいものを。

 けれど、リクにとってはこれも大事なコミニュケーションの一つなのである。

ただ単に楽しんでいるだけとも言うが、…………そう、楽しいのだ。

こうしてじゃれあうのも。

 それから、彼は将棋も好きだ。

かつて父が幼いリクに教えてくれた、奥の深いこのゲーム。

 その将棋をしながら、この先生の話を聞くのが好きだった。

 あの玩具箱のようなカラクリ部屋も。

 

リク「ヒサメハンター☆クロエは去った!」

氷鎖女「手前もだ」

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レイディ・メイディ 31-9

 美形台無しのこの行為も、1年も経つと妙に見慣れるもので、廊下を行く学徒たちは、「またチビ子先生泣かしてるよ」で済ませてしまう。

 むしろ毎日繰り広げられるこの光景を楽しんでいる連中も多かったりして。

 チビ子先生が逃げ切れるのか、はたまたリクの地獄の円舞殺法の前にひれ伏すのか。

 はたまた第三の勢力、

 

クロエ「ああーっ!?」

 

 妄想族・クロエが油揚げを掻っ攫うのか。

 後から走ってきたクロエが叫ぶ。

 

クロエ「今よ、ムササビのジュツで鳥になって逃げるのよっ!!」

氷鎖女「できるかーっ!!?」

 

 しかもムササビのジュツというなら、鳥にはならんだろうよ。

 周囲で見物している連中の共通感想である。

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レイディ・メイディ 31-8

氷鎖女「女子の形をしたモノは一応、守らないといけないわよ…………ね」

クレス「そ…………そうよ…………ね?」

   『エエッ!? 何ぃ!? 何なのッ!??』

 

 隣の席のメイディアが不思議そうにクレスに目を向ける。

 

メイディア「何事ですか?」

クレス「知るもんか。頭でもぶつけたんじゃないの?」

メイディア「脳に虫でも湧いたのね。可哀想に」

 小ばかにして鼻を鳴らす。

 

 

 授業が終了し、リクの奇っ怪な必殺技・円の動きとやらに捕まらないよう、逃げるようにして(実際に逃げるつもりで)教室を出た氷鎖女は思わず足を止めた。

 向かう先にダンラックが居たからだ。

 またしつこく声をかけられるのではないかと身構えたが、顔の隠れた、ナツメではない氷鎖女に相手は気づいていない。

すれ違いざま会釈をするが、何事もなく横を過ぎた。

 

氷鎖女『ふぅ……』

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