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レイディ・メイディ 第31話
2008.04.13 |Category …レイメイ 31・32話
第31話:試験終了、そして。
場面変わって、医務室。
氷鎖女「ふーう。ひどい目にあった。全くリクの奴が一番心臓に悪い。あげくの果てには豆大福扱いとは。おのれー……」
ナツメでなくてもよくなった氷鎖女が地を出して、椅子にどっかと腰を下ろした。
ミハイル「奇遇だな。こっちもだ。……そして足を開いて座るな」
そういうミハイルも目の下にものすごいクマ。
疲労感たっぷりだ。
▽つづきはこちら
ミハイル「だいたいっ! ここは医務室なんだぞっ!? 犬畜生……いや、猫畜生が踏み入れていい場所じゃないのがわかんないのか、あのガキャ」
足元に猫。
ダイヤモンド・チェリー「にゃーん♪」
ミハイル「ギャアアアッ!?」
机の上に飛び乗って、書類や薬品が床に落ちる。
氷鎖女「おっと。割れる」
床に接触する前に、薬品の瓶を素早くキャッチ。
足元に猫がすりよった。
氷鎖女「おお、猫殿。貴公の話題が出おったぞ。お主、相当可愛がられておるな」
抱き上げてなでる。
ミハイル「近づけるなっ!!」
氷鎖女「……んなこと言ったって……机の上に逃げても無意味であろうが。相手は猫殿でござるぞ?
……えい」
ワザと腕を伸ばして近寄せる。
ミハイル「寄るな触るなくっつくなっ!!!」
チェリー「にゃーん」
氷鎖女「にゃーん」
鳴き声をまねる。
ミハイル「うわああっ!?」
……猫嫌いのミハイル。
実はこの試験の出発直前、たった今、「あのガキャ」と称されたクレス=ローレンシアにくれぐれもと頼まれていたのであった。
他に頼る者のいない彼には個人的な師であるミハイルしか思いつかなかったのだろう。
しかしそれにしたって大の猫恐怖症の彼に頼むのは酷な話である。
1年経って子猫だったチェリーは立派な成猫になり、好き勝手に敷地内を歩き回っているので、医務室にずっといるワケでもないのだが、賢いことにここにくれば餌をもらえることを知っている。
試験を見越したクレスがしばらく前から、医務室の外扉の前で餌をやるようにしていたのだ。
こうしてクセをつけておけば、時間になってミハイルがエサを置いておけばいいという寸法だ。
チェリーはエサをくれるミハイルを味方と認識し、医務室にも我が物顔で入ってくるようになる。
こうして彼の恐怖体験が数日に及んで展開されたという。
ミハイル「これじゃ人食いライオンの檻に一緒に暮らせと言われているようなもんだ」
氷鎖女「んな大袈裟な」
あきれて肩をすくめる。
ミハイル「いいから連れて行け!!」 足でシッシ!
氷鎖女「抱いているから平気でござるよ。それより“王子”」
ミハイル「は? 王子?」
氷鎖女「ごーるでんは1位になれなかったからして、花嫁を横取りして罪人になるのは免れたようでござるよ」
ミハイル「そ、そうか」
机の上で壁に背をつけたままチェリーを警戒している。
氷鎖女「ものごっつぅ、ボンショリしておったが」
ミハイル「そ、そうか」
氷鎖女「…………………………」
じぃ……。卓上のミハイルを見上げる。
ヒトサマの顔をまともに見られない氷鎖女だから、見ているのはミハイル……の胴体部だが。
ミハイル「……なんだよ?」
氷鎖女「実はちょっともったいないとか?」
年は近いし、と付け加える。
ミハイル「バカ言え」
氷鎖女「やっぱりそうか……うーん、残念だったな、ごぉるでん」