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レイディ・メイディ 31-3
2008.04.14 |Category …レイメイ 31・32話
ミハイル『う。猫が……』
養成所の医務室に猫なんてふざけた存在は非常~にマズイ。
それも視察目的で滞在しているお偉いさんの治療をするのに動物がいたのでは、どうなっているんだこの医務室は!ということになってしまう。
ダンラック「今、ニャンちゃんを持ってましたね?」
ミハイル・氷鎖女『ギク』
ダンラック「こっちにきなさい。私はニャンちゃんが大ちゅきなんですよぉ~。フォーフォーフォー」
全身の脂肪を揺らして笑い、ぽっちゃりした短い手で招いた。
▽つづきはこちら
氷鎖女「あ、はぁ……」
『……ニ……』
口元がひくりと動く。
氷鎖女・ミハイル『ニャンちゃんッ!? 大ちゅきーッ!!?』
二人、ダブル・ガッビーン!?
気が遠のく。
ダンラック「ん~、ニャンちゃん可愛いでしゅね~♪」
ダイヤモンド・チェリーをなでるふりをして、“ナツメ”の胸を触った。
氷鎖女「?」
ダンラック「おや? なんか感触が……変です…………ね??」
……それはそうだ。
ただの詰め物なのだから。
氷鎖女「えと……? 感触?」
男の氷鎖女が詰め物の上から胸をつつかれたところで騒ぐこともない。
が、横で見ていたミハイルはそうはいかなかった。
髪の毛が逆立つほどびっくり仰天。
何故なら彼はまだ氷鎖女を勘違いしたまんまだったからだ。
ミハイル「氷鎖女、お前はもう帰れ」
貴族のお偉いさんがどんなだか、嫌というほど見てきているミハイルが急にせかした。
氷鎖女「? や、言われんでも帰るが……」
ダンラック「いいのですよ~、ここにいても」
ミハイル「いえ。ここは遊び場ではありませんので、猫を連れて戻らせないと……」
ミハイルの言葉を聴いていない、ダンラック「いやぁ、それにしても……」
氷鎖女「………………………………」
頭のてっぺんから爪先まで粘着質な視線をからませてくる男に、さすがの氷鎖女も気が付いてぞっとした。
氷鎖女『キモ……』
ダンラック「なかなかどうして。不思議な魅力のある娘さんですねぇ」
金色の瞳をのぞき込まれて氷鎖女は反射的に顔をそらした。
氷鎖女「でっ……ではこれにて」
廊下に逃れようとドアの方に踏み出すがダンラックが立ち上がってその巨体で行く手を塞いだ。
氷鎖女「……通してもらえませぬか」
少しむっとしたように言う。
氷鎖女『邪魔、肉、邪魔』
ミハイル「そ、そうだ、氷鎖女、あのー……あれ、頼んでいたアレ、ちょっと急ぎだから取りに行ってくれ」
氷鎖女「…………アレ?」
振り返って、ぎこちなく首をかしげる。
ミハイル「アレだよ、アレ」
『合わせろ、鈍い奴だな!』
氷鎖女「……………?」
ミハイル『不思議そうにこっち見んなーッ!! 察しの悪い奴だな!!』 額に青筋。
せっかくミハイルが気を利かせてウソの用事を頼んでくれているのに、アイコンタクトの苦手な氷鎖女はありもしない用事の内容を思い出そうと必死になっていた。
ミハイルが「とにかく行け」と声に出さず口を動かす。
その動きを読んでようやく意味を悟ったのか、氷鎖女は前に向き直った。
氷鎖女「拙者、アレがアレでその……急いでおりますに」
ダンラック「それでは私も一緒にアレしましょうかね」
氷鎖女「エッ? いや、アレってアレでござるぞ、その……アレ……」
ミハイル『あちゃー……』
なんて要領の悪い! 額に手を当てて顔をしかめた。