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レイディ・メイディ 31-2
2008.04.13 |Category …レイメイ 31・32話
ミハイル「いいからっ! 猫を連れてってくれるために来たんだろっ! 早く引き取ってくれ」
氷鎖女「いやいや。猫殿はクレスが連れてくでござるよ。拙者、ごぉるでんの結果報告に来たまで。拙者が約束取り付けて本当に1番だったら洒落にならなかったが、とりあえず首の皮一枚つながったと思うて。ではこれにて」
抱いていたチェリーを床に降ろそうとする。
ミハイル「待て! 帰るならそこの外扉を開けてそいつも外へ出してくれ」
医務室に入れるつもりなど毛頭なかったのだが、どうしてもエサをやるためには扉を開かなくてはならず、開けてしまうとチェリーはしたり顔で侵入してきてしまう。
毎日格闘しながら最終的には追い出しているものの、翌日にはまた同じ構図だ。
▽つづきはこちら
氷鎖女「しかし猫殿を外に出すとクレスが見つけるのがまた困難になろう。ここにおった方が早く……」
ミハイル「俺はいいのか、俺はっ!? 出す気がないなら、クレスがくるまで抱えててくれっ」
氷鎖女「えー? 拙者、もう着替えたいから帰るでござるよー」
まだナツメの姿のままだ。
ミハイル「いーだろ別にっ! どうせすぐなんだからっ! とにかくその猫、放すな!!」
押し問答をしているとノックもなしにいきなりドアが開いた。
てっきりクレスが猫を迎えに来たんだと思ったミハイルは、遅いぞと怒鳴ると、現れたのは思いがけない大物で、驚きに目を白黒させてしまう。
ダンラック「あーいたたたた。指にトゲが刺さってしまいましたよ。ここの養成所の建物環境は劣悪ですねぇ。特に手摺りが良くない」
入室してきたのは、珍しく共を連れていないダンラック公爵だった。
腰を下ろすと木製の椅子が壊れそうなくらいにきしんだ。
氷鎖女「……? 何でござるかこの丸いのは? ……力士?」
試験の途中から視察という形で滞在しているダンラックの存在を知らなかった氷鎖女はミハイルに説明を求めた。
ミハイル「丸いの言うな。ダンラック=フォン=ワイズマン公を知らないのか、お前は」
氷鎖女にだけ届く程度に声を抑える。
氷鎖女「! だんらっくほんわいずまんこう?」
少し考えて、氷鎖女「ああっ」
ミハイル「そうだ」
うなづく。
氷鎖女「……知らぬ」
お約束の反応にミハイルがコケそうになる。
ミハイル「だぁほ! 公爵だ公爵! 国のお偉いさんだよ、トップクラスのっ」
氷鎖女「……面目ござらん……拙者、そういった興味のないものに疎くて……」
頭をかく。
氷鎖女「しかしそんなお偉さんだったとは、拙者、ビックリしてみたりするでござる」
ミハイル「そんなんじゃ王宮で通用しないぞ」
氷鎖女「……いや、王宮に出入りしないから別に……」
二人がヒソヒソやっている間にダンラックはナツメ姿のまま医務室に真っすぐ向かった氷鎖女をジロジロと眺め回していた。
ミハイル「いかがされましたか?」
机から降りて、氷鎖女の足をワザと踏む。
氷鎖女「おげっ!? 何を……」
ミハイル「猫連れてけ、猫」
ひじでつつく。
氷鎖女「ああ」
了解して、外付け扉から出て行こうとする。
猫を抱いて逃がさないようにしておけば、クレスが医務室に来たときに外から渡してやればいい。
ダンラック「あー、待ちなさい、そこの」
氷鎖女「!」
猫を見咎められたか? 呼び止められて身を固くする。