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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 26-8

 直接交渉に望む気満々のメイディア。

教官専用宿舎だというのにあちこちの部屋をノックして回り、ナーダを探し始める。

 とうとうたどり着いた女子寮内でナーダに挑戦状を叩きつけた。

 

メイディア「ダーリンを賭けて勝負ですわっ!」

ナーダ「……持っていっていいわよ」

メイディア「それでは意味がございませんの。ダーリンの心が貴女の方を向いたままになってしまいますもの」

ナーダ「……たぶん……向いてないから、最初から……」

   『思い込みの激しい子ね』 全身で脱力。

メイディア「ワタクシは貴女に勝って愛を手に入れてみせます」

 

 あさっての方向を指さしてポージング。

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レイディ・メイディ 26-7

 仕方ないとあきらめたのか、氷鎖女は大きく息を吸い込んでメイディアの方を向いた。

 

氷鎖女「これ、ごーるでん」

メイディア「ゴールデンって呼ばないでって言ってるでしょう! わからないブラックウンコですわねっ!」

 

 人形から手を放してキッと振り返る。

 

ヴァルト『……ゴールデン?』

氷鎖女「わかったわかった、ごーるでん。ヴァルト殿から事情は聞いた。あきらめれ。ヴァルト殿はうーと……ええと……そうだな、どうしよう」

ヴァルト「ビシッと」

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レイディ・メイディ 26-6

 ようやく気を取り直した、メイディア「ミジン子のカラクリ部屋ですわ。ヴァルト教官、どうしてミジン子のところにおいでになるの!?」

 

 話が違うとくってかかる。

 

ヴァルト「いや……第三者を挟もうかと思ってな……」

氷鎖女「御用か?」

 

 隙間からそっと蝋燭の明かりと声が漏れる。

 

ヴァルト「………用だ」

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レイディ・メイディ 26-5

メイディア「そんな、困りますわ。ワタクシ、今、すぐにでも婚約しなければならないんですの。考えていないのなら、今から今すぐ結婚を考えて下さい」

ヴァルト「……だから……すまないが、俺はまだ身を固める気はないんだ。……な?」

 

 自分を慕ってくる女学徒の頭に手を乗せる。

 

メイディア「ナゼ、ナゼですの!?」

ヴァルト「いや、ナゼって……」

    『……まいったな』

    「いいか、メイディア。俺は32だ。お前は?」

メイディア「今年16になります」

ヴァルト「……倍だ」

メイディア「まぁ、たった16しか違いませんわね! ようございました」

ヴァルト『う~ん、やっぱりそうきたか』

 

 ここまでしてくる女の子は大抵、年の差でたじろいだりはしない。

年の差くらいで動揺するようなら、始めから先生を好きになったりはしないだろうが。

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レイディ・メイディ 26-4

ナーダ「いやね、この子が……」

メイディア「ダーリン、お会いしたかったですわ!」

 

 ぱっと明るい表情になって太い腕に取り付く。

 

ヴァルト「……ダー……? なんだって?」

 

 身に覚えのない呼び名?で呼ばれ、困惑するヴァルト。

 

ナーダ「知らなかったわ。シャトー令嬢と貴方がそんな関係だったなんて」

ヴァルト「オイオイ、二人で俺をどうしようっていうんだ」

 

 笑っているナーダがけしかけたと思い、本気にはしていない。

 当然の反応だ。

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レイディ・メイディ 26-3

 クロエとリクが何か白熱してしゃべっている。

 内容はうかがい知ることはできないが、クロエが眉をひそめたりしているところを見るともしかしたら、メイディアの横暴についてかもしれなかった。

 

クロエ「ウソ、ニンジャってアメーバの一種だったの!?」

リク「そうだとも! 細胞分裂で増える分身の術を操るんだから。そんなことも知らなかっただなんて、クロエもまだまだだね。フフフ」

クロエ「む……むぅ~。ニンジャ知識で私が遅れをとるなんて……!」

 

 ……かもしれないだけで、実際には二人が大好きなナゾの生物・氷鎖女先生についての論議であったが。

 

アン「あ、シラーだ」

ジェーン「あの子も溶け込むわよねぇ」

 

 臆した様子もなく、「ちょっといい?」などと言ってあの集団に紛れ込んでいる。

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レイディ・メイディ 26-2

レイオット「……うーん……ダメとは言わないけど……」

メイディア「そうと決まったら、急がなくては」

 

 言葉どおり、手早く食事を済ませると彼女は嵐のごとく去って行った。

 

リク「彼女、元気だよねぇ。ダメージなしってカンジ。あれじゃ仕掛けたコたちが拍子抜けだね。まぁ、逆にホッとしているかもしれないけど」

 

 空いた席にやってきたのはリク。

 今の言葉に身を固くする少女たちが背中合わせの席に陣取っていた。

 

女学徒たち「リク君、知ってんじゃない?」

     「そんなことないよ、だってあのときは下にいたんだよ?」

     「あの、ほら、アイツが告げ口したんじゃないの?」

 

 顔を突き合わせて目配せをする。

 視線の先にはレクがいた。

 現場に居合わせた二人のうち、冴えない方だ。

 

女学徒たち「嫌なヤツー」

    「メイディに気があるんだよ。だってよく一緒にいるの見るもん。学科違うのに」

    「ね、後にしよ。リッ君とレイ様に聞こえる」

 

 ……それで彼女たちは静かになった。

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