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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 22-2

レク「油断も隙もないんだからっ!! まったく……んあ!?」

 

 ……もういない。

 

レク「も~っ!! イタズラ・メイディめっ!!! 今度という今度は許さないからなーっ!!」

 

 拳を振り回して走りだすレク。

 普段から温厚な彼を怒らせるのは、養成所広しといえど、メイディア=エマリィ=シャトー以外におるまい。……たぶん。

 退屈になるとメイディアは氷鎖女にイタズラを仕掛けるのが常だったが、大抵はかわされてしまう。

 気分を害した彼女の次の標的になるのが、ひっかかりやすいレクなのだった。

 今回などは単に見かけたというだけで、背中にカエルをinさせられてしまった。

 これでは怒らない方がどうかしている。

 氷鎖女に対してはギャフンと言わせたいだけのメイディアだが、レクに対しては恐ろしいことに好意の現れなのだ。

……本当に恐ろしいことに……


▽つづきはこちら

 やられる方には迷惑千万であったが、仕掛ける本人としたら構って欲しいだけだったりする。

 例え背中にカエルや外で捕ってきたザリガニを入れてきても、空を飛べと教室の窓から突き落とそうとしても、後ろから走ってきて無意味に飛び蹴りくれようと、メイディアは優しいレクが大好きなのである。

 ……傍から見ているととてもそうは思えないが。

 怒って走ってくると、追いかけっこの相手をしてくれていると勘違いして大喜びだ。

 レクが怒ってもちっと怖くない。性格上、本気で相手を叱咤できないのが悔やまれるところ。

 かといってメイディアに媚びることはない。

 とりあえず、「コラーッ!!」……なのである。

 表裏の使い分けもできず、計算高くもなれないレクはかっこうの遊び相手。

 それから……

 

メイディア「レイオット見っけ☆」

 

 敷地内の一角に薔薇園があり、入り口は薔薇で作られたアーチになっている。

 ちょっぴりロマンチックなそこは代々、候補生たちの告白の場として親しまれてきた。

 現在も顔を赤らめてうつむいている可憐な少女とスラリと細身長身の美男子が花に囲まれて甘い雰囲気をかもしだしている。

 

少女「あの……ずっと前から……一年前、貴方を見た時から私……」

 

 ……が、ソレを台なしにする存在が一人。

 薔薇に囲まれた美しいシチュエーションをぶち壊す彼女の名はメイディア=エマリィ=シャトー!!

 

メイディア「レイオット、薔薇騎士レンジャーゴッコしましょ♪ ホラ、ドラゴンも捕まえましたのよ」

 

 両手にトカゲと蛇。

 ドラゴンはもちろんトカゲを見立てたつもりだ。

 

少女・少年「…………………」 固まる。

 

 予想と違う反応に、しばらく真ん丸の目をパチクリさせていたメイディアだったが、やがて愛の告白タイムだったのだと気づくと彼女なりに気まずくなったらしい。

 

メイディア「まぁ!! お話の最中でしたのね? これは失礼致しました」

 

 スカートの裾をチョイと持ち上げ、足をクロスさせて優雅に頭を下げる。

 これだけ見ていれば立派な令嬢だが、手にあるモノがいけない。

 だまされてはいけないのだ、彼女の立ち振る舞いに。

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