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レイディ・メイディ 第22話
2008.02.06 |Category …レイメイ 21-23話
第22話:メイディたまの優雅な一日
2週間が経った。
足の痛みが取れたメイディアは、ありあまる元気でいっぱいだった。
クロエもすでに普段の生活に戻っている。
メイディアがシャトー家の正式なメンバーでないという噂は広まる一方だったが、噂はあくまで噂でどこが発信源だかわからない。
取り巻きはつかず離れずの距離を保っている。
噂がまるっきりのデマだと困るからだ。
一方で、新しくシラーの周囲に人が集まりだしていた。
噂の真相を聞かれても、シラーははぐらかして答えない。
それでいて否定はせずにあいまいに笑うのだった。
その彼女は今、図書室の机で“母”への手紙を綴っているところだ。
毎月、まめまめしくシャトー夫人にメイディアの動向について書き記したものを送っている。
本来の役目はメイディアを連れて帰ることなのだ。
だが、もちろんそんなつもりは毛頭ない彼女であったから、手紙の内容も嘘八百。
前に送った手紙は夫人に届いている頃だろう。
窓の下を眺めると自分の腹違いの妹の姿が見えた。
たった数日違いの妹の姿が。
▽つづきはこちら
日曜日の昼下がり、上々のお天気に気を良くしたメイディアは一人で何やら走り回っている。
メイディア「カナチョロ見っけ☆ カナチョロ、待ちなさい!! 待て待て待てっ♪ あははっ。これは命令よっ。神妙になさい」
そんなことを言ってトカゲを両手で捕まえる。
メイディア「召し捕ったりィ☆」
「……ん?」
今度は草むらに蛇を見つけたようだ。
メイディア「フフフ」
らんらんと眼を輝かせる。
格闘の末、蛇も捕らえたお嬢様は爬虫類を手にレイオットを探して駆け出した。
メイディア「レイオット、レイオット♪ レイオット知らない?」
走り回っているうちに見つけたクレスに声をかける。
クレス「しっ、知らないよ。てか何だよ、その手にあるのはっ」
例によってダイヤモンドチェリーに餌をやっている最中だったので、ギクリとして振り返った。
メイディア「悪の邪悪帝王の手下」
クレス「ウソこけ!! トカゲとヘビだろが!! チェリーに近づけるなよ」
メイディア「ねぇ、貴方でもいいわ。薔薇騎士レンジャーゴッコしましょ」
クレス「するかっ!!」
メイディア「……つまんない方っ」
ふくれてまた走りだす。
「……………………トカゲ……?」
「蛇……?」
途中、見知らぬ学徒とすれ違い、角で当たりそうになってよろけつつ、すれ違う全ての人間を振り返らせる奇行。
それをナチュラルに受け止めてくれるのは、田舎の牧場娘・ナンチャッテ正義のヒーロー・レイオットだけなのだ。
メイディア「あら? 噴水の近くに……」
カエルが居た。
もうそんな季節なのか。
メイディアはその両生類をつかむとなんと、ポケットに無造作につっこんでしまう。
それで次に会ったレクが手にしたものを見て驚くものだから楽しくなって追いかける。
背中の服を引っ張ってポケットのモノを放り込んだ。
レク「ギャアアッ!? メッ、メイディ!? 今っ!? 今、何を入れたっ!? うっわっ!?」
メイディア「キャハハッ♪ 大袈裟ね!! ただの蛙ですわ」
レク「カエルゥ~ッ!? そんなモン、入れんなーっ!!!」
あわててベルトを外して服を捲り上げる。
落ちたカエルは、一目散に跳ねて逃げていった。
ひどい目にあったものだと鳴きながら。