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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 19-8

テオドール「よし、やるか!!?」

 

 剣に手をかける。

 

シラー「待って。それは最終手段。皆はちょっと先に進んでて」

ヴィクトル「一体どうしようってんだ」

シラー「争わずに札を手に入れるのよ。もし私が失敗したら、魔法を撃って合図するから、彼らから強奪するのよ。貴方たちならできるわ。私も背後に控えているから挟み撃ちということになるしね」

 

 瞳に光が走る。

 

ステラ「……いいの? 気が進まないなぁ」

シラー「これは戦いよ。本気で騎士を目指そうというのなら、綺麗事は捨てるのね」

ステラ「綺麗ゴトなくて騎士でいいの?」

シラー「不測の事態にあって指をくわえているだけじゃどうにもならないってコト、よく覚えておくのね。綺麗ごと言っていられるのは、勝っている内だけよ。さ、行って」

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レイディ・メイディ 19-7

ロドル「…………」

 

 感謝するとまで言われたら黙るしかない。

 皆が失態したリクの味方についたような気がして、余計に不満を募らせていたロドルだったが少しは気持ちが収まったらしい。

 これ以後はあまり文句を並べなくなった。

 

レク「すごいじゃないか、ヒルコ」

 

 隣を並んで歩くレクが小声で囁く。

 

ヒルコ「ん? 別に何もスゴクはないけど……」

レク「ロドルがおとなしくなったからさ」

ヒルコ「そ?」

レク「そう」

ヒルコ「レクはロドルと反り合わない?」

レク「そんなことないよ。いい奴だよ」

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レイディ・メイディ 19-6

 ヒトゴトのようにヘラヘラしている天才クンに並の反応を示すロドル。

 

アン「リ……リク君を責めるのはやめて……」

 

 怖々ロドルに声をかけるが届いていないようだ。

 

ヒルコ「札を誰が持ってどこに入れたかちゃんと確認してなかった全員の責任だろ。いいじゃないか。また取ってくれば。……何のことはない」

 

 事もなげに言うとあくびして目をこすった。

 

リク「う~ん、そう言われると却って申し訳無い気がするのは不思議だなぁ」

アン「気にしないで、リク君」

リク「やぁ、ありがとうアン」

アン「そんな……えへっ」 照れて頭をかく。

 

 こんな経緯で、彼らは再び山の中へ。

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レイディ・メイディ 19-5

セルゲイ「やめるんだ、ダレス。彼女を責めたって仕方ないだろう。フェイトも言ってたじゃないか。クロエが困るだけだ」

ダレス「あ~、クソ、ムカツク」

メイディア「……わ……ワタクシ……水…………水汲んで来る!!」

セルゲイ「一人で行ったらダメだ。水もクレスたちが持って来てくれるからっ」

 

 制止も聞かず、メイディアは走りだした。

 

ダレス「放っておけよ。これで少しは目が覚めただろ」

セルゲイ「だって後で探しに行くの面倒じゃないか」

ダレス「バーカ。どうせ俺たちは失格だよ。すぐに救助隊が来て俺たちの試験はなかったことになるんだから」

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レイディ・メイディ 19-4

メイディア「ワタクシの……せい……」

ダレス「そうだよっ」

クロエ「待って……大丈夫。えっと……回復……毒消しの魔法……」

セルゲイ「無理だ、弱っているのに魔法なんか使ったら回復するどころか…… ああ~。マズイなぁ、早く来ないかな、助け……」

クレス「……………。待ってなんかいられない」

 

 すっくと立ち上がり、

 

クレス「薬草を探しに行こう」

フェイト「薬草、わかるのか?」

クレス「僕の知識をナメないでよね」

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レイディ・メイディ 19-3

 幸い、胸部や腹部などの急所ではなく、腕だったから良かったようなものの、矢には毒が仕込まれていた。

 明かに殺傷目的である。

 矢の先を確認してすぐに毒だと見極められる程、彼らの知識は発達しておらず、クロエの苦しみようから毒なのではないかと遅まきながら気が付いた。

 

フェイト「教官!! どこかで監視しているのだろう!? 試験は中止して下さい!! 救護班の手配をすぐに!! 教官っ!!」

 

 使い魔のカラスは当然この成り行きを見守っていたが、肝心の本日監視室につめている教官が居眠りをしてしまっていた。

二人はトイレに出てしまい、後の二人が「ちょっとお茶をもらってくる」と席を立ったばかりであった。

 交替制とはいえ、彼らは朝から晩まで気を張って多くの学徒たちの動向を細かくチェックしているので、時にはこんなこともある。

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レイディ・メイディ 19―2

フェイト「頼むからラストスパートくらい試験だけのことを考えてくれないか。俺は苦手なんだ、こういうの。俺が言い過ぎてクロエにとばっちりがいったというなら謝る。だけど、クロエに当たる君がどうかしているメイディア」

 

 再びゴタゴタが始まって、クレスだけが参加せずにイライラだけを募らせる。

 

クレス『いい加減にして欲しいのはこっちだよ。ゴールしたら教官たちに文句言ってやる。このメンバーに仕組んだのは絶対陰謀だねっ!!』

クロエ「もういいって。フェイトこそ話をややこしくしないで。今のは無神経だった私が悪かったんだから。ごめんね、メイディア」

メイディア「別に謝罪を要求してるのではないの。だいたい、わかってないのにとりあえず謝っとこうっていうのがそもそも気に食わないわ」

ダレス「おい、姫さん。アンタ、マジで捨ててくぞ!!?」

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