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レイディ・メイディ 19-9
2008.01.16 |Category …レイメイ 19、20話
リクにつかまって顔を赤らめる。
シラー『何、この人……』
キレイだと思った。
男の人相手にキレイというのも何だと思ったが、間近で見ると周囲の娘たちがはしゃぐのも分かる気がした。
その様子を穏やかに見ていられないアンが咳払い。
しかしシラーブーケが気に止めるはずもなく。
シラー「ごめんなさい。こんな調子で……落ち合うにも進めなくなってしまって……」
『ダメダメ。今は札を奪うことだけ考えるのよ。誰が持っているのかしらそれとなく聞き出して………………ん? アレ? ……ちょっと……なんて不用心なの!!? あるよ、コレ……そうよね??』
リクにしがみついたシラーブーケが手を動かした拍子にリクのポケットに触れてしまった。
固い木の感触。
これはまさしく……
▽つづきはこちら
足をわざと滑らせて、リクを押し倒す形で地面に転がった。
その際、衝撃にまぎれて札を抜き取り、自分の袖に隠す。
シラー「キャアッ!!?」
リク「あたっ!!」
レイオット「シラー、リクッ!!?」
レク「大丈夫か!!? ……って、大丈夫じゃないよね」
アン『何よ、このコーっ!! ……って、ううん、ううんっ。ワザとじゃないもん、仕方ないよね。……ワザとじゃないかな、ホントに……』
ロドル「あーあー、泥だらけになっちまって」
レイオット「ヒルコ、回復魔法かけてあげて」
ヒルコ「……ああ」
レク「そだね。そしたら歩けるし……俺たちと一緒に行こう」
シラー「ごめんなさいね、迷惑かけちゃって」
レイオット「迷惑だなんて……ねぇ?」
ロドル「そうそう。困ったときはお互い様ってな」
レク「いいこと言う♪」
ロドル「まーな♪ ナハハハハ」
ここではまだ仲の良いロドル。元々は別に良い奴でもないが悪い奴でもない、ごく普通の少年だ。
ヒルコ「じゃあひねった方の足、見せて?」
自分の荷物を下ろし、その上にシラーブーケを座らせる。
シラー「あ、上から魔法かけてくれればそれでいいから」
ヒルコ「そうはいかない。どのくらい魔法かければいいかわからないし、魔法も万能じゃない。湿布もしておいたほうが無難だろ」
靴をぬがして、その足を自分の手に置き、左右前後に曲げてくじいた箇所を確かめる。
ヒルコ「コレは? 痛む?」
シラー「え、ええ……あっ、イタタ」
レイオット「シラー……」
周囲が心配そうに見守る中、ヒルコだけが表情を崩さない。
シラー『コイツ……』
ヒルコ「おかしいな、どこも……」
シラー「まだ腫れてない? じゃあ大したことがないんだわ。大騒ぎしちゃってごめんなさいね」
言われる前にまくしたてて相手を黙らせる。
レイオット「でもこれから腫れてくるのかも。念のためにやっぱり……」
ヒルコ「そうだな。一応、手当はしておこう」
足に濡れた布を巻き付けて、上から回復の魔法をかける。
しばらく一緒に歩いたシラーブーケは、先行く仲間を見つけたフリで難無くチームに戻り、彼らにお礼を告げて別れた。
まんまと呑気なリクから木製札を奪って。