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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 19-9

 リクにつかまって顔を赤らめる。

 

シラー『何、この人……』

 

 キレイだと思った。

 男の人相手にキレイというのも何だと思ったが、間近で見ると周囲の娘たちがはしゃぐのも分かる気がした。

 その様子を穏やかに見ていられないアンが咳払い。

 しかしシラーブーケが気に止めるはずもなく。

 

シラー「ごめんなさい。こんな調子で……落ち合うにも進めなくなってしまって……」

   『ダメダメ。今は札を奪うことだけ考えるのよ。誰が持っているのかしらそれとなく聞き出して………………ん? アレ? ……ちょっと……なんて不用心なの!!? あるよ、コレ……そうよね??』

 

 リクにしがみついたシラーブーケが手を動かした拍子にリクのポケットに触れてしまった。

 固い木の感触。

これはまさしく……


▽つづきはこちら

 足をわざと滑らせて、リクを押し倒す形で地面に転がった。

 その際、衝撃にまぎれて札を抜き取り、自分の袖に隠す。

 

シラー「キャアッ!!?」

リク「あたっ!!」

レイオット「シラー、リクッ!!?」

レク「大丈夫か!!? ……って、大丈夫じゃないよね」

アン『何よ、このコーっ!! ……って、ううん、ううんっ。ワザとじゃないもん、仕方ないよね。……ワザとじゃないかな、ホントに……』

ロドル「あーあー、泥だらけになっちまって」

レイオット「ヒルコ、回復魔法かけてあげて」

ヒルコ「……ああ」

レク「そだね。そしたら歩けるし……俺たちと一緒に行こう」

シラー「ごめんなさいね、迷惑かけちゃって」

レイオット「迷惑だなんて……ねぇ?」

ロドル「そうそう。困ったときはお互い様ってな」

レク「いいこと言う♪」

ロドル「まーな♪ ナハハハハ」

 

 ここではまだ仲の良いロドル。元々は別に良い奴でもないが悪い奴でもない、ごく普通の少年だ。

 

ヒルコ「じゃあひねった方の足、見せて?」

 

 自分の荷物を下ろし、その上にシラーブーケを座らせる。

 

シラー「あ、上から魔法かけてくれればそれでいいから」

ヒルコ「そうはいかない。どのくらい魔法かければいいかわからないし、魔法も万能じゃない。湿布もしておいたほうが無難だろ」

 

 靴をぬがして、その足を自分の手に置き、左右前後に曲げてくじいた箇所を確かめる。

 

ヒルコ「コレは? 痛む?」

シラー「え、ええ……あっ、イタタ」

レイオット「シラー……」

 

 周囲が心配そうに見守る中、ヒルコだけが表情を崩さない。

 

シラー『コイツ……』

ヒルコ「おかしいな、どこも……」

シラー「まだ腫れてない? じゃあ大したことがないんだわ。大騒ぎしちゃってごめんなさいね」

 

 言われる前にまくしたてて相手を黙らせる。

 

レイオット「でもこれから腫れてくるのかも。念のためにやっぱり……」

ヒルコ「そうだな。一応、手当はしておこう」

 

 足に濡れた布を巻き付けて、上から回復の魔法をかける。

 しばらく一緒に歩いたシラーブーケは、先行く仲間を見つけたフリで難無くチームに戻り、彼らにお礼を告げて別れた。

 まんまと呑気なリクから木製札を奪って。

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