HOME ≫ Entry no.205 「レイディ・メイディ 19-11」 ≫ [210] [209] [208] [207] [206] [205] [204] [203] [202] [201] [200]
レイディ・メイディ 19-11
2008.01.17 |Category …レイメイ 19、20話
薬草を探してさまよう二人の耳に妙な歌声が流れて来た。
声「~ダッダダダ♪ ダッダダダ♪ アイツは誰だ、ステキな仮面。長いマントをはためかせ、赤い閃光、青い稲妻、黒い突風、白いきらめき、4人そろって鉄拳ジャスティスアタック~♪ その名は素敵、素敵戦隊☆ 素敵、素敵、素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャー♪」
クレス・フェイト「…………………………」
足を止めて惚けていると、続けて2番が始まってしまう。
声「正義のためーに戦うぞ、ステキなかめーん、その姿♪」
フェイト「あのーう……」
2番までフルコーラスされたくなかった二人はとりあえず声の方向を目指して草をかきわけた。
すると出現したのは、背中に大きなカゴを背負ったキノコ狩りの男。
歌いながら夢中でキノコを摘んでいる。
▽つづきはこちら
フェイト「…………クさんだ……」 ぼそ……
フェイトはその後ろ姿に見覚えがあった。
クレス「怪しい奴!!」
杖を構える。
ここは養成所管理下の山で一般の者は立ち入り禁止になっているハズなのだ。
フェイト「確かに怪しいが……」
『あの人は ……』
クレス「食らえっ!!」
フェイト「待てっ!!」
制止した時には遅かった。
すでに氷の刃がカゴ男の背後を襲い掛かって飛ぶ。
しかし男は素早くクレスの放った氷の魔法を横に跳んで避け、氷柱は地面に刺さって白いもやを撒き散らしていた。
クレス「避けるなっ。クソ、もう一度……」
背を向けたままで、男「待て、少年!!」
クレス「行けっ!!」
再び得意の魔法を解き放つ。
が、これも難無くかわされてしまう。
男「食らえとか言ってたら避けられるに決まっているだろう、君」
クレス「何を!!? エラソーに言ってるな、お前は誰だ!!!!」
フェイト「ウイングソード小隊長ですね!!?」
男「…………………………」
フェイト「ジャック…………ナントカ…………ウイングソード小隊長ですよね?」
クレス「小隊長? どっかの農家のおっさんじゃないの?」
男「……………………か」
フェイト「か?」
男「勘違いだ、君!!」
クレス「ホラ。やっぱりただの農家のおっちゃんだ」
男「それも勘違いだ。私はまだお兄さんであっておっちゃんではない。そして農家の方でもなく、立派な……」
フェイト「正騎士?」
男「……立派な……その……」
荷物を下ろして何かを取り出し、顔に当てて振り返る。
男「立派な素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャー・レッドだっ!!!」
バーンッ☆
親指を立ててウインク。
目の周囲を隠す赤いマスクをした状態で。
フェイト・クレス「………………………………」
ヒュウゥー……
冷たい風が吹き抜ける。
レッドと名乗る男「私はキノコ狩りをたしなみに来た通りすがりの素敵戦隊☆薔薇騎士レンジャー・レッドだ。君たちは薔薇の騎士団候補生の子たちだね!!? 私に気にせず試験を進めてくれたまえ。健闘を祈ーるッ!!」
フェイト「あの……どうしてここに……」
レッドと名乗る男「候補生時代にこの時期この山に、カスガキヅキダケが多いと知って、卒業してから毎年こっそりむしりに来ているだなんて、あの鬼のヴァルト中隊長にバレたらタダでは済まんっ!! ここは見なかったコトにして立ち去りなさい、学徒たちよ!!」
クレス「……やっぱり怪しい。始末しよう」
フェイト「…………………………」