HOME ≫ Entry no.190 「レイディ・メイディ 第19話」 ≫ [195] [194] [193] [192] [191] [190] [189] [188] [187] [186] [185]
レイディ・メイディ 第19話
2008.01.09 |Category …レイメイ 19、20話
第19話:刺客
男たちは山に潜んでチャンスをうかがっていた。
学徒たちの中にターゲットを探して。
上には監視する使い魔が飛んでいる。それに映らないように細心の注意を払わなければならない。
もし映ったとしても見逃してしまうように木々や土の色に紛れるような迷彩服を身にまとった彼らは距離を十分にとって双眼鏡で学徒の班のメンバーを一人一人確認してきた。
いくつかのチームがゴールしたが、その中にはおらず、確認できていなかった残りの2チームの内、G班の中にようやくターゲットとなる人物を発見。
男たち「いたいた」
「早いところやっちまえよ」
「わかってる、そう急くなよ。狙い定めてんだから」
ボゥガンの糸を巻く音。
▽つづきはこちら
クロエ「ねぇ、メイディア。メイディアは筆記試験得意だよねぇ。私、あっちの方が全然ダメで今度教えて欲しいんだけど……」
一生懸命に話しかけてくるクロエをずっと無視し続けてきたメイディアがつと足を止めた。
メイディア「いい加減にして下さらない!!? ワタクシ、貴女の引き立て役じゃないのですけど!!」
クロエ「……え……と……? 引き立て……?」
キョトンとして立ち止まる。
他のメンバーも何事かと振り返る。
メイディア「貴女はワタクシが可哀想だとお思いのようですけど、ワタクシ、ちっとも可哀想でなんかありませんのよ」
クロエ「可哀想だなんてそんなこと……」
メイディア「貴女は素晴らしいですわ。皆さんをよくおまとめになって、殿方のサポートをきちんとこなせて、ワタクシのようにでしゃばりでなく、気が利きますもの。でもね、ワタクシに対して同情的な言動は慎んでいただきたいの」
クロエ「……そんなつもりじゃ……」
メイディア「そうでしょう。貴女は自然にそうやって振る舞えるのだわ。でも見下されているワタクシは不愉快です。そんなに頼りないかしら? そんなに哀れかしら? ジャックとかいうおかしな人を扱うみたいに、ワタクシの短所ばかりの中に一生懸命、長所らしきモノを探ってヨイショして機嫌とろうとするのはよして。見え透いてて気持ちが悪いわ」
クロエ「………………気持ち……悪い…………」
まくしたてられた言葉のトゲに衝撃を受けて、心臓が脈打った。
胸の前で握った手のひらが自然と汗ばむ。
メイディア「貴女って前々から思っておりましたけど」
フェイト「……またか。おしゃべりは歩きながらにしてくれ」
構わず先に進むフェイトが振り返らずに口を挟んだ。
しかしそれを無視して、クロエに語りかけるメイディアは止まらない。
メイディア「……人がフラレたの覗き見してそれにわざわざ同情して下さったり、今回だってまるで自分のことが悪く言われたかのようにフェイトに言い返して下さったり、その後でワタクシに優しく接して下さったり……。貴女、何様? 土足で他人の領域に踏み込んで、勝手に同調したつもりにならないで!! ワタクシがいつ貴女に助けを求めたというの?」
クロエ「あ、あの……ご……ごめん……その……そういうつもりじゃなかったの…… ホントよ。ホントにゴメン 私、なんか……えと……鈍感で……メイディアの気持ち考えるより自分の感情……優先させちゃったんだよね…………きっと……」
うつむいてつま先を見つめる。
そうか。
メイディアがおとなしくしていたのは、役割を取り上げられたからで、腫れ物を触るように自分が同情したのもいけなかったのだ。
クロエはそう理解してうなだれた。
ダレス「ちょっと待ちなよ、姫さん。それはちょっとアレじゃねぇ? 逆ギレっつーか言い掛かり? 例えそうだったにしたって、クロエちゃんは純粋にアンタを心配してたんじゃねーか。それを何様っててーのはちょっとなぁ……」
セルゲイ「フェイト。フェイトも良くなかったよ。結局、君がキツイからクロエが間に入らざるを得なくてあの子、性格が真面目だからどうにか執り成そうとしてあんなんなってんだぞ。可哀想じゃないか」
フェイト「………………フー……」
心底疲れた表情を見せてようやく振り返った。