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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:43

 だが、結局、首はいつのまにか消えており、社は父の手の者が盗み出したのだろうと黙っていた。

 首が消えて都は案の定、取り乱しはしたが、日が経つにつれてだんだんと落ち着きを取り戻していった。

 落ち着きを取り戻したはいいが、あれほど従順にしていた父に噛み付き、首を奪ってずっとその首に執着していた彼女であったから、どこか釈然(しゃくぜん)としないところもある。

しかし、それでもおとなしくなってくれたのだからと周囲もほっと一段落。

 そこで館内には見目に美しい遊び男が一人招き入れられ、外からは父の信頼する家臣が出入りを許されることとなった。

 都が気に入った男をくれてやろうとの父の考えである。

 

社「全く、次から次と……父上はロクな思いつきをなさらないな」 ブツブツ…

 

 自室であぐらをかき、刀の手入れ。


▽つづきはこちら

社「全く、次から次と……父上はロクな思いつきをなさらないな」 ブツブツ…

 

 自室であぐらをかき、刀の手入れ。

 刀の輝きを目に映し、ふいに口元をほころばせる。

 

社「……まぁいいさ」

 

 刀を鞘にめる。

 都に近づく男は皆、死に逝け………

 

辻斬り

1,

 杯を交わし、都との会話に興じていた家臣は夜も更けてきたということで、帰りがけ。 人気のない道にまでやってくると、背後から低い声で呼び止められた。

 

家臣「何奴っ!?」

 

 刀に手をかけて振り向く。

 

家臣「……っ!?」

 

 振り向いた瞬間、家臣の首は宙に跳んでいた。

 遅れて体が崩れ落ちる。

 

 

 翌日、その死体はすぐに発見され、夜盗の仕業とされた。

 ……ただ……、金目の物はそのままであったが……

 

椿「皆、おいはぎだって言ってましたけど、お足(※おあし)とられてないんじゃあ、恨みの線が濃いいとあたしゃ思うんですけどねぇ」 (※お金のこと)

社「…………ああ」

 

 やはり刀の手入れをしている。

 

椿「怖いですねぇ、社様!!」

社「ああ」

 

 刀の刃を傾け、光に照らす。

 

椿「社様も気をつけて下さいねっ」

社「気をつける? ぷっ…………あはは」

 

 手を止めて笑い出す

 

椿「なーにがおかしーんですかぁっ!?」 むくれる。

社「ああ、ごめんよ椿。いや、たださ、この私に刀を向ける奴がおるのかと思うてな」

椿「わかりませんよぉ。そりゃあ、社様は戦でも手柄独り占めってカンジのすごいお人ですけど~、万が一ってこともありますし……」

社「わかった、わかった。気をつけるよ」

椿「ホントですかぁ? ホントにちゃんと気をつけて下さいよ?」

社「はいはい」

 

 

2,

 人斬りの事件は相次いだ。

 それも、父が都の相手にと選ぶ男衆ばかりが狙われていると。

 都に想いを寄せる者の仕業か、それとももののけに魅入られたか……再びあの噂が鎌首をもたげ、町中、その奇っ怪な噂話に花を咲かせている。

 そしてもう一つ。噂には新しい話が加わっていた。

 つまり…………“猛の呪い”である。

 首がなくなってから起き始めた事件だっただけに、人々の関心はそちらに向いていた。

 

社「もののけや呪いの仕業であるものかよ」

 

 押し花にしてとってあった黒百合を、挟んである書物を開いて眺める。

 

社「人が死ぬのは、人が手を下したからに過ぎん。カラクリは必ずあるものよ」

 

 くっく、と意地悪い笑いをこらえる。

 そこへ都が呼んでいると伝えるようにと外から伝言をもって万次丸がやってきた。

 

社「!! 姉上が?」

 

 書物を閉じると、いそいそと屋敷を出て行く。

 

 

 都の館。

 

社「姉上、社が参りました。お久しゅうございます」

都「ああ、社か。入りなさい」

社「失礼します」 障子を開く。

都「お前……。近頃、夜中に何をしておるのえ?」

社「!! いえ…………何も……」 目をそらす。

 「なぜです?」

都「夜に呼び付けたのに、いつもおらなんだ」

社「は……?」

 『夜に私を……?』

 

 人に気を使う性格である彼女が、夜中に私用で呼び出すなど今までなら考えられないこと。

首をひねる。

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