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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 6-2

 その頃。

学徒がいなくなった学び舎の建物の教官用会議室で、教官会議が開かれていた。

 それぞれの報告書を読み上げて提出。

 

「この報告書だとまだたったの2つしか呪文を教えていないようだけど、……どうすんの?」

 

 どう見ても12~3才の少年にしか見えないが、実は150年も生きている白薔薇教官・ニケ=アルカイックが言った。

 それに対し、氷鎖女は「何、大丈夫でござる」と額あてを触りながら答える。

 

「ずいぶんな自信ね?」

 

 そう茶化すように口を挟んだのは赤薔薇教官のナーダ=エリキシア。

燃えるような赤い髪が印象のこの女性は赤薔薇騎士団の小隊長をも努める現役の赤薔薇正騎士だ。

 同じく現役・青薔薇騎士で教官のヴァルト=グラファイト=イェーリングもそんなに甘くはないぞと付け加える。

 ぐるりと見渡してみれば、他の教官たちも同意見だというのが表情からうかがえる。

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レイディ・メイディ 第6話

第6話:初めての試験

 ヒサメ先生の授業は退屈である。

これが学徒たちの間の共通認識。

 抑揚と表情のない声が淡々と数字や理論を語ってゆく。

 声からは感情さえ読み取れず、顔はいつもの額あてで隠れており、口だけがパクパクと動いている人形のようであった。

 教え子たちと特別な関係を築こうとせず、授業が終わるやいなやさっさと教室を出て行ってしまう。

他から話しかけられなければ、自分から話しかけることはまずない。

 他人と距離を置きたがるこの先生はつかみづらく分かりにくく、学徒に人気がない。

 ときどき素でトボけているところが笑いを誘うので、嫌われているワケでもないらしい。

 すぐにしどろもどろになるので、からかうと面白い先生というだけの認識しか持たれていない、影の薄い教官だ。

 ウンコ合戦を繰り広げた時にかいま見せた裏の性格を知っている、メイディアとリクを除けば誰もがおとなしい教官だと思っている。

 彼は元々、他人にものを教える教師よりも一人で研究室にこもって没頭する研究・探求者タイプの人間なのだ。

 自分でもそれはよく承知しているつもりだった。

 彼は人間が嫌いなのではないのだが、人と向き合うことを極端に恐れている。

 できるなら、空気みたいな存在になって、人々の生活をただ見ているだけの生き物になりたい。

 それで自分は好きなことだけしてその片隅で生きていられたならそれが一番いい。

 一方で、人間社会に自然に溶け込んで皆のように普通に暮らす自分も夢見る。

 本当はそれが一番の望みだが、それこそ叶わない妄想みたいなものだった……

 遠い祖国を後にして流浪して流れ着いた先がここ、花の都・ローゼリッタ。

 この地に来るまでに残した数々の業績から、すでに氷鎖女(ひさめ) (しずか)は貴族の中でちょっとした有名人になっていたのである。

 その特殊な能力によって王宮の客人として迎えられていた彼には、別の才能を持ち合わせていた

ことを女王の知るところになり、現在の立場にある。

 他人にものを教える柄ではないと始めは断ったものの、自分の培ってきた様々なモノを自分だけで終わらせたくないという欲求から結局受けることにした。

 これは人前を嫌う彼にとってものすご勇気のいる決断だったに違いない。

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レイディ・メイディ 5.5-3

フェイト『どうりで声が……

 

 女性にしては少し低いと思った

 けれどこのくらいの声なら女性でもおかしくはない程度。

 成人男性だとすると幼すぎた。

 

氷鎖女「身分が高いと吠えるならなおさら、きちんと筋を通して謝罪する。コレが本当の責任の取り方であろうが。これだからガキは好かないというのでござる」

メイディア「仮面は?」

氷鎖女「額当てか? 洗って置いてあるでござるよ? 後で新しいのしなくっちゃ」

レク・フェイト「…………」 黙って口を閉ざす。

メイディア「新しいのって……

氷鎖女「別にアレ一つじゃないし、代わりはあるし。さりとてアレをしていると髪が乾きにくいゆえ新しいのあってもつけているワケにもゆかず……

メイディア「秘密は?」

氷鎖女「だから秘密なんかナイと言ったでござろう? しつこいな」

 

 パンをちぎってちまちまとかじる

米の飯が恋しいなどとのんきなことを言いながら。

 

メイディア「…………」

 

 そっとメイディアが顔を覗き込もうとすると氷鎖女は顔の向きを変える。

 

氷鎖女「これこれ。妙なところに興味を持たなくて良いから食べるでござるよ、おとなしく。ホラ、そこの二人も」

 

 手をひらひらと振って見せる。

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レイディ・メイディ 5.5-2

フェイト「う…ん……まみれ…」

 

 スープをかきまぜていたスプーンが止まった。

 周囲の連中もシンとなって注目しているが、二人は気づかない。

 リクは気にしていないようで、黙々と食事を続けている。

 フェイトは自分は仲間じゃない!と、視線で周囲に訴えかけている。

 

メイディア「過ぎたことをいつまでも…意外と男らしくない方ですのね」

レク「男らしくないだって!? そーゆー問題か、アレは!? 人間としてアレだろ、ダメだろ! フツーは怒っていい場面なのっ、ココはっ!! っていうか、怒らない方がどうかしてるっ!」

 

 突き付ける指は怒りに震えていた。

 

メイディア「まぁっ!? 人を指でさすなんて、はしたないっ! さすがは身分の低い野蛮で低俗な平民ですことっ!」

レク「うるしゃーっ! 謝りにきたんじゃなかったのか!? それともケンカ売りにきたのかよ!?」

メイディア「だから仕方なく謝ってやったのに貴方がちみっちゃいコトを言うから」

レク「ちみっちゃいぃ!? 謝って…やったァ!?」

メイディア「ショボイってゆーのよっ!」

フェイト「ま、それは言えてるかな……

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レイディ・メイディ 第5.5話

第5.5話:悲劇の後で… ~フレグレンスな4人~

 薔薇の騎士団養成所は赤茶けたレンガの、高い壁で囲われていた。

 黒い鉄製の正門をくぐると正面には小綺麗に手入れされた庭園が広がっている。

 季節によって代わる代わるに咲く花々。壁に沿うように行儀良く立ち並ぶ並木。

 ローゼリッタ王国の城下町からやや外れた広大な土地にそれは位置していた。

 庭園の奥に建つ巨大なゴシック式の建物は、将来の薔薇の騎士を育成するための学び舎である。

 あの中で日々、騎士を目指す少年少女が切磋琢磨しているのだった。

学徒と呼ばれる身分の彼らは、明るい間はこの学び舎での勉強や外での訓練に時間を費やし、暗くなると正面からは学び舎の建物の影で見ることはできないが、後ろに建っている宿舎に戻るのだ。

 宿舎は学徒たちが寝泊まりする部屋と食堂、浴場などが設置されている。

 本日もいつもの朝となんら変わらずに食堂は学徒たちでごった返していた。

 

フェイト「……何で隣に座るんだよ……

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レイディ・メイディ 5-7

メイディア「一時休戦ですっ!」

氷鎖女「そうこなくては」

 

 二人、一気にはい上がって、びたびたとアレを飛び散らせながら、獲物を狙うハンターのように走りだす。

 惨状に巻き込まれまいと逃げたのは正解だったと速めていた足をゆるめるリクはまだ、血に飢えた野獣がごとき二人が自分を追って来ているなどと知る由もなかった。

 今も二人がお互いに穴の中で先の見えぬ争いを繰り広げていると思っている。

 己が身が危ないと悟ったのは、草がこすれる音が背後から迫ってきてからだ。

 

リク「あらら。追って来るかな、フツー。俺、本当は無関係だと思うんだけど」

 

 落ち着き払っているものの、捕まっては一大事。

 再び速足になる。

 だが、思ったより向こうも早くてとうとう駆け足に。

 

リク「待ってよ、コラコラ相手が違うでしょーに」

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レイディ・メイディ 5-6

リク「今の、青薔薇志望のレクです」

氷鎖女「ふぅん」

リク「ふぅん……って。まぁいいけど」

 

 助ける気配のない二人。

 

リク「ずいぶんと身軽でしたね。彼女、結構背丈あると思うのだけど」

 

 背中を押される前に、その場からメイディアの背後に跳んだのである。

 それも軽々と。

ものすごい跳躍力だ。

 

氷鎖女「……?」

 

 そうかな? とばかりに首をわずかにかしげる。

 彼らがのんきに会話しちゃってる間も当然ながら、メイディアとレクの悲鳴は聞こえている。

 

メイディア「あ~れぇ~っ」

レク「ん~っ! んん~っ!!」

 

 二人の視線がやっと落とし穴に向く。

 

リク「あのさ……さっきから騒いでいるところ悪いけど、足、つけるんだよね?」

メイディア「……あ?」

     「…………。」

 落ち着きを取り戻して、目をしばたかせる。

 落とし穴といえど、たった二晩二人きりでそんなに大きく掘れるワケがない。

 手は地上に届く距離で一人でも十分はい上がれる深さ。

 レクがメイディアの上に落ちたものだから、ぎゅうぎゅうに詰まってはいるが。

 

メイディア「どきなさい、レク! 邪魔ばっかりしてっ」

レク「んんん~っ」

  『そんな~っ』

  「うんうん、んーんーん…

  『だいたい、メイディが…

 

 キッとにらむ。

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