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レイディ・メイディ 55-5
2008.07.27 |Category …レイメイ 55-57話
メイディア「……はい」
氷鎖女「どうでもいいことだから、聞き流してくれればよい」
メイディア「……?」
改まってなんだろう?
青い瞳を瞬かせ、次の言葉を待った。
氷鎖女「あのな、しずっ……拙者はな、白が必ずしも良いとは限らないのではないかと」
メイディア「………………」
氷鎖女「思ってる」
▽つづきはこちら
メイディア「…………それは……」
氷鎖女「うん?」
メイディア「慰めて下さっているのですか」
氷鎖女「……それもあるが………………さて、どうだろうな。ただ言っておきたいだけだから、聞き流してくれていいと言ったろう?」
メイディア「………………」
氷鎖女「拙者はな、白は好かぬ。特に真っ白というのはいけない。目に痛いから」
メイディア「目に痛い……?」
氷鎖女「お前様は酷く白に憧れているようだけど……白くなくても良いと思う人間も中にはおるということだ。拙者だけでなく。他にもきっとな、いるよ」
メイディア「……そう……でしょうか」
氷鎖女「わからない。でも少なくともここに一人いるのだから、他にもいる。きっといる」
メイディア「………………」
氷鎖女「……それだけでござる。呼び止めてすまなんだ。お休みなされ」
メイディア「………………」
氷鎖女「では」
夜が明けないうちに自分も休もうと階段に向かった。
ベッドを貸してしまったので、寝る場所が1階のリビングしかないのだ。
メイディア「待って、先生!」
氷鎖女「んー?」
足を止めて振り返る。
メイディア「メイを一人にしないで下さいませ」
氷鎖女「………………」
メイディア「独りは怖いの」
今にも泣き出しそうに顔を歪めた。
氷鎖女「不安はわかるがもう平気ぞ。悪夢は終わった。肉はもう追ってはこぬ」
メイディア「もし……もし追ってきたら? もし窓から覗いていたら? もしワタクシを連れて行ってしまったら?」
氷鎖女「……さすればこちらが追ってやるよ。コソ泥にも面子がある」
冗談のつもりか珍しく、ニヤリと笑う。
氷鎖女「盗み出したものを奪い返されては、面白くないからな」
肩をすくめて見せ、
氷鎖女「取られたらまた取り返す。……だから、案ずるな」
メイディア「きっとですよ」
氷鎖女「ああ」
メイディア「でも」
氷鎖女「まだあるか」
メイディア「でもやっぱり怖い」
氷鎖女「………………」
メイディア「信じていないわけではございませんが、でもやっぱり怖い。……一晩だけでも付き添っては下さいませんか」
氷鎖女「……ゴールデン……」
メイディア「はい」
氷鎖女「拙者が明日もお仕事だとわかってくれておるか。一般的に社会人なんですけど」
メイディア「はい」
氷鎖女「………………」
メイディア「………………」
氷鎖女「時間は丑三つ時を越えておる」
メイディア「ウシミツドキ?」
氷鎖女「……ああ、いい。わかった。負けた。その図々しさ、厚かましさは天下一品でござるな」
とうとう根負けして頭を振った。
メイディア「ご、ごめんなさい……」
氷鎖女「今後は遠慮と配慮を学べよ、クソ女」
メイディア「はい。なるべく」
氷鎖女「……ふぅ」
メイディアの側まで戻り、1本のロープを手渡す。
メイディア「これは?」
氷鎖女「拙者はこの部屋の前におる。なにかあれば、縄を引け」
メイディア「側にいて下さるのではないの?」
氷鎖女「すぐでござろう。部屋のすぐ前だ」
メイディア「だけど……」
氷鎖女「女子(おなご)の部屋の中にまで踏み込むことはできぬ。縄を引けば反応を返してやる。さ、寝よ」
メイディア「…………」
メイディアは不服だったようだが、仕方なく折れて今度こそ部屋に入った。
メイディア「絶対に離れないで下さいね? そこにいて下さいませね?」
氷鎖女「あー、おるおる」
適当に返事を返す。
一晩中、メイディアは氷鎖女がそこにいることを確認し続け、結局、おとなしく眠ってくれたのは夜が明けてからだった。
壁に背をつけて廊下に座っていた氷鎖女は一睡もしていない。
氷鎖女「あーもー。眠い。これでまた養成所か」
問いかけても相手の反応がなくなったので、ようやくロープから手を離し、1階の台所へ向かった。
メイディアのための食事を作って、これから養成所まで2時間かけて通わなければならない。
彼女が目を覚まして不安に思うだろうが、こればかりは仕方がない。
こちらにも生活というものがあるのだ。
置手紙を書いてテーブルに置くと、氷鎖女は家を離れた。
少しの不安を残して。
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●Thanks Comments
センセー!
もー、氷鎖女先生ステキすぎです!
大好きだ
何だかんだ言ってメイディアに優しいしv
泣く場面じゃなさそうですが、号泣しましたよ~;
もうダメだ、何回読んでも泣いてしまう
しかし最後の不安を残してってのがが気になる;
メイディア
え、泣いちゃうの!?(笑)
感想アリガトウございます!
また行き詰っていたので(←またかよ)、励みになります(^-^)
氷鎖女は今後、クロエともモジャモジャあるので早く書かなくちゃ。
不安、別に何でもないです;
なんかスミマセン(笑)
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