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レイディ・メイディ 70-5
2009.02.05 |Category …レイディ・メイディ 70話
宝石を保護するためにサレアが自分に近づき、成長したリクが、石に命じられるままに姫君を守る。
その力を体得させるため、養成所に入れられたのだ。
全ては国家のため。
先程までの狂おしい怒りが急速に冷めて、代わりに裏切られたよう情けなさが浮上してくる。
残った怒りの余熱と混ざり合って、どう表現したらいいのかわからない。
ニケ「彼を恨んじゃダメだよ?」
下から、ニケが覗き込んだ。
リク「彼? ニケ先生はサレアをご存知だったんですね」
ニケ「……弟子だからね。命じたのは我ら十二賢者だ」
リク「……そうですか」
▽つづきはこちら
ニケ「確かに彼は任務で君に近づいたけど……でもちゃんと君のことも……」
リク「わかってます。任務であったけど、共有した時間は確かにありました。同情も嘘ではなかったと思います。……わかっていますよ」
ニケ「そう。君が物分りのよい聡明な子で良かったよ」
理屈ではわかっても感情が受け入れようとしていない。
そんな心境を見透かしながら、ニケは上辺をなでた。
リクもクロエもまだ若い。
急に沢山の情報を与えられて心がついていけていないだけだ。
やがて彼らも事態を把握して飲み込んでくれよう。
リク「俺は……感謝していますよ」
3年前はサレアに見捨てられたと思って絶望していたけれど、今はあの養成所に入って本当に良かったと本当に思っている。
復讐のための力も手に入れられた。
もっとも、復讐の刃を振り下ろすべき相手はすでにこの世にはないのだが。
リク「あなた方が俺を城に呼んだ理由がわかりました、先生。でもこんな手の込んだ真似をせずともこの先、クロエが何者かに狙われるのだとしたら、俺は彼女を守ります。けど、それは石が命じるからじゃない。ただ俺がそうしたいからです」
ニケ「うん、それで充分さ」
リク「だったら、俺はこれで失礼しますよ」
きびすを返したリクをニケが鋭く呼び止めた。
ニケ「……わかってないね。初めに言ったじゃない。城に呼んだ理由は、養成所からこの城へ生活の場を改めてもらうことだって」
足を止めてリクがゆっくりした動作で振り返る。
リク「城の暮らしは性に合いません」
ニケ「合う合わないじゃないんだよ、残念だけど。君に選択の自由を許した覚えはない」
リク「………………」
ニケ「君は姫のために姫の傍にいるべき人間なんだ。それを自覚してもらわないと困るよ。敵は君も狙っている。今までは養成所の中が安全だと思っていたけど、どうも君たちは隙がありすぎる。養成所から全く出ないというなら話は別だけどね」
リク「俺は……」
ニケ「君には責任がある」
リク「……責任?」
穏やかなリクの表情に冷たい影が落ちた。
リク「それは……。それは家族を殺されても仕方がなかった責任ですか? たまたまこの忌々しい眼を授かったばかりに?」
途中から争いをやめて会話を聞いていた女王とブラウドが互いに視線を交し合う。
女王が何か言いかける前にブラウドがその肩に手を置いた。
ブラウド「まぁ、あれだ。考える時間も必要だろ。例え結果が同じでも、な」
女王「……ええ」
リク「……失礼します」
リクが謁見の間を出て行ってしまい、残った3名は深く溜息をついた。
女王「ニケ、ごめんなさいね。憎まれ役ばかり押し付けてしまって」
ニケ「いえ。慣れっこですよ。裏方はワシの役目ですからな」
女王「……ごめんなさい」
足元に落ちたベルモォォォォォォォォォォォール3世のヒゲを拾い上げ、
女王「やっぱり……私をお母さんだって、認めてくれないでしょうね、あの子」
ニケ「陛下……」
女王「顔も見せたことはない。母親らしいことなんて何一つしてあげたことなんてないですもの……当たり前ですね」
ブラウド「しょっちゅう、怪しい変装してウチの庭からコソコソ覗いていたり、誕生日に名無しの怪しげなプレゼント贈ってきたり、公園で遊んでいるクロエを無理やり連れ去ろうとしたりする以外はな」
ブラウドがザックリと女王の奇行を一刀両断。
女王「ううっ。だって……あんまりに可愛らしいから思わず抱擁してチューを……」
ブラウド「あれじゃただの変態オバサンだぞ、……クロエ」
女王「うぐ……だってお兄ちゃん」
ニケ「陛下―……」
女王「それにしても」
避難がましい眼を向けるニケから逃れるため、女王は咳払いをして話題をそらした。
女王「これで……良かったのでしょうか?」
ニケ「最善です」
女王「もし二人がどうしても嫌と言ったら?」
ニケ「これはもはや個人の問題ではありません。国家規模の問題です。女王は代々、呪いを外に逃がさないよう、シレネを封じる任についていただかなくてはなりませんし、その女王をお守りするは、ジュールとオーロールを持つ者の役目でございますれば」
女王「でも二人の若者の気持ちを踏みにじってまでも……」
ニケ「その二人の若者の命が狙われているのです。これは彼らを守るためにも必要なこと。女王、弱気は困ります。お気持ちを強く!」
女王「そうですね……ええ、わかっています。わかっているけれど……せめて養成所を終業まで待ってあげたかった……。あの子たちはもう恋を経験したかしら? かけがえのない友情を手にしたかしら?」
ブラウド「大丈夫だろ……たぶん。ガキャ、そんなにヤワじゃないさ。俺たちが思っているほど、な」
タバコを取り出してくわえるブラウドにニケの厳しい注意が飛んだ。
ニケ「ここは禁煙!」
ブラウド「へぇへぇ、そいつぁすみませんね、センセ」
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●Thanks Comments
そっか...
この続きが読めないのか(T_T)←って、何回読んだ?
Re:そっか...
>ごーめーんーなーさーいぃ~(土下座)
>そろそろ本当に頑張ります;
>そろそろ本当に頑張ります;
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