紅白イメージ６

君のために
チェスター「ライディス。クラレンスのことだが、何とかならないか」
ライディス「は？」
ヒューゴ「・・・・」
ファレット「・・・・」
チェスター「あの女嫌いだ。せっかく私が心根の優しい良い娘を見繕ってやっているというのに見向きもせぬ」
ライディス「見合い話ですか？　放っておかれたらよろしいでしょう」
ヒューゴ「・・・・」
ファレット「・・・・」
チェスター「しかしな。家柄も申し分ない、これほどの美女を取り揃えているのに、何の反応も示さないとなるとさすがに心配になる。見てくれ、コレを」
ライディス「ん？　ええと・・・・イノシシ？　猿？　ゴリラに蛙にフグにウーパールーパー？　・・・なんですか、コレは。動物図鑑・・・ですか？」
チェスター「？　見合い写真だが？」
ライディス「・・・・・」
 

チェスター「どこに動物が載っているのだ、貴公の目は節穴か」
ファレット『・・・・・』
ヒューゴ『に・・・人間だったのか、アレわ』　ゴクリ。
ライディス「し・・・失礼しました。どうやらチェスター様とは女性の好みが激しく違ったようで、見間違いを」
チェスター「一体、何と見間違えたのだ。まぁいい。ところで貴公に頼みがある」
ライディス「お断りします」
チェスター「まだ何も言っていないであろう。まぁ、聞け」
ライディス『断るっつってんのに』
チェスター「実はクラレンスは、子供はコウノトリが運んでくると未だに信じている天然記念物だ」
ライディス「存じております。どうやって過ごして生きたらああなるのか不思議でなりませんが」
チェスター「あのままでは大変マズイ。何がマズイって大人として色々だ。そこで貴公が一肌脱いで奴にそういったイロハを教えてやって欲しいのだが」
ライディス『キター！　だから断るとあらかじめ言ったのに』
「何で私があんな頭のおかしい天然記念物のために一肌脱がねばならんのです。私は軍人ですぞ。そんなわけのわからん命令は、召使いにお命じになればよろしいでしょう」
チェスター「そう冷たいことを申すな。奴にも面子というものがあろう。今更、知らないと目下の者に言うははばかられるというものだ。察してやれ」
ライディス「・・・さ・・・察するも何も、たぶん、本人はあのままでいいと思っているので、我々が余計なことをせずとも夢の住人でいさせてやったら・・・」
　　　　　『だいたい、嫌だし。そんな役目』
チェスター「立場も同じ、親友同士の貴公なら奴もきっと素直に言うことを聞くに相違ない」
ライディス「誰が親友ですか」
チェスター「貴公とクラレンスだ」
ライディス「そう見えますか」
ファレット『見えない』
ヒューゴ『見えない』
チェスター「見える」
ライディス「・・・・」
ヒューゴ・ファレット『バカな！！！』
チェスター「ともかく、頼んだぞ。奴は女性を軽んじ過ぎる。愛しい姫君と婚姻でも結べば変わると思うのだ。子供がどうしてどうやって生まれるとか、それは母親という偉大な女性の功績であって、いかに世の中に必要で、素晴らしい存在であるかということをだな」
ライディス「そんなにおっしゃられるならば、ご自分で解いたらいかがですか」
チェスター「そっ、そんなのっ・・・恥ずかしいではないか！！」
ライディス「私だって、嫌です。何が楽しくてあのような根暗に色事の話を言って聞かせねばならんのですか」
チェスター「い、色事とゆーなっ！　大丈夫だ、貴公にならできるっ！！　頼んだぞ！！」
ライディス「あっ！！」
　　　　　「くっ、逃げたか。こんな役目は、そうだ。ヒューゴ・・・・むっ？　いない・・・ちぃっ。さっきまで後ろにいたのに、おのれ。逃げ足の速い奴」
ファレット『そりゃあ、逃げるよ。僕も退散しよう。お鉢が回ってくる前に』

 

・・・数日後。

 

チェスター「あれからどうだ、ライディス。どうにか進んだか？」
ライディス「はい。仕方がないから、毎日少しずつ授業をしております。なかなか素直に耳を傾けようとしないので困ったものですが」
ヒューゴ『・・・授業って・・・何をどう教えているんだ？　んなコト』
ファレット『・・・あらゆる意味で気になる・・・』
チェスター「そうか。よかった」
ライディス「今、やっとカンブリア紀を抜けたところですので、人類出現まではまだ先かと」
チェスター「エッ！？　カンブリアっ！？」
チェスター・ファレット・ヒューゴ『ソコから始まるの　　　　　　　ッ！？』　がーんっ！？

 

ヒューゴ『この場合、誰をどこからツッコんだらいいのか・・・！』
ファレット『ツッコミどころが多すぎて、どうしたらいいのかわからないっ！！』
チェスター『カンブリア？　カンブリア？　生物発生から始まっちゃうのか！？？　スタートはどこ？　ビッグバン！？』

　皆、必死。