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箱庭の君番外2 紹介
2007.12.29 |Category …オリジナルストーリー紹介
箱庭の君 本編紹介
2007.12.29 |Category …オリジナルストーリー紹介
歴史上のどこにもない幻の国、嵜国(さきこく)。
そこはいつまで経っても、江戸時代程度までくらいしか先に発展しない。
実はその昔、帝の命により、選りすぐりの退魔師たちが、魔性の者たちを集めて封じ込めた地であり、歴史の闇に葬られた呪われた場所である。
嵜国全体が巨大な封印に覆われて、次元の狭間に送り込まれた。
現在も同じ時代を保って、次元の間を浮遊している存在。
時折、大きな乱の前触れに、現世と嵜国を結んでいる封に乱れが生じることがあり、霊力の強い者はその亀裂の変化に気づいてしまい、迷い込むことがある。
亀裂は目に見えるモノではなく、ただ、不自然に感じてそこに足を踏み込むと、そちらの世界にまぎれてしまったりする。
その逆もしかりで、嵜国の住人が現代に出て来てしまうこともある。
そこが不自然だと気づくのは、霊力の強い者に限る。
霊力の弱い者でもたまたまそこを通過しようとして、同じ現象に見舞われることもある。
雨が雪に変わる頃 キャラ紹介
2007.12.29 |Category …簡易キャラクター紹介
私
名前は白虎(ビャッコ)。普段は人間に化けている、冷酷無比な白銀の虎の妖(あやかし)。
銀髪で金と銀の瞳を持つ、異形。
退魔師・五輪刀との戦いで傷ついていたところを小雪に救われた。
小雪を好くようになり、性格も丸くなってゆくが、結局人間の心を理解できずに彼女を追い詰めていってしまう。
後の、本編の箱庭の君のメインキャラクター・因幡。
自分以外はクズだと思っていた白虎が、初めて他者を愛し、失うという心の痛みを知り、本編での人の気持ちに敏感で優しくおおらかな性格のキャラクターへと成長する。
小雪
心優しい女性。橋の上で雪に埋もれて倒れていた白虎を家に連れて帰り、介抱した。
心の貧しい白虎に、他人との関わり方などを一つ一つ教えてゆく。
白虎から贈られる高価な物が、他人から奪った物だと知り、怒りを露に彼を遠ざける。
辻裏 十音裏(つじうら とねり)
本編・箱庭の君のメインキャラクター。将来の五輪刀の頭目となる人物。
ここでは名前などは出てこず、ラストで白虎に手を差し伸べる、小雪の代わりとなる幼い少年として。
「人あらざる者」と心を通わせることができる。
故に、北の院へ幽閉されてしまった。
外へ出られるようになるのは、20歳になってから。
本編で愚行をもう一度繰り返すとありますが、白虎はこの2番目の恩人・十音裏にもまた刃を向けることになります。
……本編ないからネタバレ書いてしまうけど(笑)
雨が雪に変わる頃 8
2007.12.29 |Category …箱庭の君 短編1
私は。
何日もずっとなきがらの傍ら(かたわら)にいました。
周囲には、かつては宝物であったガラクタが、無数に転がっていました。
………………………………………。
…これは、私があるいけない結論にたどりつく数日前のお話です。
雨が雪に変わる頃 7
2007.12.29 |Category …箱庭の君 短編1
「アンタ、今までどこほっつき歩いていたのさっ」
涙ながらに私を責め、その場にしゃがみこみました。
「早く行っておやりよ」
私はこの女は変だと思いました。
それで、敷居をまたいで小雪さんに言いました。
「雪はもうちょっと待って下さいね」
「………………」
アレ? 返事が返ってきません。
「…小雪さん?」
「小雪さんっ!?」
横たわった小雪さんの顔には何故か白い布が乗せてありました。
雨が雪に変わる頃 6
2007.12.29 |Category …箱庭の君 短編1
「初めて会ったのも、こんな日だったね」、と。
私はそうだったっけ?…などとのんきな言葉を返したと思います。
けれどそんな言葉を聞いてか聞かずか、小雪さんは続けました。
「あ、ホラ…雪が混じってきた」
ちらちら、ちらちら。
「銀色で…白虎みたい…キレイ…」
落ちくぼんだ目を細める。
私もつられて外を眺めました。
しばらく黙って見ていましたが、ふいに小雪さんが言いました。
「ねぇ…欲しい物があるの」
雨が雪に変わる頃 5
2007.12.28 |Category …箱庭の君 短編1
ああ、そうか。
この着物に赤い染みがついてしまったから、気に入らないんだ。
「今度はもっと良い物をとってきますよ。絶対、気に入ると思います」
……でも。
小雪さんは意外とワガママでいらっしゃって、何をとってきても気に入ってくれないんですよ。
女性のワガママには魅力がありますが、それにしても度が過ぎると困りもの。
一体何が欲しいのかと聞いても、そっぽを向くばかりで……。
とうとうあまり口も利いてくれなくなりました。
「いらない。貴方の手から渡される物なんか、何一ついらない」
放り投げられた宝石や着物ばかりがたまってゆく。
彼女に見向いてもらえない宝物は、もはや宝物ではなくて、ただのガラクタに過ぎません。